『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第121話

 

「なんだおめぇ?」

 

「……っ!?馬鹿野郎、言葉を慎め!

 このお方は……!」

 

「やぁベジータ王子、久しぶりだね。

 前に会ったのは確かキミが小さい頃だったね」

 

「破壊神ビルス……宇宙一強い破壊の神だ。

 誰も逆らうことはできない……!」

 

「っ!?コイツが、以前お前が言っていた……!」

 

まだベジータが幼く惑星ベジータで過ごしていた頃、父であるベジータ王を足蹴にする姿。

そして宇宙の帝王を名乗っていたフリーザですらビルスに怯えへりくだっていた。

今のベジータは彼らを大きく超える力を手に入れたが、それでも未だに力の差が大きすぎて勝てる気がしない。

 

「その気になれば星や銀河どころか、宇宙すら破壊してしまえるお方だ……!」

 

「「「!?」」」

 

「下がれ、お前たち」

 

怯える集団から一人が一歩前に出る。

 

「なんだいキミは?」

 

「セル、と申します。次期地球の神に内定している者です。

 破壊神さまにこのような辺境の惑星に足をお運びいただき、光栄の極みにございます」

 

セルは既に何度か地球の神の代行を務めており、その力の残滓を漂わせている。

『次期地球の神』という言葉に説得力はあるはずだ。

 

「キミが、神ぃ?そんなツギハギの体と魂で?

 ボクを馬鹿にしているのかい?」

 

母から与えられた己の存在を貶され一瞬怒りが溢れ出しそうになるが、誰にも悟られぬようぐっと堪える。

彼の頭の中ではずっとOFAの『危機察知』が警鐘を鳴らし続けている。

『コレ』はダメだ。どうやっても勝ち目がない。

そして絶対に母と会わせるわけにはいかない。

事態を察して調理場に引っ込んでいる母に代わり、何とかこの場を穏便に乗り切らなければ。

 

「まぁまぁビルスさま。

 星々の神の任命権は彼らにあるのですし、口出しするのは野暮というものですよ」

 

「それもそうか。問題になるようならボクが破壊すればいいだけだしね」

 

「……ありがとうございます。

 それで、ご用件は一体何でしょうか?」

 

「あぁ、でもその前に……あのテーブルに置かれているいい匂いがするものは、ひょっとして地球の料理かい?」

 

少し前からビルスの視線はパーティーのごちそうに釘付けになっていた。

 

「その通りです。今日はブルマ……あちらの女性の誕生日パーティーを開いておりまして。

 ……お食事をご希望ですか?」

 

「わかってるじゃないか!」

 

尋ねただけで了承したわけではないのだが、ビルスはよだれを垂らしながら料理の山へと突き進んでしまった。

神の前で念話を使うとまず盗み聞きされてしまうと思った方がいい。

セルは視線や手信号で周囲の者に、子供たちとブウをビルスから離すよう伝える。

子を持つ戦士たちはそれぞれの妻に任せたようだ。戦士たちは万が一に備えビルスの傍に残る。

ブウはサタンが直接厨房へと押し込んだ。

 

「……うまい!」

 

「あらほんと。地球は美食の宝庫と聞いていましたが、噂は本当だったんですねぇ」

 

「なんだと!?おいウィス!

 そんな重要な情報を何故もっと早く言わなかった!?」

 

「地球に人類が繁栄してからなのでここ数百年の話ですし、最近までビルスさまは眠ってらしたではないですか。

 それにお伝えしたところで、噂だけで動けるほどお暇ではなかったでしょう?」

 

「うぐっ!?」

 

少し前にようやく目を覚ましたビルスは、流石に惰眠を貪りすぎたと破壊神らしい活動に注力していた。

とは言え、質の悪そうな連中がいる星に適当に目星をつけて殴り込み、適当にからかって星ごと破壊するという大雑把かつ残酷なものだったが。

 

「ふんっ!だとしても試しに取り寄せるくらいはできただろう!?

 ……むっ!?なんだこれは!?

