『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第112話

 

広場の中央に生じる直径10メートルの半球状の結界。

その内側に十分の一にまで縮んだ選手たちが見える。

外側から結界に触れても内側に入らないようにしているので、観客はそれこそ結界に張り付いて覗き込むことも可能だ。

臨場感という点ではいささか劣るが、場外で飛び出す選手にだけ気を付けてもらえれば観戦するには問題ないだろう。

 

 

第一試合:セルVSミスター・サタン

 

「ダイナマイトキィーーーック!!」

 

「…………シッ」

 

「「「あ」」」

 

『ミスター・サタン選手、場外!

 セル選手の勝利です!!』

 

「あたたた……ちょ、ちょっと足を踏み外してしまったようだな!」

 

「まだレベルの違いに気付いていないのか!?」

 

「馬鹿の世界チャンピオンだ……」

 

「ウチの父がすみません!!」

 

 

第二試合:クリリンVSラディッツ

 

「ほらマーロン、パパを応援してやんな」

 

「うん、パパ頑張れー」

 

「う、うぐぐ……ちくしょー!!やってやろうじゃねぇかぁ!!」

 

「同情はするがな……負けてやるつもりはないぞ?」

 

「伊達にアンタの弟の相棒名乗っちゃいねぇぞ!

 そう簡単にやられると思うなよ!?」

 

「……なるほどな。では、本気で行くぞ!」

 

 

第三試合:ピッコロVS孫悟飯

 

「ほぅ、どうやらちゃんと修行は続けていたようだな」

 

「えへへ、ピッコロさんやお父さんたちみたいに強くなれてませんけどね」

 

「学業と両立しながらでそれなら十分だ。これからも励めよ」

 

「はい……降参します!」

 

『孫悟飯選手ギブアップ!ピッコロ選手の勝利です!』

 

 

第四試合:ベジータVS孫悟空

 

「「うぉぉぉぉーーーーーーっ!!!!!」」

 

 

「……なんか結界の外にも振動きてない?」

 

「ぬぉあぁぁーー、セル手ぇ貸してくれぇーーっ!

 連中を甘く見ていた!

 陣と結界を更新するから霊力送ってくれぇーーー!!」

 

「流石に超サイヤ人3同士の衝突には耐えられなんだか。

 ……ということは私が彼らと戦うと同じ事態になるのか?」

 

「冷静に感想述べとらんと早く!

 ヒビ入っとる!ヒビ入り始めとるから!!」

 

 

第五試合:トランクスVS孫悟天

 

「トランクスくーーん!頑張ってーーー!」

 

「う~~~ん!アンニちゃんボク頑張るよぉ~~~~~!」

 

「トランクスの奴……みっともなく鼻の下を伸ばしやがって!」

 

「ほんと、誰に似たのかしらねぇ?」

 

「お前だろブルマ」

「「うんうん」」

 

「うっさい!」

 

「「「あいたっ!?」」」

 

「ヤムチャらにあたるな。どう考えてもお前の血じゃ」

 

「……ま、健やかに育ってるようなら何よりだわ」

 

 

第六試合:ヤムチャVS天津飯

 

「パパーー!」

「あなたーーー!」

 

「親父ーー!」

「負けんなよ天津飯ーーー!」

 

「……はは、お互い随分と背負うものが増えたな」

 

「あぁ、だがその重さが心強い……そしてだからこそ負けられん!」

 

「こっちのセリフだ!行くぞっ!

 風神・狼牙風風拳っ!」

 

 

 

1回戦の6試合が終わり、残った選手たちで2回戦が行われ。

準決勝、決勝と続く。

 

激戦の末に勝者となった、栄えある第一回天上一武道会優勝は。

 

『……セル選手です!おめでとうございまぁーーーす!!』

 

「フッ、当然……とは言い難いな。

 わずかなボタンの掛け違いがあれば、ここに立つのは私ではなかっただろう」

 

『謙虚なお言葉!ちなみにですが、一番手強かったのはどなたでしょうか!?』

 

「……ミスター・サタンだろうな。

 一撃で勝負を決め切れなければ勝ちあがることはできなかったかもしれん……」

 

勿論、手加減に失敗して失格になるという意味で。

しかし唯一セルの言葉の意味を理解できていない男は、全員が納得の表情で頷いているのを見て都合よく解釈し大層気をよくした。

 

「だははははは!わかっているではないか!

 セルよ、今はお前に勝者の座を預けておこう!

 だがすぐに取り戻すから覚悟しておくことだ!だははははは!!」

 

(((馬鹿ならコイツが天上一だな)))

 

流石のビーデルも庇いきれず、頭を抱えて閉口していた。

ちなみにサタン本人は優勝者に『一番の強敵だった』と言われたことで間接的に『娘をたぶらかす小僧より上』と証明されたと思い込み安堵しているだけだったりする。

あっさり負けたことよりも、この不思議な場所や結界のことよりも、化け物染みた強さの連中よりも、そちらの方が彼にとって大事だったので。

というかそれが大事過ぎて、他のことが頭に入ってこなかったので。

 

「さて、試合はここまで。お待ちかねのメシじゃぞ」

 

「「「まってましたぁーーーっ!!」」」

 

宮殿の奥から大量の料理が乗ったテーブルを運んでくる16号とミスターポポ。

トランクスと悟天に並んで一目散に駆け寄る悟空の姿に、今度は悟飯が皆に頭を下げることになる。

 

 

 

「ヒノカミさん」

 

「界王神さま?」

 

恐ろしいペースで消化される料理を補充するために宮殿に引っ込んでいたヒノカミに、界王神とキビトが声をかけた。

ヒノカミは視線で16号たちにこの場を頼み、二人と共に宮殿の裏に移動する。

 

「お忙しいところを申し訳ありません。

 ですが、これだけはすぐに伝えておきたくて。

 ……素晴らしい試合でした」

 

「ありがとうございます。

 ……これほどの勇士たちが一つの時代、一つの場所に集うことはもうないと、儂は考えております」

 

「確かに。……私も賭けてみたくなりました」

 

「界王神さま!?」

 

「もうわかっているでしょう、キビト。彼らの実力は本物です。

 彼らなら魔人ブウを『倒せるかもしれない』。

 ですが彼らと……『ゼットソード』の力があれば、『きっと倒すことができる』……!」

 

「まっ、まさか人間を界王神界に!?」

 

「まぁまぁお二人とも。今はまだ祭りの途中。

 まずは食事としましょう。穏やかでない話はその後で」

 

「フフッ、ご相伴に与ります」

 

ヒノカミは界王神たちを連れて、賑やかで騒々しい宴へと戻っていく。

早速子供や酔っ払い共に絡まれる二人は困り果てていたが、そこには確かに笑顔があった。

 

 

……先代の知識を持つピッコロだけは胃痛に苦しんでいたが。

水しか飲まない体質で本当に良かった。

固形物が入っていたら全部逆流していただろうから。

 




申し訳ありませんが、サタンにはもう少しギャグキャラでいてもらいます。
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