『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第11話 VSアサシン

セイバーたちがライダー陣営とも同盟を結び、数日が経過した。

間もなく、士郎たちが予定していた休学期間が終わる。

よって彼らは時間に余裕がある今の内に、キャスターをどうにかしておきたいと考えた。

可能ならシロウが戦力として使い物になってからにしたかったが、あとわずか時間が足りない。

しかしライダーと桜が参戦するので戦力は十分なはず。

聖杯戦争を嫌った桜だが、殺し合うためではなく先輩を守る為なら戦えると決意を表明した。

 

「愛じゃな」

「愛ね」

 

「~~~!からかわないでください!」

 

「しかし気を付けてください。

 キャスターは無差別に人々から魔力を奪い取っていた非道な敵です」

 

「……皆さんのおかげで未遂に終わりましたが、耳が痛い限りですね」

 

「ライダーは気にしなくていいのよ。悪いのは全部コレなんだから」

 

「うるさいな!悪かったって言ってるだろ!?」

 

「それが謝る態度か……?

 しかし実は、キャスターに関しては本当に非道な敵か測りかねておるのよな」

 

「なんでさ?無関係な人を襲ってたんだろ?」

 

「それは事実じゃ。許されるものではない。

 じゃが命を取るような出力ではなかったのよ」

 

上澄みを吸い取るより使い潰すつもりで絞り切った方が得られる魔力の量は遥かに多い。しかしそれをしなかった。

神秘の秘匿に拘ったからという可能性もあるが、それでもバーサーカーの結界により魂喰いを封じられた後も大人しくしていた。

最低限の魔力が労せずして手に入るとはいえ、敵の掌の上にいるという状況は耐え難いはず。

それでもまだ手段を選ぶということは策があるのか、あるいは己を律しているか。

まぁ他の手段だとキャスターも拠点の外に出なければならないので行動に移した直後バーサーカーが奇襲を仕掛けて終わりにできるのだが。

 

「いずれにせよ、一線を越えぬようにはしておるようなんじゃ。コレと違って」

 

「くそっ、揃いも揃って……お似合いの主従だよアンタらは!」

 

「ちょっと、聞き捨てならないわよ!撤回しなさい!」

 

「その反論が儂には聞き捨てならぬのじゃが!?」

 

「ハハ、慎二も逞しくなったよな……。

 セラさん、リズさん、慎二を頼む」

 

「アナタに言われるまでもありません。このお屋敷を守るのはお嬢様の命。そのついでですからね」

 

「おまかせー。たまには仕事しないとセラのお説教がうるさいからー」

 

「だったら普段からちゃんとしなさい!」

 

バーサーカーは士郎への指導、街の結界の強化と並行して衛宮家の拠点化も進めていた。

彼女が言うには、一撃だけなら核弾頭すら防いでみせるという。それはそれで確かにすごいのだが、彼女は何を想定しているのだろうか。備えるにしても限度はあるだろう。

 

「……彼女が本来キャスターとして召喚されるべきだったなど未だに信じられないのですが、成果だけを示されると否定できませんね」

 

「むしろバーサーカーだからこの程度で済んでるのよ……。

 キャスターとして出てきちゃってたらどうなってたか、その点はお爺さまの英断ね」

 

英霊を召喚する際にとある一節を加えることで意図的にバーサーカーとして召喚できる。

前回の聖杯戦争で切嗣に裏切られたユーブスタクハイトは、運用に難があるものの裏切る心配のないバーサーカーとして彼女を召喚するようイリヤに命じた。

まぁ出てきたのは従順とはほど遠い、令呪すら弾き返す制御不能なモンスターだったが。

 

 

セイバーと士郎、バーサーカーとイリヤ、ライダーと桜。

7騎中の3陣営が結託した集団が柳洞寺の長い階段を上っていく。

キャスターは柳洞寺全域に結界を張っており、山門以外からの侵入はできないことはないが消耗が大きい。

 

