決着までは1日2回投稿で行きます。
不評を買うような話の流れもありますが、自分の書きたいことを書ききった結果です。
一週間の職場体験を終え、ヒーロー科の生徒たちが雄英に帰って来た。
その直前に治療を終えたヒノカミも戻っている。
寿命はどうにもならなかったが体調は随分良くなった。
轟と飯田は真っ先に、爆豪と緑谷は一足遅れでヒノカミに成果を伝えに行った。
轟は父や兄の姿を間近で見て、目指す姿が定まったと言った。
飯田は考え得る限りベストの結果にたどり着けたとヒノカミに向かって深く頭を下げた。
憑き物が落ちた晴れやかな表情だった。
これからは兄のヒーロー名『インゲニウム』を継ぎ、未来を向いて生きていくとのこと。
爆豪はひたすらにミルコに引っ付いてヴィラン退治だったらしい。
大層気に入られ、卒業したらサイドキックに来いと勧誘を受けたそうだ。
むしろ自分がミルコを部下としてこき使ってやると返したらしい。
勝気な者同士、気が合ったのだろう。
緑谷はナイトアイとグラントリノに認められたようだ。
ヒーロー活動はほとんど行っていないが、二人に大層しごかれたとのこと。
そしてナイトアイから少しだけOFAのことを話したという報告を聞き、オールマイトは決心した。
「……緑谷少年にワン・フォー・オールと、オール・フォー・ワンのことを伝えようと思う」
「そうか……同席しよう。
勝己も呼ぶが、構わんか?」
「あぁ」
放課後、ヒノカミが緑谷と爆豪を指導室へと呼び出す。
神妙な面持ちで沈黙しているオールマイトの姿を見て、二人もただ事ではないと察したらしい。
「掛けたまえ」
「は、はい」
「……」
オールマイトの対面に二人が座る。
ヒノカミは邪魔が入らないように扉の鍵をかけ、そのまま扉に背を預け佇む。
「緑谷少年、ナイトアイたちから連絡は受けているよ。
ワン・フォー・オールのこと……聞いたらしいね」
「……詳しくはオールマイトたちに直接聞けと言われましたが」
「やっぱソレ関連か……この場に呼んだってことは、俺も聞かせてもらえるんだな?」
「今更お主を除け者にはせぬよ。
しかしこれから話すのはワン・フォー・オール以上の極秘事項じゃ。
知れば危険もある。
後継者たる出久に選択肢はないが、お主は聞かない方が良いかもしれんぞ?」
「トップになろうってんだ。
危険なんざ跳ね除けてやる。……話せや」
「……お願いします」
二人の覚悟を受け取ったオールマイトは語り始めた。
かつて超常がまだ日常でなかった混沌の時代に生まれ、悪の支配者として裏社会に君臨した巨悪。
名を『
『個性を奪い、与える』個性を使い、人々を時には利益で、時には恐怖で操り支配してきた。
AFOには無個性の弟がいた。正義感が強く、兄の所業に心を痛め、抗い続けていた。
理由はわからないが、AFOはそんな弟に一つの個性を無理やり与えた。
そして無個性と思われていた弟にも、個性が宿っていたことが発覚した。
「『力をストックする』個性と、『個性を与える』個性が混ざり合った。
これが『
「「……!!」」
「しかし個性を手に入れても兄に勝つことはできなかった。
だから弟は後世に託すことにしたんだ。
力を培い、また次へ。いつかオール・フォー・ワンを倒してくれという願いを込めて、ワン・フォー・オールは受け継がれてきた。
つまりワン・フォー・オール継承者とは、オール・フォー・ワンと戦うことを宿命づけられた存在なんだ」
「え?でも、大昔の話ですよね?」
「……まさか生きてんのか!?」
「個性を奪える人間だぜ?寿命なんてどうとでもできるさ。
歴代ワン・フォー・オール継承者は、幾度となくオール・フォー・ワンと戦ってきた。
そして八代目である私が6年前、ヒノカミやナイトアイたちと力を合わせ、ついに奴を倒した……はずだった。
だが奴は生きていた。敵連合という配下を操り、脳無を生み出し、再び世界を支配せんと動き出している」
話のスケールの大きさに、緑谷だけでなく爆豪も息を呑む。
「……デクはいずれ、そのオール・フォー・ワンってのと戦わなきゃならねぇのか?」
「これは我々の不始末。
後世に……緑谷少年に押し付けずに済むように動いているところだ。
しかし絶対になんとかしてみせるとは、情けないが言い切れない。
……だから、話しておかなきゃと思ってね」
「……頑張ります!」
緑谷が立ち上がって宣言する。
「今はまだ全然だけど、すぐにワン・フォー・オールを使いこなせるようになって……オールマイトたちが安心して後を任せられる、立派なヒーローになってみせます!
……だから、その、迷惑なんかじゃないですから。
それよりもオールマイトたちに……無理とか、してほしくないです」
「ハッ!生意気言ってんじゃねーよデクが。
巨悪だかなんだか知らねーが……俺がぶっ殺してやらぁ。
ロートルが出しゃばる必要なんざねぇよ」
「……」
オールマイトは無言でヒノカミの方を見た。
彼らの気持ちは嬉しいが、それは叶わない願いなのだと。
……ヒノカミの死は避けられないのだと、伝えるべきではないか。
しかし彼女は首を横に振った。少なくとも今はそのつもりはないという意思表示だった。
「……ありがとう」
だからオールマイトは、感謝を伝えることしかできなかった。
「……さて、オールマイトの話はここまでじゃ。
ほれ、さっさと戻れ。
まだ次の教員会議の資料が準備できておらんじゃろう?」
「……もう!最後までかっこよく終わらせてくれよ!
すまないが、行くよ」
「いえ!お話、聞かせてくれてありがとうございます!」
ヒノカミが扉を開くと、オールマイトが慌てて立ち去っていく。
緑谷たちも立ち上がるが、ヒノカミが扉を締め、再び鍵をかけた。
そして彼女はオールマイトが座っていた椅子に腰掛け、中腰になっていた二人を正面に見据える。
「……ヒノカミ?」
「すまんが、今度は儂の話に付き合ってもらおう」
彼女もまた真剣な表情で見つめてくる。
爆豪が音を立てて腰掛け、ヒノカミを睨み返す。
「……で、アンタは何を話そうってんだ?」
「なぁに、年寄りのちょっとした……『昔話』じゃ」
長らくお待たせしました。
次回、タイトル回収です。