『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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ここら辺から暫くシリアス気味になりますが……ギャグはまた帰ってきます。もちろん、真剣な場でおふざけはさせませんが……。


第43話

制限時間が過ぎ、期末試験終了が宣言される。

見事合格した者、残念ながら不合格となった者、そして試験の相手を担当した教師。

全員がモニタールームに集合していた。

生徒たちは部屋の前の方に集まり、健闘を称えあったり絶望に打ちひしがれていたりと悲喜こもごもだ。

教師たちは部屋の後ろに置かれたそれぞれの椅子に座る。

 

「やれやれ、ひどい目にあったわい」

 

「お疲れ様です。……すいませんね。本来なら俺の役目だったのに……」

 

「いや気にするな。甥の成長が間近で見れて儂も満足じゃ」

 

本来、轟と八百万の相手は相澤が行うはずだった。

二人とも強力な個性を持っており、これを封じられた状況でも正しく対応できるかを確認する予定になっていた。

しかし会議にてオールマイトが待ったをかけた。

轟の能力が高すぎるため、仮に個性を使えないとしても武術だけで相澤を上回る可能性を指摘した。

教師として、プロヒーローとして恥ずべきことかもしれないが、確かに轟相手ではハンデ無しでも分が悪いと言える。

そしてオールマイトは轟だけだが個性を完封できるヒノカミを推薦。根津校長の後押しもあり担当が変更になったという経緯がある。

 

(焦凍の力を直接確かめられるのは、これが最後であろうからな……。

 あ奴め、余計な気を利かせおって)

 

「それじゃあ最後の試験を始めるよ。皆、しっかりと目に焼き付けておくようにね!」

 

根津校長の合図で正面の大型モニターに映像が映し出される。

廃墟と化した市街地エリアを模した演習場。

今からここで、オールマイトと緑谷・爆豪の試験が始まる。

彼らの試験だけは時間をずらして行われ、全員で観戦する。これもオールマイトの提案だ。

クラスメイトであり実力を良く知る二人が、ナンバー1ヒーローの全力にどこまで通用するのか。

それを是非全員の眼に焼き付けてほしいとのこと。

賛成多数で受け入れられたが、オールマイトらしからぬ意見にヒノカミは違和感を覚えたものだ。

 

試験開始の合図と共に轟音が響く。

凄まじい威圧感を放ちながら突き進んでくるオールマイトが映され、生徒たちはモニター越しだというのに怖気づく。

しかし緑谷と爆豪は冷や汗を流しながらも不敵に笑い立ち向かっていく。

 

『SMAAAASH!!』

 

『死ねぇ!!』

 

『HAHAHAHA!!!』

 

「……すっげぇ……」

 

「俯瞰視点でも見えねぇ速さなのに……なんであいつら反応できてんだ?」

 

「う~~~……自信なくすなぁ、も~~!」

 

生徒たちの反応に、教師も内心で同意した。

オールマイトは全力と言いつつも流石に少しは手を抜いている。

それでもプロヒーローである教師たちが緑谷たちの代わりに戦ったとしても、ここまで善戦できるとは思えない。

あの二人は間違いなくトップヒーローになり、未来を担っていく存在になる。

そう確信させる強さだった。

 

『HAHAHA……強くなった……本当に強くなった!!

 おじさん嬉しくて涙が出そうだよ!年のせいか、最近涙もろくてねぇ……』

 

『ハッ!だったらあと2年で隠居させてやらぁ!

 俺がヒーローになりゃアンタがいなくても問題ねぇよ!!』

 

『かっちゃん!流石に失礼だよ!?』

 

『HAHAHA……あと2年か……そうだよね。君たちには未来がある……』

 

オールマイトの声から力が抜けていく。緑谷たちも、モニター室の生徒と教師も、その変化を訝しむ。

あらかじめ話を聞いていた根津とリカバリーガールを除いて。

 

『……君たちの実力……体の強さは十分にわかった。

 だから今度は、心の強さを試させてもらおう』

 

『……はぁ?』

 

覇気を抑え、構えを解き、力なく佇むオールマイト。

今攻撃すれば倒せるだろうが、勝敗よりもオールマイトが何をするつもりなのかが気になって緑谷たちは動きを止めた。

 

『……ハッ!何のつもりだか知らねぇが、大抵のことじゃビビんねーよ!

 あのババアに俺らがどんだけいびられてきたと思ってやがる!』

 

「……」

 

「ちょ、轟、冷気抑えて!」

 

『ヒノカミか……そうだね、彼女はおよそ3年間、君たちを鍛えあげてきた。

 君たちをここまで導いたのは私や他の雄英教師たちでなく、彼女だと言ってもいいだろう』

 

そこでオールマイトが何をするつもりか察したヒノカミが立ち上がる。

炎を起こしてモニターにぶつけ破壊しようとするが、彼女の前に根津校長が立ちはだかった。

 

「根津!貴様!!」

 

「黙って見ているんだ!ヒノカミ!!」

 

「な、なんだぁ!?いきなりどうしたんだよ!?」

 

生徒と教師の視線が突如変貌したヒノカミへと集まる。

だがスピーカーから流れる音声は、彼らの耳にしっかりと届いていた。

 

 

『……では彼女が不治の病に侵されているとしたら、どうする?』




当初は隠したまま逝く予定でしたが、路線を少し変更します。
筆者の中のオールマイト像が勝手に暴走を始めてしまいました。
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