『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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原作だと魔人ブウ(純粋)の戦闘力は低めに書かれていますが、本作ではアニメの『これまでのどの形態より強い最強の形態』という設定の方を採用しています。


第118話 魔人との決着

 

『間違いない……!』

 

「ご存知なのですか、界王神さま!?」

 

『あれは最初の……南の界王神や大界王神さまを吸収する前の魔人ブウです!!』

 

「「「なんだと!?」」」

 

地面に降り立ったもう一体のブウは、足元に転がっていた太っているブウを、まるで石ころのように遠くへ蹴り飛ばした。

 

「!?ブウの味方ではないのか!?」

 

『奴にそんな心はありません!

 目につくもの全てを破壊することしか頭にないんです!』

 

「来るぞ!」

 

「キィーーーッ!!」

 

突撃してくる小さなブウを、セルが迎え撃つ。

溜め込んでいた霊力を叩きこみブウの片腕を消し飛ばすが。

 

「ハハァッ!!」

 

「ぐぅっ!?」

 

ブウは自分の傷に構うことなくもう一方の腕でセルを攻撃した。

殴り飛ばされたセルを追ってブウが飛ぶ。

 

「セルは魂を攻撃したんじゃないのか!?」

 

「している!じゃがまさか、その痛みを感じる神経すらないのか!?」

 

「ばあちゃん!」

 

離れていた悟空とベジータが近づいてくる。

彼らの視線の先で戦うセルは互角に見えるが、初めて見せる彼の歪んだ表情が状況を物語っていた。

 

「セルでも……駄目なのか……!?」

 

「……どうやら余計なことを感じる心が無くなった分、魂の強度そのものがとんでもなく頑強になっとるようじゃな。

 いや、これは前のブウの心が弱すぎたということか……」

 

『……皆さんはよく戦いました。

 やはりブウを封印しましょう……』

 

界王神の諦めの言葉が響く。

悟空たちでさえやむなく従おうとしたその時。

 

 

 

『おぉいお嬢ちゃん。

 今こそ『ポタラ』を使う時じゃろ~』

 

老界王神の気が抜けた言葉が響く。

 

「ポタラって……ばあちゃんがもらったその耳飾りだっけか?

 それってなんかすげぇもんなのか?」

 

「……」

 

ヒノカミは左耳に着けていた一つを外して呟く。

 

「コイツはいわば……『合体アイテム』じゃ。

 対になる二つを、二人が左右片耳ずつに付けることで合体した戦士となる」

 

「「「!?」」」

 

「人間の場合、合体時間は1時間。

 この場にいる我らの内二人が合体すれば、あのブウであっても確実に勝利できるじゃろうな」

 

『そういうことじゃ。

 悟空でもピッコロでもいいから片方つけい。

 そうすりゃ勝てる!』

 

「ば、ばあちゃんと合体か……う~~ん……」

 

「……よし、オレが」

 

「いや待て」

 

名乗り出たピッコロを止め、ヒノカミは続けて右耳の方も外してしまう。

 

「悟空、ベジータ。お主らが使え」

 

「えぇっ!?」

 

「ふざけるな!オレにカカロットと合体しろだと!?」

 

「合体する二人の相性が良いほど効果も高い。

 この場にいる5人の中で最良の組み合わせはお主らじゃ」

 

ヒノカミは神霊。

セルは人造人間。

ピッコロはナメック星人。

確かにこの中で肉体的に近いのはサイヤ人である悟空とベジータだ。

ヒノカミは二人に強引に一つずつを押し付け彼らに背を向ける。

 

「どうしてもいやだと言うなら、しなくて良い。

 しかし僅かでもそのつもりがあるなら素早く決断することじゃ。

 さもなくば儂とセルで魔人ブウを倒してしまうからな」

 

ヒノカミは言うだけ言って、鬼の鎧と天神武装を発動しセルの援護に向かう。

二人が自分の接近に気付いたところで、両肩の副腕が稼働し掌を叩きつけた。

 

 

「卍解!『千本桜景厳』!!」

 

 

真っ白な大地から無数の刀の刀身が生え、花びらのように散る。

セルは慌ててブウから距離を取った。

 

「ゆけぇ!」

 

腕の動きに沿って無数の花弁がブウへと襲い掛かる。

それらは全て刃であり、ブウの体を幾重にも切り裂いた。

 

「シャァアッ!」

 

ブウは細切れになった体を操り、花弁のない空白地帯であるヒノカミのすぐ後ろで肉体を再構成する。

組んだ両腕を叩きつけようとした瞬間、鬼の姿が消える。

 

 

「『雀蜂雷公鞭』!喰らえぇっ!!」

 

真上に転移していた鬼の右腕から巨大な杭が発射され、ブウのいた大地に直撃。

大爆発を起こした。

 

「これも斬魄刀なんじゃが……これでも砕けぬか!」

 

まだブウの気配が残っていることを察したヒノカミは次の武装を具現化する。

 

「アークエンジェルズ!ファイア!あ奴を叩き潰せ!!」

 

魂を砕く力を持つ9体の機動天使が爆炎へと飛び込み、修復しつつあるブウへと攻撃を加える。

 

「母上!」

 

「ちっとやそっとじゃあ奴は倒せまい!

