『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第122話

 

転移能力のおかげで一瞬だけ先回りできたセルたちは、ビルスたちを迎え入れる。

 

「うん、感心感心。

 だがボクにこんな狭い場所で戦えっていうのかい?」

 

「……アラ?ビルスさま、これ『カッチン鋼』ですよ?」

 

「流石は天使さま。並の素材ではこの者たちの力に耐えられないため、この神殿の基礎や土台は全てカッチン鋼に入れ替えているのです」

 

持っていた杖で神殿の足場を何度か叩いたウィスの言葉を肯定する。

それは界王神たちから教えてもらった、宇宙で一番硬いと言われている金属。

ブロックを一つ譲ってもらい、ヒノカミとブルマで解析し、能力で複製した。

 

「そして戦場の広さについてですが……ピッコロ、頼む」

 

「わかった」

 

「「?」」

 

セルが神殿に自分の力を送り、ピッコロが術を起動する。

直後神殿から周囲の空に光が走り、そして収まった。

目には見えないが、神殿を起点とした透明な壁が地球全てを覆っている。

 

「外宇宙から地球を守る為の結界です。

 この神殿より上からの衝撃を可能な限り防ぎます。

 破壊神さまの力に耐えきれるはずもありませんが、直接地上で戦うよりは被害を抑えることもできましょう」

 

「あらま。随分と厳重な仕掛けですのねぇ」

 

「母……現在の地球の神が心配性で、凝り性なものですから」

 

最近になってとんでもない騒動ばかりが頻発しているので、フリーザを倒した後くらいからヒノカミは神殿を魔改造し続けている。

地球よりも広い特殊な空間、星の民全員の腹を満たすことができる食料生産プラント、人造人間の物を改良した大型無限エネルギー炉。

たとえ宇宙が崩壊しようが地球という星を守り維持できるように。

その気になれば『宇宙船地球号』で宇宙を旅することもできるという有様。

明らかにやり過ぎである。

尚、魔改造にはカプセルコーポレーションの全面的なバックアップを受けている。

 

「あぁ、『天女』だっけ?随分暴れてるみたいじゃないか。

 そういえばソイツはどこにいるんだい?」

 

「……申し訳ありませんが、諸事情でお二人の前にお姿を現すことができないのです」

 

「ふぅん……まぁどうだっていいか、それよりも超サイヤ人ゴッドだ。

 少しは楽しませてくれよ?」

 

ウィスがビルスから距離を取り、4人のサイヤ人が身構える。

 

「……悟飯、兄ちゃん。わりぃけど少しだけ時間稼ぎ頼めるか?」

 

「お父さん?」

 

「おいカカロット!まさか……!」

 

「わかってんだろベジータ。オラたちが一斉にかかったところで勝ち目はねぇ。

 だったら最初からアレを使うしかねぇだろ?」

 

「……くそったれぇ……」

 

「…戦士の情けだ。暫くそちらの方は見ないでいてやる。行くぞ悟飯!」

 

「はい、伯父さん!!」

 

超サイヤ人3に変貌したラディッツに、超サイヤ人2の悟飯が続く。

最強争いから退き社会に混じって生きることを選んだ彼らだが、農家に学者という戦いから程遠い役職だからこそ万が一力加減を間違わないようにと、ヒノカミから相当強めに呪霊錠を付けて生活している。

戦闘訓練は全くしていないが筋トレだけなら果てしなく積み重ねてきたのだ。

単純なパワーだけなら彼らも悟空らに負けてはいない。

 

「……ハァ」

 

だがその程度で破壊神に届くはずもない。

つまらなそうにため息をついたビルスはあっさりと二人を返り討ちにする。

 

「ぐっ……まだまだぁ!」

 

「何度やっても……ん?」

 

起き上がって再び襲い掛かってくるラディッツたちの向こうで、悟空とベジータが距離を取って並び立っていた。

 

両腕をお互いと逆の方に真っすぐと伸ばしている。

 

「「フュ~~~……」」

 

腕を上にあげ逆側に動かしつつ、チョコチョコと三歩分近づく。

 

