『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第116話 魔人ブウ

 

神殿に戻ったヒノカミは精神と時の部屋に似た隔絶空間を生成。

その中に魔人ブウの封印された玉を移動しそこで開放することにした。

これで周辺への被害を気にすることもなく、万が一撃破に失敗したらその空間ごと魔人を封印してしまえばいい。

 

「重力とか気温とか酸素は地球と同じにしてある。

 キツイ設定にしても魔人ブウにとってデメリットになるとは思えんからな」

 

「ほへぇ~……ホントに精神と時の部屋にそっくりだ。

 時間の流れはどうなってんだ?」

 

「今は外と同じ設定にしているが封印の際には現実より遥かに遅くする。

 さすれば万が一ブウが中から封印を破ろうとしても動きが遅くなり、対処する時間の余裕ができるからの」

 

「倍率はどのくらいだ?」

 

「ひとまず1000倍じゃな。外から見れば中の動きは1000分の1になる。

 この部屋の1日が、外の世界のおよそ3年になるわけじゃ。

 ……逆の設定もできるがせんぞ?」

 

「えぇ~?」

「チッ」

 

悟空が露骨にがっかりし、ベジータが思いっきり舌打ちをする。

 

「加えて……コイツじゃな」

 

そう言ってヒノカミは『ゼットソード』を取り出した。

セルがOFAで『浮遊』させているので重量は関係なく、手を離せば宙に浮くだろう。

 

「流石は界王神さまを永きに渡り封じ込めていただけはある。

 これはとんでもない封印具じゃ。

 多少の隙があればこれに封印することもできよう」

 

「お前は界王神さまを封じた術を使えるということか?」

 

「んむ。儀式を受けてから頭の冴えも良くてな。

 封印されていた時の情報とゼットソードの残滓から再現した。

 試したわけではないが、理論上は問題なく使用できる」

 

バビディから魔人ブウを封印する呪文も読み取っているが、原理がわからないので信憑性に欠けると判断した。

そして今の自分ならそれ以上の結界・封印術を使えるという自負もあった。

 

「なんと……精神と時の部屋以上の空間をこの短期間で作り上げたことと言い、儀式とやらでヒノカミはそれほどの能力を手に入れたというのか」

 

「『腐っても』元界王神ということだろうな」

 

『あほたれっ!腐っとるとは何事じゃっ!』

 

「腐れ外道だろう?貴様が母上の肢体を舐め回すように見ていたと聞いたぞ?」

 

『…………』

 

セルの追及に老界王神が続く言葉を失う。

界王神界にいた頃の母の様子を界王神に聞き取りした結果、彼の中で折角上がっていた老界王神の評価は再び急降下していた。

 

この空間にいるのはヒノカミ、悟空、ベジータ、ピッコロ、セルの5人だけだ。

界王神とキビトと老界王神は界王神界から水晶で中の様子を監視しつつ、念話で参加している。

界王神としては戦士たちに丸投げはしたくなかったが、残念ながら足手まといになると引き下がった。

 

 

「では、封印を解くぞ。離れておれ」

 

ヒノカミだけがブウの封印された玉に近付き触れて、自分のエネルギーを注ぎ込む。

やがて十分な量のエネルギーを吸収したところで。

 

 

ピーーーーーーーッ!!

 

 

「「「!?」」」

 

玉から勢いよくピンク色の煙が噴き出す。

すぐにヒノカミがエネルギー供給を停止し距離を取るがとめどなく煙が噴き出し続ける。

やがて玉が裂け目にそってパカリと開くが、中は空っぽ。

しかし戦士たちは油断なく上空に漂う煙を注視する。

やがて煙が集まり、固まり、人の形を取っていく。

 

 

 

「ブゥーーーーーーッ!!」

 

 

 

雄叫びを上げたのは、ピンクの肌をした太っている人型の何か。大きさは普通の人間と大差ない。

 

「界王神さま、あれで間違いないですか?」

 

