『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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『僕のヒーローアカデミア』、完結おめでとうございます。

本作のオマケも最後まで書き終えましたので、明日から1日2回、最後まで一気に投稿します。


第133話

 

ベジータは宇宙は違えど同じサイヤ人であるキャベに親近感がわいたようで、彼には珍しいことにいくらか余計なお世話を焼いていた。

そっけなく振舞いつつも後輩の面倒を見ようという彼に第7宇宙の面々は生暖かいまなざしを向け、ベジータの視線がそちらを向いた瞬間一斉に顔を逸らした。

その後きっちりキャベに勝利した彼は次の対戦相手に苛立ちをぶつけようとしたが、第6宇宙最後の選手ヒットに敗れた。

気付けば攻撃を受け、気付けば攻撃を避けられている。

素の身体能力もかなり高いようで、訳が分からぬ内に負けていたという状況。

悟空も何が何だかという様子でいたが。

 

「「「なるほど」」」

 

第7宇宙の陣営にヒットの攻撃の秘密を正確に理解した者が3人いた。

ヒノカミ、セル、そして。

 

「何かわかったのか、グルド?」

 

「あぁ、奴はオレと同じ力を使ってやがる」

 

「同じ力……『時間を止めている』のか!?」

 

「オレと違って一瞬だけだがな。

 ……いや、一瞬だから消耗が少なくて連発できるのか……?」

 

ギニュー特戦隊のグルドもまた、希少な時間操作能力の所有者だ。

同種の能力を持つ彼ら3人は他者が止めた時の中でも活動できるためすぐに分かった。

 

「私と同じ能力を持つ者がこんなに……親近感がわきますねぇ」

 

立場上完全に第7宇宙側とは言えないが、4人目の能力者であるウィスが呟く。

とは言え、偏に『時間操作能力』と言っても彼らの能力の度合いには大きく差がある。

 

ヒットは連発できるが停止できる時間はわずか0.1秒。

グルドは1分くらいいけるが時間操作能力に特化しており素の実力が他に比べ低すぎる。

セルの能力はOFAの『変速』由来であり、加減速が可能だが自力で完全に時を止めるのは不可能。

ヒノカミはウィスと並びまさに神の領域。停止や加減速どころか巻き戻しすら可能だ。

 

「これは悟空さんでは厳しいかもしれませんねぇ。

 ですがその次はヒノカミさん……。

 端末ではそこまでの力は使えないでしょうが、後れを取るとは思えませんし大丈夫でしょう。

 ……というか人間の体を使って参加とは、改めて考えれば随分とギリギリなことをしますねぇ」

 

『所詮は新米界王神』と侮り彼女の端末での参加を認めた時点で、第6宇宙の敗北は確定していた。

彼女抜きの3人……というかセル一人で全滅していた可能性が高いので大した差ではないが。

ヒノカミが居なければセルが後に出番を譲ることもなかっただろうし。

 

「ふん、アイツの出番はない。悟空が倒すさ」

 

「おや、随分と悟空さんを評価していらっしゃるんですねぇ」

 

「というか、勝ってもらわなきゃ困る。

 ……アイツに借りを作るのだけは絶対嫌だ!」

 

「おやおや。オッホッホッホ」

 

ウィスは端末のヒノカミを見て、次いで離れた場所でポツンと座る本体のヒノカミを見る。

彼女の膝の上にはローブで姿を隠した小柄な誰か。

天使であるウィスは当然その正体に気付いている。第6宇宙のヴァドスもだ。

しかし彼らはビルスとシャンパには伝えていない。

それが『あの方』の御心とあらば従うのみ。

……既に彼女にとんでもない借りを作ってしまったことを、ビルスはまだ知らない。

 

 

原理が分かっても対処法がない悟空は序盤は苦しめられていたが、やがて『0.1秒後の相手の動きを予測して行動する』という方法でヒットに反撃を開始した。

そして悟空が超サイヤ人ゴッド、さらに超サイヤ人ブルーへと変身することでヒットとの実力差が広がりすぎて、ヒットが悟空の時間に干渉するのが難しくなり時間が止められなくなった。

悟空を強敵と認めたヒットが全力を解放、それでもまだ悟空の力が勝り届かない。

これで勝敗は決したかに思われたが。

 

「おめぇは強ぇし、まだまだ強くなれる。だからさ……」

 

悟空は自ら舞台の外に降り場外負けとなった。

 

「どういうつもりじゃ、悟空」

 

「へへっ、いつもオラたちが譲ってもらってばっかだからばあちゃんにも譲ろうかと思って。

 ……それにさ、ばあちゃんと戦ったらアイツはもっともっと強くなれると思うんだ」

 

「……やれやれ。そんで強くなったあ奴と戦いたいんじゃろ?

 結局自分のためではないか」

 

「えへへ~~」

 

満面の笑みを浮かべる悟空から離れた端末のヒノカミが、乱暴に頭を掻きながら舞台の上に歩みを進める。

 

『それでは次の試合、ヒット選手対ヒノカミ選手となりまーーす!』

 

「その前に、ちといいか?」

 

ヒノカミはヒットに近付き、白い炎を浴びせる。

 

「おいっ!合図の前に攻撃なんて卑怯だぞ!反則だ!!」

 

「いえ、シャンパさま。これは……」

 

炎が収まると、ヒットが受けていた傷が目に見えて回復していた。

それだけでなく消耗していた力も完全に取り戻している。

 

「……どういうつもりだ」

 

「ウチのバカ息子に付き合わせた詫びじゃ。

 儂は全力のお主相手に完全勝利するくらいしかしてやれんからの。

 げらげらげらげら」

 

「……いいだろう」

 

ヒットは悟空の強さと潔さに敬意を払い、次で負けてやってもいいと考えていた。

それを見抜いていたヒノカミは彼を挑発し、そして察した彼が応えた。

 

『それでは、はじめっ!』

 

 

「天神武装『縁炎烏蛇(えんえんちょうだ)王番振舞(おうばんぶるまい)』」

 

 

 

 

数分後、舞台の上にはボロボロになったヒットが転がっていた。

 




・天神武装『縁炎烏蛇(えんえんちょうだ)王番振舞(おうばんぶるまい)

自分の本当の戦闘スタイルに合わせて、新たに『鬼相纏鎧』の要素を加えて再構成したヒノカミの天神武装。
スピリット・オブ・ファイアを核とした、鬼の鎧を纏う巨大な人型の上半身を形成。
赤と白の手甲、炎の翼、白銀の陣羽織、副腕を兼ねる肩当を身に着けている。
常に主人の頭上に滞空し、主人の意向を察し、自ら考え行動する優秀なガードマン。
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