「「ジョン!」」

 

広げていた掌をグーにしつつ再び逆側へ。

そして片足を折りたたんで垂直に持ち上げ腰を捻る。

 

「「はっ!!」

 

相手と近い方の脚を曲げ遠い方の脚を伸ばし、両腕を折り曲げて真横に体を倒しつつ、一本だけ伸ばした人差し指を互いに突き合せた。

 

二人の体からまばゆい光が放たれ、二人の影が重なり合っていく。

 

「あら珍しい。あれはメタモル星人の『フュージョン』ですね」

 

「あぁ、そんなのもあったね。

 ……なるほど、ちょっとは期待できそうだ」

 

光が収まった後には悟空とベジータが混ざり合った戦士『ゴジータ』の姿があった。

 

これがポタラを貸す代わりにとヒノカミが悟天とトランクスに教えた、別の合体方法。

二人の体格や実力が近くなければならず、合体の度に隙だらけの儀式が必要。

制限時間は30分で再合体には1時間のインターバル、強化倍率もポタラに劣ると色々と下位互換だが、手軽に合体できる点は大きなメリットだ。

ヒノカミが宇宙を旅する内に学んだ技であり、ポタラとの違いを理解してもらうために合体経験者である悟空とベジータにまず教えたわけだが、ベジータにはこの儀式が大変に不評だった。

何故だ、こんなにカッコイイのに。

ギニュー特戦隊なんか各々の体格差がありすぎて合体できないことをむせび泣いて悔やんだほどだぞ。

 

「一気に決めさせてもらうぞ!」

 

さらにゴジータは超サイヤ人3に変身した。

修行により多少伸びたが、超サイヤ人3でいられる時間の方がフュージョンの持続時間より更に短い。

出し惜しみをする時間はなく、出し惜しみができる相手ではない。

 

「だりゃぁぁぁーーーーーっ!!」

 

「う~ん……だいぶマシにはなったけど……」

 

悟飯とラディッツを降したビルスがゴジータを迎え撃つが、残念ながら彼の求める水準には届かなかったようだ。

ビルスを知る者ならば驚くべきことに、何度かわざと攻撃を受けて見たり超サイヤ人3の変身が解けるまで待ってやったりとかなり気長な対応をして見せたが。

 

「……こんなものかぁ」

 

「ハッ、ハッ、これでも全然届かねぇってのか……」

 

「クソッ、何のためにこのオレがあんな無様な真似を……」

 

悟飯とラディッツに続き、フュージョンが解けた悟空とベジータも膝をつく。

 

「まぁまぁビルスさま。それでも久しぶりに運動はできたじゃありませんか」

 

「期待が大きかった分、失望も大きいんだよ……。

 超サイヤ人ゴッドは他を当たるとしよう」

 

ビルスはゆっくりと更に上へと浮かび上がり、ウィスもその後ろに続く。

 

 

 

「だが破壊神が星を訪れて、何もしないわけにはいかないからね。

 ……地球を破壊させてもらうよ」

 

「「「!?」」」

 

ビルスは両手を掲げ、破壊の力を込めたエネルギー球を作り出す。

 

「お待ちを!次のお相手は私が!!」

 

「確かにキミが一番強いみたいだけど、そいつらのフュージョンと大差はないだろう?時間の無駄だ」

 

神殿の奥から16号が飛び出してくるが、彼では防げまい。

アレはただのエネルギーではなく『破壊の力』が込められているのだ。

 

「食べ物は美味しかった、けどね……破壊神を失望させた罪は重いんだよ」

 

「くっ!」

 

セルは飛びあがり、掌を叩き領域を展開する。

この身と領域で1割でも威力が減衰できればという、悲しい抵抗だ。

だが破壊の鉄槌が地球へと振り降ろされる瞬間に。

 

 

「っ!?」

 

ビルスは咄嗟に放出しようとしていた破壊の力を右腕に纏い、首の横に差し出し炎の剣を受け止める。

 

「……何の真似だい?」

 

「母上……!」

 

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