『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第143話 女神()軍勢

 

「「「げげげげげげげげげげ!!」」」

 

「「「嘘だろぉぉぉぉーーーっ!!!」」」

 

女神の体から、女神と同じ姿をした存在が溢れ出し濁流のように押し寄せてくる。

彼女の恐ろしさを嫌という程思い知らされていた戦士たちは恥も外聞もなく悲鳴を上げた。

 

 

「狼狽えるなっ!!!」

 

「「「!?」」」

 

逃げ出そうとした戦士たちを押しとどめたのは、第6宇宙の戦士ヒットの叫びだ。

彼は臆することなく、すでに分霊の1体に己の拳を叩きつけ消滅させていた。

 

「こいつらは明らかに動きが鈍い!

 そして見ろ!一発で簡単に消し飛んだ!

 どれだけ数が居ようと出来の悪い紛い物だ!!」

 

「「「げらげらげら。その通りじゃ」」」

 

この技の本来の使い手は『自我』も含めて複製していた。

よって複製が本体の意思に背く可能性が生じるという欠点があったが、複製は完全に自立行動していた。

対してヒノカミが天津飯から模倣した『心身気影』は分身の遠隔操作。

数が増えれば増えるほど、並列思考に処理能力が割かれてしまう。

 

「これは儂が注いだエネルギーでできた分霊」

「蓄えたエネルギーを使い切るか、許容上限を超える衝撃を受ければ消滅する」

「生成速度を優先しているので、1体当たりのエネルギー量は控えめじゃ」

「なので戦闘力では本体に大きく劣るのよ」

「普段使っている分霊とは比べ物にならぬほど弱い」

「それに『生成できる数』は無限でも『操作できる数』には上限がある」

「儂には『安心院なじみ(オリジナル)』ほどの処理能力は無いからな」

「7億人とか無理じゃし」

「上限は精々800万じゃよ」

 

「「「全然大したことないじゃろ?」」」

 

「「「十分すぎるわっ!!」」」

 

『八百万の神』ってそんな意味じゃないはずだ。

 

「……だが、弱く脆いなら勝機はある!

 分身が溢れ出している地点が動いていない!おそらく本体は動けんのだ!

 一丸となって突撃し、本体を叩くぞ!!」

 

「「「おう!!」」」

 

第11宇宙プライド・トルーパーズのリーダーであるトッポが指揮を執り、各宇宙の戦士たちが彼に続く。

最初はぎこちなかった彼らの連携も今や阿吽の呼吸だ。

 

「狙いは良し。されど明らかな欠点に」

「儂が対策を取らぬと思うたか?」

「動きが鈍いのは儂が操作せねばならぬからよ」

「ならばこの『身』に!」

「『勝手』に動いてもらえば良いだけじゃ!」

 

ヒノカミの分霊の頭髪の色が、一斉に変化する。

燃え上がるような赤い部分はそのままで、黒い部分が真っ白に染まる。

そして瞳は銀色に。溢れるオーラも赤から白銀に。

 

 

「あ……あぁぁっ……!」

 

「なん……だと……!?」

 

「嘘だろ!?嘘って言ってくれよぉ!!」

 

「もうやめでぇーーーーっ!!!」

 

彼女の変化の正体に気付いたベンチの神々が立ち上がり発狂する。

 

「おいウィス!お前がアイツに教えたのか!?

 なんてことをしてくれたんだ!!」

 

「オホホ、何をおっしゃいますか。

 神が優秀であることは宇宙にとって有益でしょう?

 ……尤も、私がしたことは一度目の前で見せただけですがね。

 まったく優秀で、面白みに欠ける教え子です」

 

 

 

『身勝手の極意』

 

意識と肉体を切り離し無意識に任せる力。

体が勝手にどんな攻撃でも回避し、体が勝手に己の限界を超えていくという究極技。

界王神や破壊神ですら容易に習得できぬ、ビルスも極めていない、神の御業。

 

「急に、動きがっ……!」

 

「がはぁっ!!」

 

「パワーまで!?」

 

戦士たちが一斉に押し返され始める。

膨大なエネルギーを消耗するからこそ、分霊はたった一撃を放つだけで所有していたエネルギーを使い果たし消滅してしまう。

だがそれで問題ない。分霊が一撃を放ち消滅していくペースよりも、ヒノカミが新たな分霊を生み出すペースの方が遥かに早いのだから。

 

「「「げらげらげらげら!!」」」

 

「う……うぁぁぁぁあっ!!こんなんありかよ!

