ヒノカミが気絶から目覚めた時、そこは地球の神殿だった。
悟空とベジータ、地球の仲間たち、そして先ほどの場に居合わせた界王神だけでなくわざわざ界王神界から老界王神まで足を運んでいた。
状況を把握した直後、ヒノカミは土下座した。
直接見ていなかった面々も彼女が気絶している間に経緯を全て把握している。
流石に彼女のやらかしは擁護できるものではないが、やむを得ない流れであったと理解を示した。
今回の事態はビルスの所にいる『予言魚』が断片的に予言しており、それでもワガママを押し通したビルスが全面的に悪いので責任を感じる必要はないとウィスも明言している。
『もう二度と暴走しない』と約束してもらえるなら不問にすると、大界王神ヒノカミは地球の民たちから許しを得た。
次いで、界王神に『大界王神の座を返上させてくれ』と泣きついた。
そして却下された。
その称号がビルスから彼女の身を守っていることは事実であり、すでに宇宙中の関係者に追認を受けている以上、反故にもできない。
……というかこの二人が何の柵もなく本気で殺し合ったら単純に宇宙が危ない。
それほどまでに嫌がるのなら今回の償いとして甘んじて受け入れ、まい進するようにと、大界王神ヒノカミは界王神からお説教を受けた。
地球の神は正式にセルが継いだ。
既に何度も代行を務めており問題は全くない。
だからという訳ではないが、ヒノカミはすぐに宇宙に飛び出し委任状に署名してくれた関係者全員に謝罪に向かうことにした。
特に界王拳と元気玉を悪用する形となってしまったため、北の界王の元に真っ先に伺い地面に額がめり込むほど頭を下げた。実際にちょっとめり込んでいた。
もう散々叱られただろうからと界王は彼女を責めることはせず、しかし悟空ですら達していなかった己の技の極みをこの目で見れたことを喜び感謝を告げた。
大界王神ヒノカミは北の界王のあまりの寛大さに思わず涙を流した。
その後も彼女は方々を巡り、何度も頭を下げ、何度も感謝を示した。
歴史上彼女ほど強く、彼女ほど若く、彼女ほど腰の低い大界王神は存在しなかっただろう。
ようやく謝罪行脚を終えたヒノカミは、いやいやながらも託された大界王神の名にふさわしい役目を果たすため、それから……。
――――……
ここは宇宙のどこかにあるという『破壊神ビルスの星』。
本来はビルスとその付き人であるウィスしかいない場所には、地球から二人のサイヤ人が頻繁に足を運んでいた。
破壊神という圧倒的強者の存在、それに匹敵する力に目覚めたヒノカミ。
悟空とベジータは彼らに並び立つ力を求めて、実力だけならばビルスよりも強いウィスに弟子入りし教えを乞うていた。
運よく解決したものの、彼らは暴走したヒノカミに全く歯が立たなかった。
故に今度こそ『彼女を自分たちで止めることができるように』と力を求めた。
ヒノカミの引き起こした事態を重く見た地球の戦士たちは二人の意思を後押しし、地球の美食の数々を気に入ったビルスたちも『修行中の料理は全て悟空が用意する』という条件で彼らを受け入れた。
ベジータは何も貢献していない。ビルスたちが地球を訪れた時に彼の妻であるブルマが歓待することが条件になってはいるが。
ビルスも場所こそ提供しているものの、寝ているばかりでほとんど修行に手を貸していない。
しかし先日の一件で思うところがあったのか、真面目に働く頻度が増えた。
時折ふらりと宇宙に出ては、破壊神らしく悪逆の星を破壊している。だが。
「ビ~~~~ル~~~~ス~~~~!!!!!」
「「お?」」
「またか……今度は何だヒノカミ!」
鬼の鎧を纏ってもいないのに憤怒の形相を発揮したヒノカミが、いつものようにビルスの星へと殴り込みをかけてきた。
「何だも何もあるかぁ!貴様が先日破壊した星じゃがなぁ!」
「それがどうした?周辺の星々に侵攻を仕掛けるろくでもない星だっただろうが!」
「貴様が雑に破壊したせいで残骸やら何やらで周辺宙域が乱れて、その周辺の星々で異常気象が起きとったんじゃよぉぉぉぉーーーーっ!!
儂が確認に向かわなかったら放置されたままで一帯が全滅しておったぞ!
もう少し丁寧に壊さんかい!!」
「知ったことか!ボクは壊すのが仕事なんだ!
直したり治したりはお前の仕事だろうが!!」
「余計な仕事を増やすなと言っとるんじゃあっ!!
嫌がらせか?嫌がらせか貴様ぁっ!!!」
「やれやれ……少し休憩にしましょうか」
「だな」
「チッ」
ウィスに連れられて悟空とベジータが二人から離れていく。
今までは破壊神ビルスが強権を振りかざし界王神が不満を呑み込む形で丸く収まっていたが、新たな大界王神は絶対に引き下がらない。
性格は真逆。役割も真逆。しかし揃って宇宙規模で活動していては互いの影響は避けられない。
そして力まで拮抗しているとあっては。
「「くたばれクソ野郎がぁぁあーーーーーーーっ!!!」」
すぐに殴り合いに発展する。
「……お二人は自由にしていてください」
宇宙の運営という面でのウィスの仕事はほぼなくなった。
なんだかんだ、この破壊神と界王神はとんでもなく優秀なのだ。
だがその代わりとにかく頻繁に喧嘩をするためその仲裁が中々にハード。
特に最近は二人の戦闘力が急成長しているため疲労も大きかった。
精神面での成長はまったくだが。
「おぉ~~~……やっぱビルスさまとばあちゃんはすげぇなぁ。
オラたちもまだまだだな。ハハッ!」
「笑いごとか、クソッ!
悪夢だ……まさか再び奴に上をいかれるなどと……!」
お気楽な悟空とは違い、ベジータは大切な使命を帯びている。
願いを託されたのだ。地球の仲間たちから。
『アレをこれ以上のさばらせないでくれ』と。
「構えろ、カカロット!」
「おっ?やっか?」
「絶対にもう一度超えてやる……宇宙最強はこのベジータさまだ!!」
「ははっ!初めて会った時を思い出すなぁ。
おめぇはやっぱそうでなくっちゃ!」
遠くで繰り広げられる激闘に負けてはいられないと、二人のサイヤ人が距離を取って身構える。
揃って超サイヤ人ゴッドとなり、その状態からさらに超サイヤ人に変身し、『超サイヤ人ブルー』と名付けた形態へと変化した。
「勝負だ、カカロット!!」
「来い、ベジータ!!」
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
『ドラゴンボールの世界』編、これにて完結となります。
この後設定紹介を投稿し、少しだけオマケを予定しています。