『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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原作だとデビルガンダムが暴れまわり続けていましたが、本作ではヒノカミの干渉で主に逃走を選んでいたため、ネオジャパン軍は原作よりかなり余力があります。
そのしわ寄せが来た形となります。


第7話 悲劇の真実

 

ガンダムファイト開催中は地球を覆う巨大なビームロープが展開し、地球は文字通り戦いの『リング』になる。

そしてコロニー各国が地球のガンダムたちの動向を常に観察・監視するようになる。

そんな中で地球と宇宙を出入りする存在があれば酷く目立つ。

クーロンガンダムと風雲再起が抜け出すだけでもギリギリなのに、コロニーから地球に大軍を送り込むなど論外だ。

戦争を避けるために開催されているガンダムファイト。

なのにそこで戦争の引き金を引くような行為をすればどれほどの非難を受けるかは想像に難くない。

 

だからキョウジたちは、当分の間はネオジャパン軍による大規模攻勢はあり得ないと考えていた。

実際に第13回ガンダムファイトの開催前に、ネオジャパン軍からの攻撃は止まった。

 

だがウルベの悪辣さは彼らの想像を超えていた。

『コロニーから送ることができない』のなら『あらかじめ潜伏させておけばいい』。

ウルベはガンダムファイト開催前に、ネオジャパン軍の戦力の大半を地球へと降ろしていた。

 

そしてキョウジたちの甘さを見抜かれていた。

彼らは逃走期間中も地球の再生のため各国を巡っていたが、他国を巻き込むことを恐れて旧ジャパン領土を避難先に選ぶことが多かった。

そしてガンダムファイト開催と共に身動きが取れなくなったアルティメットガンダムは、ウルベの予想通り旧ジャパン領土のとある廃墟に潜伏していた。

自国の領土であればあらゆる面で隠蔽は容易い。

とは言え大軍を忍ばせていることを他国に把握されれば言い訳は難しく、何よりデビルガンダムに察知されるわけにもいかない。

堂々と領内を行軍させて捜索するのは不可能だ。

 

そこで目を付けたのがキョウジの弟であり自国のガンダムファイターであるドモン・カッシュ。

彼を洗脳して『キョウジが悪だ』と刷り込み、デビルガンダムが旧ジャパン領土に潜伏している可能性をほのめかした。

ドモンを送り込んだのはデビルガンダムを倒すためではない。むしろ完全に倒されては困る。

彼はデビルガンダムを見つけ出し弱らせるための猟犬でしかなかった。

 

 

「貴様ら、ウルベの手の者か!どういうつもりだっ!」

 

シャイニングガンダムは損傷しているデビルガンダムを背にして自分たちを囲むモビルスーツを睨みつけ叫ぶが、言葉が返ってくることはない。

彼らは対デビルガンダム用の質量兵器を容赦なく発射し続ける。

 

「ぐぁっ!?」

 

その攻撃は当然、デビルガンダムの傍にいるシャイニングガンダムにも及ぶ。

 

『ドモン!?攻撃を停止してください!

 自国のガンダムを破壊するおつもりですか!?』

 

ここまでドモンと二人で旅し、近くで彼の戦いを見守っていたネオジャパンのサポートスタッフのレインが、通信機とスピーカーを併用してネオジャパン軍のモビルスーツに必死に呼びかける。

 

『キャアアッ!』

 

「レイン!」

 

しかしその返答はまたしても弾丸だった。

デビルガンダムさえ手に入ればガンダムファイトなどするまでもなく、武力で全てを支配できる。

そして彼らのお陰でデビルガンダムを弱らせることもできた。

ことここに至ってはドモンもレインも自国のガンダムもウルベにとっては用済みだった。

 

『あぁっ……』

 

「レイーーーーン!!」

 

『ドモンっ!?』

 

「っ!ぐぅっ……脚が……!」

 

地面に投げ出されたレインの命を奪う凶弾の前に立ち、シャイニングガンダムが盾となる。

しかしその一撃はガンダムの脚部関節に深々と突き刺さった。

これでは立ち上がることもできず、銃弾の雨に晒され続けるしかない。

 

そして蹲るシャイニングガンダムに巨大な影が落ちてくる。

 

「デビルガンダム!?」

 

頭上を見ると、飛び上がったデビルガンダムの巨大な下半身がシャイニングガンダム目掛けて迫ってきていた。

 

「くそぉっ!…………え?」

 

せめてレインは押しつぶされないようにと四つん這いになるシャイニングガンダム。

しかし機体にかかる衝撃がなく、訝しんで見上げる。

 

『ぐっ……ぬぅぅぅっ!』

 

「兄さん!?」

 

デビルガンダムは脚を大きく広げ、その巨大な下半身でシャイニングガンダムを覆い、ネオジャパン軍からの攻撃を一身で受け止めていた。

 

『今だドモン!レインをシャイニングガンダムのコクピットへ避難させろ!』

 

「っ!?レイン、早く中へ!」

 

「っ、えぇ!」

 

四つん這いのまま開いたシャイニングガンダムのコクピットから身を乗り出したドモンが、レインに手を伸ばし全力で引っ張り上げる。

 

『出来る限り身をかがめてくれ!

 少しでも被弾面積と、衝撃を小さく……!』

 

「わかった!……そうだ、シャイニングガンダムのエネルギーを!」

 

『っ、すまん!』

 

言われるがままに姿勢を低くしながら、シャイニングガンダムは腰のビームソードを抜いてデビルガンダムに押し当て放出する。

デビルガンダムは吸収したエネルギーを使い損傷を修復しつつ装甲を強化。

さらに亀のように背を丸め完全な防御態勢を取る。

しかしネオジャパン軍は油断することなく、距離を取って囲んだまま容赦なく飽和攻撃を続ける。

 

『耐えてくれ、時間を稼げば逆転の目はある!

 ……すまんなドモン。結局お前を巻き込んでしまった……』

 

「兄さん……教えてくれ兄さん!一体何がどうなっているんだ!

 兄さんや父さんたちに何があったんだ!」

 

『……ウルベはお前たちも口封じしようとしている。

 もはや真実を隠す意味もないか……』

 

「口封じ……!?」

 

『アルティメットガンダムは汚染され荒廃した地球環境を再生させるために開発されたのだ。

 自己再生・自己増殖・自己進化の三大理論はそのためのもの。

 だがコイツを宇宙を支配する悪魔……デビルガンダムに変えようとする者が現れた』

 

「まさかっ……!」

 

『そうだ……母を殺したのも、父を貶めたのも、私に濡れ衣を着せたのも……すべてはウルベとミカムラ博士の陰謀だ!』

 

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