柳洞寺には士郎の友人が住んでいるという。

キャスターは随分前からそこを拠点としているようだが、士郎が学校に通っている間も特に変わった様子はなく、休学し始めた今でも何事もなく登校していると藤村から聞いている。

これもバーサーカーがキャスターの真意を測りかねている理由の一つでもある。

必要以上に一般人を巻き込むつもりはないのか、いざという時に人質にするためか。

後者でないことを祈るばかりだ。

 

「待て!」

 

「「「!?」」」

 

「どうしたのよ、バーサーカー」

 

「儂らという実例があるんじゃ……この可能性は想定しておくべきだったか」

 

「どういう意味です?……まさか!?」

 

「山門の前、サーヴァントじゃ。

 キャスターではない。ランサーでもアーチャーでも。

 ここまで近づかねば気配を感じられなかったことから……!」

 

「アサシン!?」

 

ペースを落とし、一歩ずつ慎重に階段を上る3組のマスターとサーヴァント。

やがて見えてきた山門の前にはバーサーカーの言う通り、確かに一体のサーヴァントがいた。

如何にもな侍と言った風貌。

身の丈よりも長い刀を背負い、長い長髪を一まとめにした美男子。

 

「……アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。

 あぁ、其方らは名乗る必要はない。

 これは私の流儀によるものなのでな」

 

そして自ら真名を名乗った。

あの特徴的な刀……『物干し竿』を見れば名乗らずとも推測はできていたが。

 

「この場におるということは、キャスターと組んでおると判断してよいか?」

 

「組むという表現は正確ではないな。

 私はあの女狐に呼び出されここの門番の真似事をさせられておるのだ。

 退屈な日々であったが……斯様に麗しき乙女たちが足を運んでくれたのだ。

 待ち続けたかいもあったというものよ」

 

「女狐……キャスターのこと!?

 つまりサーヴァントが、サーヴァントを召喚したっていうの!?」

 

「今回のキャスターはそれを可能とするほどの術者ということか……!」

 

「……バーサーカーさん、キャスターは?」

 

「今はまだこの奥じゃな。こちらの侵入には気付いておろうが」

 

「だったら……ライダー!」

 

桜の呼びかけに応え、ライダーが鎖付きの短剣をアサシンへと投げつける。

相手は緩やかな動きで躱したが、ライダーを敵と見なした。

 

「桜!?」

 

「みなさんは先へ進みキャスターを。この場は私とサクラが引き受けます。

 狭く足場の悪いこの場でアサシンと合流され、同時に相手取ることになれば面倒極まりない」

 

「……任せていいのね?」

 

「「はい」」

 

「……ライダーは足止めに専念!不味いと思ったら私たちを置いてでもすぐに引き返しなさい!

 行くわよシロウ、セイバー、バーサーカー!」

 

「イリヤ!?でも!」

 

「この場ではセイバーよりもライダーの方が自在に動けよう。

 アサシンのマスターがキャスターならば彼女らが危機に陥る前にそちらを倒せば済むことよ。

 ……何より、これも彼女らの心が命じたことじゃ」

 

「っ……行こう、セイバー」

 

「ご武運を」

 

駆け出す4人を、アサシンは阻まなかった。

そうはさせないとライダーが睨みつけていたこともあったが、立ちはだかろうとする様子すら見せなかった。

 

「随分とあっさり通すのですね」

 

「なに、私としても一騎打ちの方が望ましい。

 指示に反さぬ限りでは好きにやらせてもらうさ。

 ただ剣士としては、セイバーと果たし合ってみたかったのだが……」

 

「なるほど、ではせめて貴方の流儀とやらに合わせて差し上げましょう。

 我が真名は『メドゥーサ』。

 古代ギリシャの怪物です」

 

「なんと、化生の類であったか。

 物の怪退治とはこれもまた剣士の誉れであるな」

 

「できるものならば……サクラ、下がって」

 

「気を付けて」

 

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