 時間は儂が作る!エネルギーを蓄積せよ!」

 

「心得た!はぁぁっ!!」

 

マッスルフォームへと変身したセルが右腕を引き絞り、『発勁』で霊力の蓄積を始める。

 

「ウホーーーッ!ウホウホーーーッ!」

 

機動天使たちを破壊した魔人ブウがゴリラのようなドラミングをしながら高らかに勝ちどきを上げる。

残念ながらヒノカミではあのブウと直接切り結ぶほどの実力はない。

 

「こいつは、本気で儂でも辛いんじゃがの……!」

 

ならば鎧も天神武装も力の無駄と解除し掌を合わせる。

そもそも今から使う力は己の出力全てを集中してようやく具現化可能な、老界王神が見出した彼女の真の力。

 

 

 

「オーバーソウル……『グレートスピリッツ』!!」

 

 

 

女神ヒノカミの体を中核とした神々しい光を放つ巨大な白亜の鎧。

本来は地球が記憶したあらゆる事象を再現する究極のOSだが、彼女がオーバーソウルしたのは、グレートスピリッツでもある彼女自身の魂。

 

「儂が見聞きし記憶した事象の全てを……その身に叩きこんでくれるわぁっ!!」

 

「アギギ……ガァァァッ!!」

 

炎が、氷が、風が、雷が、大地が、光が。

ありとあらゆる自然現象と、ありとあらゆる英雄たちの技が実体化し、たった一人の魔人へと襲い掛かる。

 

 

 

「す、すげぇ……」

 

『まさか、ただの辺境惑星の神がこれほどとは……!』

 

『あれがあのお嬢ちゃんの本当の力じゃ。

 アイツとおめぇさんらじゃ強さのベクトルが違うんじゃよ。

 それを無理におめぇさんらに合わせようとしてたんだから、酷い宝の持ち腐れになっとったんじゃ』

 

「……さ、さすがは、界王神さま……!」

 

「ただのクソジジイじゃなかったんだな!」

 

『なんじゃと!?おいこら悟空!!』

 

実は悟空の中でも、義理の母にセクハラかました老界王神への評価はかなり低かった。

 

「おぉっ!セルが一発ぶちかましたみてぇだ!」

 

「ブウの気が大きく減った!これならなんとかなるかもしれん……!」

 

遥か遠方からでも見える巨大な白い鎧とその暴れっぷりを見て、悟空たちは歓声を上げる。

しかしそれを面白くなさそうに見つめていたベジータが覚悟を決めた。

 

「おいカカロット!とっとそいつを左につけろ!」

 

「ベジータ?」

 

「この戦いでオレたちが何をした!?

 デカい口を叩いて無駄に時間を使わせただけで、ただの役立たずだった!

 こんな屈辱を受けるくらいならてめぇと合体した方がまだマシだ!」

 

「……だな!」

 

「それを言えば、オレこそ何もできていないんだが……」

 

『私たちなんか、安全な場所から口出ししてるだけですし……』

 

ピッコロと界王神の言葉も無視して、二人のサイヤ人がそれぞれの耳にポタラを取り付ける。

直後二人の体が互いに引き寄せられ。

 

 

 

「よっしゃーーーーーーっ!!」

 

 

「『おぉっ!?』」

 

とんでもない力を持った戦士の誕生に、ピッコロたちだけでなく遠方で戦っていたセルや魔人ブウすら動きを止める。

 

「ベジータとカカロットが合体して『ベジット』ってところか……。

 まぁ名前なんざどうだっていい。

 とっとと行かねぇと、合体した意味すらなくなっちまうからな……!」

 

超サイヤ人3へと変貌したベジットが戦場へと飛んでいく。

 

 

 

間もなく限定空間そのものを破壊するほどの圧倒的なエネルギーが放出され、魔人ブウはその存在を完全に消滅させた。

 




ちょっと強引ですが、これにて魔人ブウ討伐となります。
・原作生存キャラ死亡を避けるためにもウーブ、すなわち魔人ブウ(純粋)を誕生させ倒さねばならない。
・魔人ブウ(無邪気)を(善)へと変化させた上で生き延びさせなければならない。
・戦いに参加したキャラそれぞれにある程度見せ場を作らねばならない。
上記をすべて満たしつつキャラの性格が乖離しないストーリーを考えた結果このようになりました。
でもピッコロだけは出番が用意できなかった……ごめんよピッコロ。
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