 口当たりが良くなめらか!甘味が強いがくどくはなく、上品で奥深い味わい!

 これは一体なんだっ!?シェフを呼べっ!!」

 

「そりゃプリンだ。シェフも何も、作ったのはオラだぞ?」

 

「プリン!なるほどこれ以上相応しい名前はないな!

 ……しかしお前が?お前はサイヤ人だろう?」

 

「あぁ。ここにある料理の3割くらいはオラが作ったんだ。

 こんな風に人前に出せるくらいの腕になったのは割と最近だけどな」

 

「嘘ではないご様子ですねぇ。しかし驚きました。

 アナタのような穏やかなサイヤ人がいらっしゃるとは。

 ビルスさま、これは『超サイヤ人ゴッド』とやらにも期待ができるのでは?」

 

「「「超サイヤ人ゴッド?」」」

 

食事に夢中でまともに会話してくれないビルスに代わり、付き人であるウィスが説明する。

 

遥か昔にビルスが予知夢で見た、彼を楽しませてくれる強敵。

それが『超サイヤ人ゴッド』。

この宇宙のサイヤ人は既にフリーザが絶滅させてしまったので望み薄かと思っていたが、地球にそのフリーザを倒したというサイヤ人がいると聞き、わざわざ足を運んだそうだ。

 

「しかし『予言魚』さんが気になることをおっしゃっていたんですよねぇ。

 超サイヤ人ゴッドを目覚めさせようとした時、同時にビルスさまの『真の敵』も目覚めるとか……」

 

「んぐっ、んぐっ、プハァーーーーッ!

 なぁに、どんな奴が出てもボクが破壊してしまえばいいだけさ!」

 

締めのラーメンのスープまで飲み干し満足したらしいビルスがようやく話に入って来た。

 

「さぁて、腹ごしらえも十分だ!ではさっさと戦おうじゃないか」

 

凄むビルスを前に、サイヤ人たちは顔を合わせる。

 

「いやぁ、破壊神なんてすげぇ神さまがオラたちと戦ってくれることは嬉しいんだけどさ……『超サイヤ人ゴッド』ってなんだ?」

 

「なに?」

 

名前からして超サイヤ人に関するものだろうが、生憎と聞き覚えがない。

ベジータやラディッツも初耳だそうだ。

 

「オラたちが勝手に『超サイヤ人3』って呼んでるのが、今のところの最終形態なんだ。

 でも宇宙丸ごと破壊できちまうような神さまの相手ができるとは、ちょっとなぁ……」

 

「ふぅむ……仕方ない。とりあえずお前らでボクの相手をしてもらおうか」

 

「お待ちを。ここでは周囲に被害が出ます。彼らも全力を出しづらい。

 ……神殿までお越しいただけますか」

 

割り込んだセルが、やむを得ないとビルスを神殿へと誘導する。

神殿にはヒノカミの本体がいる。端末を通じて状況を察知した後は奥の異空間に引っ込んでいるが。

ビルスと接触する危険は高まろうとも、地球や住人達を巻き込むよりマシだ。

 

「仕方ない……あの空に浮かんでる奴だね?」

 

「では我々は先に向かいますので」

 

ビルスとウィスが神殿に向かい超スピードで移動した。

急ぎ自分たちも続かなければ、待たせたことを不敬と言い出すかもしれない。

セルは黒鞭を伸ばして悟空・ベジータ・ラディッツ・悟飯・ピッコロに絡ませる。

彼の転移能力はヒノカミに劣るため、共に転移する対象と接触していなければならない。

 

「ブルマ!」

 

「……えぇ!」

 

セルは転移する直前にブルマに声をかけた。

それだけで彼女は正確に意図を察した。

 

一行が居なくなったところで、ブルマが声を上げる。

 

「みんな、協力して!ドラゴンボールを集めるわ!」

 

「なに?神龍に何を願うつもりじゃ?」

 

 

「『超サイヤ人ゴッド』ってのを調べてもらうのよ。

 あの神さまが癇癪起こす前に、急いで!」

 

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