『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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次の外伝が全然進まない。
なのに短編が思いついちゃったからまた投げ入れます。

変な話数に投稿しちゃったので再投稿です。


第5話 地獄の沙汰もキミ次第

 

「鬼灯さまぁ~~」

「新人再研修のレポート、提出しに来ましたー」

 

「ご苦労様です。そこの台の上に置いておいてください」

 

「はぁ~~い……うわ!唐瓜見てよコレ!」

 

「なんだよ茄子……って分厚っ!内容細かっ!

 こんなにがっつりレポート書いた奴がいるのかぁ。

 一体誰が……『ヒノカミ』?」

 

「あ~、オレたちと一緒に見学してたあの見慣れない女の子?」

 

「えぇ、そうですよ。

 ちなみに提出してきたのも一番早かったです。

 彼女にはレポートを提出する義務はないんですけどね」

 

「ふへぇ~~、ふざけてるように見えたけど真面目な子だったんだなぁ。

 ……そういや鬼灯さま、あの子一体なんだったんですか?

 鬼じゃなくて人間でしたよね?新しい獄卒候補ですか?」

 

「じゃあ俺たちの後輩になるの?」

 

 

 

「あぁ、彼女は『大日如来』さんですよ」

 

 

 

「……ダイニチ?なんだっけ?」

 

「このボケ茄子!宇宙全部を司ってるっていう一番とんでもない仏さまだよ!」

 

「宇宙全部!?スゲェ!」

 

「あぁそうだよスゲェ仏さまなんだよ!

 マジで!?マジであの子が大日如来さまだったんですか!?

 俺たちめちゃくちゃ馴れ馴れしくしてましたけど罰とか当たりませんか!?」

 

「いえ、にぎやかで楽しかったと。

 罰当たりなんてことはありませんよ。当てることもできませんし」

 

「よかったぁ~~……。でも『当てることもできない』ってなんでですか?」

 

「彼女はこの世界の大日如来ではありませんので。

 最近別の世界で新しく大日如来になった方なんです」

 

「別の世界!?何すかソレ!?」

 

「へぇ~~、仏さまって新しくなれるもんなんだぁ~」

 

「理論上はなれますが現実的には不可能に近いですよ。特に最上位の如来ともなると天文学的な確率の奇跡です。

 彼女は何度も転生を繰り返し様々な世界を巡り続けるうちに、成り行きで宇宙一つを作り上げてしまいまして。

 そのまま成り行きで大日如来を名乗る資格を持ってしまった方なんです」

 

「成り行き!?成り行きで宇宙って作れるモンなんですか!?」

 

「いえ、普通は作れません。

 ですが彼女は生まれこそ普通なものの歩んできた道のりが普通ではないので。

 先ほど申し上げた通り彼女はいくつもの世界を渡り歩く力を持っているのですが、その過程でどんどん成長してしまい、ついに自分の力で宇宙を一つ作り出すに至ってしまったんです」

 

「そんなすごい人が、なんで俺たちと一緒に地獄の研修を受けてたんですかぁ?」

 

「生まれたばかりの彼女の宇宙はまだダークマターが漂ってる虚無の空間なんですが、いずれは惑星が誕生し生物が生まれ、そして人間も生まれるでしょう。

 なのでその前にあの世を用意しておかねばと考え、その参考にするために様々な世界を見学して回っているそうです。

 そして我々の世界のあの世にもいらっしゃったのですが、地獄では丁度新人獄卒の研修を行う予定だったので……」

 

「なるほどぉ」

 

「だからって仮にも大日如来さまを俺たちの中に混ぜ込みます……!?」

 

「下手に気遣われない方が喜ぶ方なんですよ。

 彼女自身、未だに自分が大日如来と呼ばれることに恐縮しきっていますし。

 それにあまりに気が早すぎますからね。見学程度で十分でしょう。

 彼女の世界に人間が自然発生するなんて何億年先になるかわからないというのに」

 

「真面目な人なんですね~」

 

「とても律儀で真面目過ぎる方ですよ。あぁ見えても。

 ……だからこそ神経質になってしまっているようですが」

 

「どういうことですか?」

 

「あの世を作ったとしても、しばらくは彼女がワンマンで運営することになります。

 亡者の判決も、彼女が一人で決めて下すことになるでしょう。

 その判決が独善で私情にまみれたものにならないかを、ひどく心配されているようです」

 

「そっか。こっちの地獄みたいに十王がいないし、鬼灯さまみたいな補佐官もいないんだ。

 ……じゃあ獄卒もいない!?それに地獄だけじゃなくて天国も!?

 しかも宇宙全部の!?本当に一人であの世を運営できるんですか!?」

 

「しばらくは亡者も少ないでしょうし、能力はとびぬけて優秀なので何とかなるでしょう。

 その気になれば彼女一人で、我々のいるこの地獄を完全に管理・運営することが可能なくらいですから。

 睡眠も食事も休息もいらないそうですし」

 

「うへぇぇ~~……」

 

「でも自分一人で全部かぁ~~。そりゃあ心配になるよね」

 

「何もかも自分一人で背負い込むような性格ではありませんが、他人を頼ろうにも他人がいない状況では仕方ありませんからね。

 私から見てもワーカホリックが過ぎるので、もう少し気楽に生きてもいいとは思うのですが」

 

「鬼灯さまから見ても働きすぎって、そりゃ大概だなぁ……」

 

「そうだよねぇ。ワシみたいに適度に息抜きしないと駄目になっちゃうよねぇ」

 

「お前は馬車馬のごとく働けヒゲ」

 

ガスンッ!

 

「ふがっ!?」

 

「あ」

「閻魔さま」

 

「アナタはまだ休憩時間ではないでしょう。

 こんなところに来て何をやっているんです?」

 

「アイタタタ……お香ちゃんが鬼灯くんを探してたからさぁ。

 それに亡者の裁判もそろそろだし、呼びにきたんだよぉ」

 

「もうそんな時間でしたか……。

 さ、では彼女に恥ずかしくないよう、我々もしっかり働きましょう」

 

「「はい!鬼灯さま!!」」

 




『鬼灯の冷徹』より一幕。
アニメ第一期の4話、芥子ちゃんが大暴れした新人獄卒再研修の後の出来事です。
彼女自身は一切出てきていませんがね。

今まで全く触れずにいましたが、彼女が世界の狭間に作り出した空間は、DBの世界で大界王神になったことで本当に一つの宇宙になってしまっています。
ただしまだできて間もないので、人間どころかまともな惑星すら存在しませんが。

原作が長すぎるもの、一話完結が基本なもの、ヒノカミと合わないもの、ギャグ作品は外伝の形にするのは無理ですが短編ならできそうなので、外伝考えながら同時並行で色々考えてはいます。
また何かぽやっと浮かんだらばばっと書いてみます。
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