『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第3話

 

アルティメットガンダムも、元はネオジャパンの機体。

同じくネオジャパンの他の機体の情報はデータベースに登録されている。

 

「モビルスーツはブッシとノブッシ、モビルアーマーはファントマか。

 ……こんだけの数を動かせるとなると、軍部は完全にウルベとかいうのに掌握されとるようじゃの」

 

(ーー!)

 

「あぁ。来るぞ」

 

対象を射程に捉えるや否や、空を埋めつくす大軍が様々な銃火器でアルティメットガンダムを一斉に攻撃してくる。

胴体付近に迫るミサイルはバルカンで撃ち落とせるが、他の実弾やビーム攻撃はどうしようもなく、直撃を受け続ける。

相手は巨体、かつ分類としては一応『モビルファイタ-』であるのだから、遠距離からの包囲戦を仕掛けるのは理にかなっている。

 

「構わん、いくらでももっていけ」

 

(ーー!ーー!!)

 

しかしUG細胞による自己再生で、損傷はすぐに回復する。

エネルギー源はヒノカミの無尽蔵の生命エネルギー。

これが一撃で機体をバラバラに吹き飛ばす威力であるならともかく、ちまちまと損傷を与えてくる程度ではヒノカミの生命力を吸い取って再生する速度の方が早い。

どれだけ攻撃を喰らおうとアルティメットガンダムは決して倒れない。

持久戦を仕掛けた時点でネオジャパン軍の敗北は見えている。

 

(ーー……!)

 

「あぁ、そうじゃな。腹立たしいよな」

 

だが相手が諦めるまで受け身に徹し続けるつもりはない。

連中の破壊活動により、アルティメットガンダムが墜落し暴れた以上の範囲の自然が破壊されていく。

地球を守る使命を帯びたアルティメットガンダムが感情を昂らせる。

そしてヒノカミも受けた恨みを忘れない。

 

「……どうじゃ、覚えたか?」

 

(ーー)

 

コクピットの中にいるヒノカミは鬼の鎧を纏っていた。

各部に触手ケーブルが接続されており、アルティメットガンダムは効率的にヒノカミのエネルギーを吸収すると同時にその鎧の構造と、敵の攻撃を学習していた。

 

膨大な生命エネルギーを吸収し、未知の構造を学習し、過剰なストレスを与えられ、自己進化が加速する。

そしてアルティメットガンダムは新たな能力を習得した。

 

『熱エネルギードレイン』。

 

アルティメットガンダムはビーム攻撃と、ミサイルが爆発して生じた炎を吸収し始めた。

 

「そいじゃあ、反撃といこうか」

 

(ーー!!!)

 

損害を抑えると同時に十分な熱エネルギーを確保できた。

アルティメットガンダムの各部にあるフジツボのような突起が変形し、砲口となった。

自分たちの攻撃が通じなくなったことに気付き狼狽するモビルスーツ、その全てに狙いを定める。

 

 

 

「くたばれ外道どもが」

 

(ーーーー)

 

 

一斉に放たれたレーザーが地上と空中のモビルスーツを次々と撃ち抜き融解、爆発、蒸発させていく。

そして生じた炎を更に吸い取り、攻撃のエネルギーへと変換する。

アルティメットガンダムが反撃に転じてわずか1分足らずで、周囲のモビルスーツとモビルアーマーは一つ残らず消滅していた。

 

「ふむ、生体反応はいくつか残っておるが……」

 

(ーー?)

 

「撤退し東方不敗らと合流しよう」

 

(ーー……)

 

「我慢せい。今の砲撃を一人ずつに打ち込んだり、お主の巨体で虱潰しにしようとすれば更に一帯を破壊してしまうじゃろ」

 

人類抹殺を優先しているが、根本が地球の自然を守る為であることはブレていない。

僅かな数の人間を殺すことと想定される被害を天秤にかけ、アルティメットガンダムはヒノカミの提案に納得し了承した。

そしていざ動き出そうとして立ちすくむ。

この巨体で這いずるように動けばやはり自然を破壊してしまうし、移動の痕跡が残ってしまう。

 

「……なぁ、お主飛べぬか?低空飛行でもよいから」

 

(ーー)

 

アルティメットガンダムは巨大な下半身の底に多数のスラスターを作り出し、炎を噴射する。

高度はほんの数十メートルと言ったところだが、これなら周囲に被害を出さず移動できる。

 

「キョウジと東方不敗の反応はわかるな?

 そちらへ向かってくれ。ゆっくりでいいからな」

 

(ーー)

 

アルティメットガンダムはヒノカミの要求に素直に従い、ホバリングのような水平移動を開始する。

 

 

(……思ったより余裕はないかもしれんな)

 

アルティメットガンダム三大理論。自己再生・自己増殖・自己進化。

再生と進化の早さはヒノカミの予想をはるかに超えていた。

熱耐性だけでも模倣できればと思っての選択だったが、まさかこの短時間で『鬼相纏鎧』の特性をほぼ完璧に再現するとは。

 

ガンダムの人工知能に性別があるのかはわからないが、便宜上彼と呼ぶ。

彼は『地球を救ってほしい』という願いを託されて生まれた幼い子供なのだ。

人類抹殺に思い至ったのも幼い彼なりに考えて導き出した結論。そこに悪意はない。

であればいくらそれが受け入れがたく認められぬものでも、彼を破壊してまで止めようという選択肢はヒノカミにはない。

そして彼もまたヒノカミが自分を害する気がないと理解しているからこそ彼女を受け入れている。

だがこのまま彼が著しい早さで成長し、それでもやはり人類抹殺を曲げぬというのなら。

いつかヒノカミの隙を突いて他の人間を生体ユニットとして取り込んで脱走し、人類虐殺を開始する可能性は低くない。

勿論そうなればヒノカミは彼の破壊に踏み切るが、その過程でどれほどの犠牲が出るか。

 

(出来る限り一緒にいて目を光らせておかねばならんか。

 戦闘や人の多いところも極力避けねば)

 

合流した3人と1機は人目を避け、散発的なネオジャパン軍の襲撃に対処しながら逃避行を続けた。

そしておよそ1年後、連中からの攻撃がピタリと止んだ。

流石にコロニー各国の視線が地球に集中する状況で暗躍は不可能と判断したのだろう。

 

 

第13回ガンダムファイトの開催は、もう間もなくである。

 




漫画によると、ウルベはここで負傷しDG細胞に犯されたそうですが、本作ではデビルガンダムの戦い方が違うので生き残りはしたものの侵食されていません。
物語に特に影響はありませんが。
性格も同様。元からクズだし。
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