『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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暗い話になっていってますが、本作の最後はトゥルーエンドではなくハッピーエンドです!
そのつもりで頭の中にはプロットがあります!
……そこまで書き続けられるかはちょっと自信ないけど!


第46話

「さぁ~て……やってくれたのうコラ」

 

「HAHAHA!!いつも口を滑らせてるのは君じゃあないか。私だって、たまにはね」

 

「……それを言われると言い返せんなぁ」

 

試合終了後、オールマイトたちもモニタールームへと戻って来た。

A組生徒と、彼らの試験を担当した雄英教師たち全員がその場に揃う。

普段通り和やかに会話しているのはオールマイトとヒノカミの二人だけ。

根津とリカバリーガールは沈黙しているし、他の教師や生徒たちは彼らにどう切り出すべきか戸惑い二の足を踏んでいる。

 

「では約束通り話を……と言いたいところじゃが、皆言いたいことがあるじゃろうし、一人一人答えていては収拾がつくまいな。

 代表して……相澤、頼む」

 

「俺ですか?」

 

「お主ならば余計な問答は挟むまい。なぁ、『合理主義者』」

 

「……」

 

ヒノカミは自分の事情を知る者以外で最も冷静に対応してくれるだろう相澤を指名し、彼の質問に答えていく形を取った。

 

「ではまず……先ほどのオールマイトの発言は事実ですか?」

 

「相違ない。発端、経緯、余命、すべてこ奴の言う通りじゃ」

 

「この事実を知る者は?」

 

「この場ではオールマイト、リカバリーガール、根津。

 校外では兄上と義姉上、オールマイトと関わりが深いヒーロー2名と警察1名。

 後はオールマイトの海外の友人と、医療関係者が数名じゃの。

 言っておくが、お主らも他言は無用じゃぞ?」

 

ただし事ここに至ってはB組にも伝えるつもりではある。オールマイトと緑谷・爆豪の試合は元々B組にも見せる予定で映像が記録されていた。関わりはA組との方が深いが、B組もヒノカミにとって大切な教え子たちだ。

 

「俺たちに、できることはありますか?」

 

「ない。あれば頼っていたさ。

 望みがあるとしたら、今まで通りに接してくれ。可能な限りで良いから」

 

「……教師はいつまで続けるおつもりですか?」

 

「2学期開始前。林間合宿までは参加させてもらう。

 ……すまんな。お主らには先達として、教師のイロハを教わっておきながら……」

 

「……いえ、こちらも大変お世話になりましたので」

 

どうしても別れを言うような会話の流れになってしまう。

プロヒーローたる教師たちは、悲しいかな同僚と死別する経験も多いので無表情で耐えている。

しかし生徒たちの顔は暗くなる一方だ。

必要な情報はあらかた聞けたが、次に問うべきは何かと相澤は少し言葉を止めた。

 

「……死ぬのが、怖くないんですか?」

 

その隙に生徒の一人が声を上げてしまった。皆の視線がそちらを向く。

本人も苦虫を嚙み潰したような顔をしており、思わず考えを口に出してしまったようだ。

 

「怖いさ。死ぬのが怖くない人間などおらぬよ。

 自ら死を望む者がいるとしたら、それは死ぬ以上に怖い何かに追われる人間であろう。

 それに……何度経験してもあの感覚に慣れることはあるまい」

 

「慣れ……?」

 

すでに2回も死を経験しているなぞ彼らが気づくはずもないが、オールマイトたちOFA関係者は少し慌てる。やはり彼女はどこか口が軽い。

 

「そして儂にも死に勝る恐怖がある。自分が自分でなくなることよ。

 脅え、震え、か細く静かに消えていく、そんな人間になりとうない。

 故に最後まで命を燃やし尽くし、死に様ではなく生き様を魅せると決めた」

 

「……!」

 

「それが主らの胸に残るのであれば、儂の生にも意味があろう。勝手な願いではあるがな」

 

「……はい」

 

結局その質問を最後にこの場は解散となった。

生徒たちだけでなく教師たちも試験の疲れがまだとれておらず、これ以上問答を続けても頭が働かず時間を無駄にするだけだと根津校長が割り込んだからだ。

試験に失敗した者だけでなく合格した生徒たちにも笑顔はなく、無言でそれぞれの帰路に就いた。

 

こっそりと連絡を受けていた緑谷と爆豪は引き返し、いつもの生徒指導室でヒノカミたちと再度顔を合わせる。

 

「『個性の複数所持による肉体への負担』……」

 

「なるほどな……ワン・フォー・オールが無個性にしか渡せねぇわけだ」

 

「私の先代やそれ以前の継承者……ヒノカミの前世も当時は気付かなかったが、全員が元々個性を持っていた。

 だが彼らのほとんどはオール・フォー・ワンとの戦いで、事実が発覚するよりも早くに亡くなってしまったんだ」

 

唯一の例外は4代目。彼はAFOとの戦いを避け、OFAを鍛えることに注力していた。

彼が40歳にして老衰で死亡、死の直前にヒノカミと似た症状を発症していたことが判明し、彼の記録を基に改めて検証することでヒノカミの病の原因にたどり着いた。

以降個性の使用を控えたり、肉体が個性因子に適応できるように投薬や手術を行ったが、結局わずかな延命にしかならなかった。

 

「その負担に耐えきれるように改造した結果が脳無なのじゃろう。

 オール・フォー・ワンが用いる個性の数を厳選しているのは、奴であろうと負担は無視できぬということであろうな」

 

でなければ手あたり次第にあらゆる個性を奪い取り込んでいるはずだ。

オールマイトたちは自分たちで決着をつけようとしているが、緑谷たちはAFOへの敵意を強め、戦意を滾らせていた。

 

そしてここに、AFOと戦う決意をした者がもう一人。

 

「……やぁ、いらっしゃい。何か僕に大切な話があるということだけど」

 

「……」

 

「要望通り、人払いは済ませてあるよ。

 話を聞かせておくれ……青山くん」




当初の話では彼が動く予定はありませんでした。
しかし自分の中のオールマイトが勝手に動いた結果、彼も勝手に動き出してしまいました。
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