『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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レディーーーーッ!ゴォーーーーーーーッ!!!!


外伝3 第13回ガンダムファイト
第1話 異形のガンダム


 

「……ぬ?」

 

「どうした?」

 

男はここ数年の付き合いである女、ヒノカミが突然天を見上げたため、いぶかしんで尋ねる。

 

「……1機、落ちてくる」

 

「なんだと?まだ次の大会開催まで1年あるのだぞ?」

 

「わからん。だがこの速度……着陸ではなく墜落か?」

 

「案内せい!」

 

落下予想地点へと走る二人の遥か先で、赤熱した巨大な何かが超スピードで地面に激突し大きな爆発を起こした。

 

「ぬぅっ、おのれようやくこの辺りにも自然が戻ってきたというのに……!」

 

「急ぐぞ、東方不敗!」

 

「おう!」

 

 

二人はさらに速度を上げて近づくと、間もなく墜落地点から上がる大きな煙が見えてきた。

飛び上がって高台の上に着地し見下ろすと、クレーターの中心には辛うじてフレームだけが残っているような、ボロボロの機械の残骸があった。

近くの岩場の上にいる青年がそのパイロットなのだろう。

 

「かなりの大きさ……そして異形じゃな。

 モビルファイターではないのか?」

 

「……あの男の顔、どこかで……むっ!?」

 

二人の視線の先でどう見てもスクラップ同然だった機械が動き始めた。

 

「「なんだと!?」」

 

装甲が再構成され、禍々しい光をツインアイに宿し、青年へとにじり寄る。

そしてコクピットであろう胸部から触手のようなケーブルを吐き出し、困惑する青年を捕えようとして。

 

 

「させるかぁっ!!」

 

「喝ぁッ!」

 

ヒノカミが左腕の白い帯を伸ばし青年を掴んで引き寄せ、東方不敗が腰の帯を刃にして触手を細切れにした。

 

「ちぃっ、まだ来るかっ!」

 

「あ、あなた方は……!?」

 

「それより説明しろ!あれはなんじゃ!?」

 

青年を掴んだ二人は異形のガンダムから距離を取ろうとするが、相手は諦める様子もなく彼らを追いかけてくる。

 

「あ、あれは我がネオジャパンの『アルティメットガンダム』!

 私と父が地球再生を目的として開発した機体だ!

 自己再生・自己増殖・自己進化の三大理論を兼ね備えている!」

 

「!?」

 

「それがなぜ、あのように荒ぶっとるんじゃ!?」

 

「わからない。だがおそらく落下の衝撃で、人工知能が異常を……!」

 

「……地球環境の再生か……!」

 

東方不敗もまた地球の自然を蘇らせるために活動を続けてきた。

前回のガンダムファイトを終えてからの3年間、地球の惨状を目の当たりにした彼はヒノカミと共に地球各地を巡り、彼女の力を借りて復興を続けてきた。

地球が荒廃した原因は地球を顧みぬ人間の傲慢。

その筆頭とも言える宇宙の民の中にも地球を救おうとしている者がいたことは喜ばしいが、暴走したアルティメットガンダムとやらは周囲の自然を破壊しながら3人を追いかけてくる。

 

 

「……破壊するしかあるまい!儂のガンダムで……!」

 

「東方不敗!へい、パス!」

 

「のわぁっ!?」

 

「ぬぅっ!?」

 

帯で作った巨大な白い腕で青年を掴んだヒノカミは、振りかぶって並走する東方不敗へと投げつける。

そして踵を返し、炎の剣で触手を切り払いながらアルティメットガンダムへと突っ込んでいく。

 

「何を!?」

 

「アレは産まれたばかりの赤子なんじゃろ?

 叱りつけるのが、大人の役目じゃ!!」

 

空中を跳ねて触手を躱しながら巨大な機体の胴体へと走る。

彼女の意図を理解したであろうガンダムも、むしろ好都合とコクピットを大きく開く。

まるでそれは人を丸呑みしようとする怪物の口のようで、しかしヒノカミはためらうことなく飛び込んだ。

 

 

すぐにコクピットは閉じ、ヒノカミの全身を触手が縛り付ける。

このガンダムはアルティメットガンダム細胞……UG細胞で構成されており、地球上の汚染物質を吸収して除去したり、傷ついた生命や自然に同化し対象に合わせて性質を変化させることで欠損を補い救命する。

しかし暴走した今のガンダムはUG細胞で対象を侵食することで己の支配下に置こうとしていた。

 

「そうは、いかんぞ……!?」

 

(ーーーー!)

 

だが精神感応金属であるUG細胞は生命体の強い意志に影響を受ける。

故に対象が強く同化を拒絶すれば侵食はできない。

そしてヒノカミの頑固さは筋金入り。侵食は一切進まない。

 

(ーー!ーー!)

 

それでもなお、ガンダムは彼女を取り込もうとする。

そしてガンダムと繋がったことでヒノカミはその思念を感じ取り意思を理解した。

 

「なるほどな……人を不要と見なしたか」

 

地球の自然を破壊しているのは人類。

よってアルティメットガンダムは地球環境の再生のためには人類を抹殺しなければならないと結論付けた。

そして己が活動し続けるためには強い肉体を持つ生体ユニットが必要。

加えて生命力の高い『女性』であることが望ましい。

激しい抵抗を受けてもいまだにヒノカミを支配しようと躍起なのもそのためだ。

 

 

「……多少は共感できる。

 儂も東方不敗も、この世界の人類の横暴は散々目にしてきたからな」

 

(ーー?)

 

「じゃがな、儂らは今日まで奔走してきたぞ?

 儂らも自然を破壊する存在か?

 そして地球再生を願いお主を生み出したあの青年やその父も、地球の自然を害する存在だというのか?」

 

(ーー……)

 

「悪党外道を始末することには賛同する。儂も散々やってきたしな。

 しかし無差別に破壊を広げるな。

 お主と志を同じくする人間も、確かにおるのじゃ。

 それでもお主が人類すべてを敵とするというのであれば……それは儂も敵にするということじゃが」

 

(ーー!?)

 

 

 

 

「やんのかコラ」

 

 

 

(ーーーー…………!)

 

ヒノカミがガンダムの思念を感じたように、ガンダムもヒノカミの思念を感じ取った。

叩きつけられた膨大なエネルギーと怒気を受け、生後間もない幼子は委縮し踏みとどまった。

 

 

 

 

「……止まった……!?」

 

外にいた二人が見守る前で、ガンダムのコクピットが開いた。

 

「もういいぞ。聞き分けてくれた」

 

「よくやった」

 

「ありがとうございます!」

 

「何、我らは同志であるようじゃからな。

 ……詳しい事情を伺いたいのだが、構わんか?」

 




ストーリー展開上かなり駆け足かつ短くなります。
また、正直言って山や谷が少なく面白みに欠けるかと思いますが、ご了承ください。
……ラスボスが最初で味方になっちゃうんだから仕方ないじゃない。
ぶっちゃけこの後は書かなくてもいいくらいですけど、一応物語の最後まで書きます。
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