『はい……忘れはしませんよ、あの恐ろしい顔は……!』

 

細い糸目でにっこりと笑う姿は中々に愛嬌があるのだが、界王神にはそうは映らない様子だ。

 

 

「……おまえ、何だ?」

 

屈伸やら何やらストレッチをしていた魔人ブウはようやく他者の存在に気付き、一番前にいたヒノカミに尋ねる。

 

「ヒノカミという。お主の封印を解いた者じゃ」

 

「おまえが?」

 

「ビビディは既に死んだ。もはやお主に何かを命じる者はおらん。

 ……故にこれは命令ではなく提案じゃ。

 魔人ブウよ、破壊や殺戮を止め穏やかに生きるつもりはないか?」

 

「やだもーーーん!オレもうガマンしない!

 お前らも何もかも、全部壊して遊ぶんだもーーーん!!」

 

「……そうか」

 

無邪気な子供が一番残酷とはよく言ったものだ。

他人の痛みを理解しておらず、罪悪感も持っていない。

言葉での説得は不可能だと判断した。

 

「へへっ、んじゃようやくオラたちの出番か!」

 

「ふん、この程度の奴オレ一人で十分だ」

 

「お前の順番は孫悟空の後だろう?

 どさくさに紛れて割り込みとは感心しないな」

 

「まったくサイヤ人は……。

 言っておくが、ブウを確実に消滅させることが最優先だからな」

 

ヒノカミが後ろに下がり、悟空・ベジータ・セル・ピッコロが前に出る。

この5人が地球の、いや宇宙全体のトップ。

彼らで無理なら魔人ブウを倒せる者は誰もいないだろう。

だと言うのに、この期に及んで一人ずつ戦うつもりだったが。

悟空とベジータが駄々をこねたので。

界王神から聞いたブウの前情報からセルとピッコロと自分が居れば対処は可能と判断し、少しだけ時間を作ってやった。

 

ラディッツや悟飯、クリリンたちには事情を明かしたものの連れてはこなかったのも、彼から聞いた魔人ブウの能力を警戒したため。

ブウは他人を取り込み自分の力にするという。

ブウに殺された4人の界王神の内、大界王神ともう一人はブウに吸収されたそうだ。

 

「ピッコロの言う通りじゃ。

 この戦いの機会も、界王神さまに無理を言って用意していただいたことを忘れるな。

 後方より儂が警戒するが吸収攻撃は絶対に受けるなよ。

 取り込まれてしまえば儂でも蘇生できんかもしれんからな」

 

「了解だ」

 

目の前でブウが頭部の穴から煙を出した。

直後、ブウの気がとんでもなく膨れ上がった。

 

「っ!?なるほど、これが魔人の力か……!」

 

「確かに、こりゃ本気でやんなきゃやべぇかもな……!」

 

『やはり全員で一斉にかかるべきではないですか!?』

 

「いや、このくらいなら問題はなかろう。

 悟空とベジータが失敗すれば私が仕留めてやるさ」

 

「その場合は儂とピッコロがセルのサポートにつきます。

 我ら3人でかかれば間違いはない。

 申し訳ありませんが、しばしお付き合いくだされ」

 

『……わかりました。

 私はすでに、あなた方に託したのですから』

 

「重ね重ね、ありがとうございます。

 ……お主らで駄目だと思えば横やりを入れてでも止めるぞ。よいな?」

 

「おう!」

「フン!」

 




本作での味方の強さ順は以下となります。

セル:アルティメット悟飯と同格以上。特殊能力多数。
悟空:原作と大差無し。働かず修業三昧ではなかったので。
ベジータ:本作の悟空とほぼ互角。
ピッコロ:原作ブウ編最後のベジータと同格。特殊能力多数。
ヒノカミ:同上。ただし特殊能力が強力かつ最多。

以下、超サイヤ人2のラディッツと悟飯が続きます。
セルが強すぎる。彼がいる時点でブウ編が消化試合にしかならない。
こねくり回して物語を伸ばしています。
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