『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第131話

 

第6宇宙の破壊神シャンパはビルスの双子の兄弟。

どちらが上かは聞いたことがない……というよりどちらが上かを決めるために頻繁に喧嘩をする、仲の悪い兄弟らしい。

とは言え破壊神同士が戦えば宇宙が消し飛んでしまうため、ここしばらくは定期的に『どちらの宇宙の方がおいしいものがあるか』を比べる勝負をしていたらしいのだが。

向こうが意気揚々と用意した自慢の『ドンドン鶏の卵』は地球の『カップ麺』に大敗した。

第6宇宙と第7宇宙は対になっている。

よって第6宇宙にも地球があるのだがすでに地球人類は滅びており美食が生まれる余地がないと判明した。

そこでシャンパが提案してきたのが『第6宇宙・第7宇宙の代表者5名による格闘試合』。

第6宇宙が勝てば、お互いの地球を交換するという。

 

 

 

「ムカつくね」

 

「消しましょう」

 

「そうしよっか」

 

 

「わぁ~~~っ!待った待った!!」

 

即断を決めた全王とヒノカミを悟空が止める。

しかし全王の怒りは尤もだ。勝手にお互いの宇宙の星を入れ替えようなどと、宇宙の管理者として大問題。

了承したビルスも悪いが提案したシャンパはそれ以上だ。

ヒノカミはまだ直接シャンパに会ったことはないが、彼もまたクズだったかと落胆した。

同じビルス嫌いとして、仲良くなれるかもと期待していたのに。

 

「実はさぁ、オラが乗り気になって後押ししちまったんだよ。

 別の宇宙のスゲェ奴らと戦えるなんて聞いて、居ても立っても居られなくて。

 だからばあちゃんも全ちゃんも、あんまビルスさまを責めねぇでやってくんねぇか?」

 

「なんじゃと……!?」

 

「それに地球が入れ替わるだけなら、地球に住んでるオラたちにはあんまり影響ないと思ってさ……」

 

「カカロット、貴様気付いていなかったのか!?

 今のヒノカミは『第7宇宙の界王神』だぞ!?」

 

「へ?……あぁぁぁ~~~~~~~っ!!!!」

 

ヒノカミはとっくに地球の神ではない。第7宇宙そのものに帰属している。

この地球が第6宇宙に移籍してしまえば、ヒノカミとは会えなくなる。

界王神なら別の宇宙へ向かうのは不可能ではないので今生の別れとはならず、ヒノカミなら行き先が分かれば別の宇宙でも転移できるが、第7宇宙の代表が頻繁に宇宙を不在にするわけにもいかない。

 

「やっべぇ、そうだった!

 どうしよう、今からでもナシにしてもらえねぇかなぁ!?」

 

「先にアレをなんとかしてこい」

 

「へ?……わぁぁっ!ゴメンってばあちゃん!」

 

息子に『会えなくなっても問題ない』と言われ傷心の女神は、またも神殿の淵に体育座りをして光の無い目で下界を見下ろしていた。

 

「いかがなさいますか、全王さま」

 

「……悟空が言うんなら、待ってあげる。

 でも本当に星を入れ替えたりしたら消しちゃうからね」

 

「ありがとうございます。

 必ずや勝利し、破壊神どもの暴挙を防いで御覧に入れます」

 

セルは恭しく一礼する。

ヒノカミにくっついて何度も地球に足を運んでいる全王は、ヒノカミの家族である悟空やセルに対して幾分好意的だ。

それでも明らかな違反をすれば容赦なく消すだろうが。

 

 

 

「しかし……超ドラゴンボールか。

 噂には聞いていたが……」

 

復活したヒノカミが戻ってきて話に割り込む。

 

宇宙に浮かぶという、一つが星ほどの大きさもある巨大なドラゴンボール。

この欠片を元に作られたのがナメック星のドラゴンボールであり、それを模倣したのが地球のドラゴンボールだそうだ。

限界などない。どんな願いでも叶うと言う。

シャンパはすでにこれを6個揃えており、これが今回の試合の報酬になっている。

シャンパはこの超ドラゴンボールを使って、地球を入れ替えるつもりらしい。

 

ヒノカミが大界王神になってから宇宙を飛び回っているが未だ見つけたことはなく、与太話かと思っていた。

第6宇宙にあるのなら、第7宇宙にもあるはず。噂もあるのだから間違いない。

第6宇宙の残る一つの超ドラゴンボールのことも併せて、相談を受けたブルマが対処に動いているらしいのでそちらは任せて良いだろう。

目下の問題は、やはりこの試合で確実に勝利しシャンパの企みを防ぐこと。

 

「選手は5人じゃったな。誰が参加するんじゃ?」

 

「ビルスさまには『4人選んでおけ』って言われたんだ。

 だから順当に、オラとベジータとセルとピッコロかなって」

 

「4人?5人目は決まっておるのか?」

 

「ビルスさまが連れてくるんだって。

 昔戦った、『ばあちゃんの次に強かった奴』だとか」

 

「……そんな奴、この宇宙にいたか?

 いや、アイツ……だが破壊神にとっての昔なら何十年前……?」

 

「?」

 

「あぁ、すまん。……ピッコロ、その席儂に譲れ」

 

「!?待て、参加者は人間だけという決まりだったはずだ」

 

「端末で出る。今の儂なら、本体の8割ほどの力で操作できる。

 破壊神相手では勝ち目はないが、人間相手なら十分じゃ」

 

「なぁんかずっけぇなぁ。ばあちゃんはルール違反はしねぇんだろ?」

 

「ちょいと前まで人間だったんじゃ。人間の体を使うんだから文句あるまい。

 それに先にルール違反をしたのはシャンパじゃ。構うものか」

 

「……ねぇねぇ、ボクも見に行く!」

 

「お、全ちゃん来てくれんのか?

 オラたちを応援してくれよな!」

 

「うん!」

 

「じゃが全が来ていると知れば委縮し『やっぱり中止』とか言い出すかもしれんぞ。

 いや、儂としてはそれが最良であるのじゃが……」

 

「「えぇ~~~?」」

 

「……ならば、姿を隠してこっそりとな。

 悟空も皆も、全のことを口にしてはならんぞ」

 

「「わかった!」」

 

「……そこで甘やかすから、カカロットは成長せんのだ」

 

「それも母上の美点だろう?」

 

「貴様も大概だぞ、セル」

 

 

そして地球時間の5日後、中立空間に浮かぶ『名のない星』にて、破壊神選抜格闘試合が開催される。

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