 勝てるわけねぇだろぉーーーっ!!」

 

「待て!離れるな!!」

 

恐慌状態に陥った戦士の一人が逃げ出し、孤立してしまった。

分霊の数はいくらでもいる。孤立した一人に分霊が殺到する。

 

「「「まず一人」」」

 

「ひっ……!」

 

 

 

「魔貫光殺砲ーーーっ!」

「大気円斬!!」

 

その分霊の集団を螺旋を纏う光が貫き、円盤状の刃が切り裂いた。

 

「貴様らは……!?」

 

「貫通力や切断力のある技を使え!

 ダメージを与えれば消えることに変わりはないんだ!」

 

「ただの気功波は使うなよ!

 あの人はその気になりゃ、相手の気を吸い取って反射できるんだ!

 分身なら死なないんだから殺す気でやれっ!!

 そもそも殺しても死なねぇよ!!」

 

「行くぞ!カカロット、ベジータ!」

 

「わかってるさ、兄ちゃん!」

 

「貴様がオレに指図するなラディッツ!」

 

女神の味方であるはずの第7宇宙の戦士たちが、他の戦士たちを追い抜いて突撃する。

 

「うっほほーーーーい!楽しそーーーーっ!!」

 

「フッ……これもまた絶好の機会か」

 

「うぅぅ……うぉぁぁぁあああああっ!!!」

 

「うわぁっ!ブロリーさん!?」

 

スキップするように軽快な足取りでピンクの魔人が。

敬愛する母に己の成長を知ってもらおうと人造人間が。

目まぐるしく変化する事態に混乱し暴走した伝説のサイヤ人が。

それを追うように地球人とサイヤ人のハーフの青年が。

 

第7宇宙の戦士全員が、女神の軍勢へと挑んでいく。

 

 

 

「どういうつもりだっ!貴様たちは、奴の仲間ではないのか!?」

 

「仲間だとぉ……?奴は、敵だぁっ!!」

 

「オレさまたちに散々命令しておきながら、勝手に全部ひっくり返しやがってぇっ!!」

 

「先代と融合して、薄れたと思っていたがな……。

 殺してやる!殺してやるぞぉっ!!」

 

「行こうぜみんな!ヤムチャさんたちの分まで!

 俺たちの、積年の恨みを晴らすんだぁっ!!」

 

「「「「くたばれヒノカミィぃぃぃぃいいいいいっ!!!!」」」」

 

「はは……オラだって、負けてらんねぇぞぉっ!!」

 

 

 

「ぐるぅぁぁああああああっ!!!!」

 

「「「うわぁぁっ!」」」

 

「ブロリーさんに近づかないでください!巻き込まれます!!」

 

「離れましょう!カリフラさん、ケールさん!」

 

「ちっ、行くぞケール!……ケール?」

 

「ぐぅぅぅ……あぁぁぁあああああ!!!」

 

「「「どわぁぁぁあっ!!!」」」

 

「ブロリーさんと、そっくり!?」

 

「おいケール!?」

 

「ま、まさかケールさんたちは1000年に一度現れるという、伝説の悪魔のサイヤ人なのでは!?」

 

「「うがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 

 

 

「何だコレは!もう滅茶苦茶じゃないか!!」

 

「オホホホ……ヒノカミさんの宣言通りですねぇ。大会が台無しです」

 

 

 

「すごい!すごい!大暴れだ!」

 

「全王さま、ご満足いただけていますか?」

 

「うん!」

 

「それは何より」

 

 

 

「……プライド・トルーパーズ、集合!」

 

「「「はいっ!!」」」

 

「あの暴君を討つ!彼らに続けぇ!!」

 

「行こうぜ、ジレン!」

 

「……あぁ!」

 

「「「うぉぉぉおーーーーっ!!!」」」

 

 

 

無限の軍勢へと挑む、人間の英雄たち。

彼らの争いは激しさを増し、やがてエネルギーのぶつかり合いにより大爆発が生じた。

舞台は木っ端みじん。選手たちは方々に吹き飛ばされた。

術による飛行が禁止されている以上、飛べない彼らは場外へと落ちていく。

一人、また一人と順に戦士が消えていき。

 

「……そこまで!」

 

場外に落ちるのが一番遅かったのは……。

いや、最後まで場外に落ちなかったのは。

 

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