作者もかなり頭を捻り倒しましたが、かなり話が飛びますし内容も今一つかもしれません。
ご容赦ください。
「……う……ぐ……!?」
「!?ドモン、皆さん!キョウジさんが目を覚ましました!」
「レイン……?」
「兄さん!」
「おぉ、丁度良いタイミングじゃ」
森の木陰に寝かされていたキョウジが上半身を起き上がらせる。
彼の額から零れ落ちた濡れタオルをレインが拾い、ドモンが駆け寄って来た。
「……脱出に成功したようだな」
「間一髪な。遅れてすまぬ」
「お互い無事なら何よりだ……そうだ!父は!?」
「そちらも成功じゃよ。……ほれ」
ヒノカミが視線を向けた先では、東方不敗がライゾウ博士の眠るカプセルを持ってモビルホースの背から飛び降りたところだった。
万が一にも傷付けさせるわけにはいかぬと風雲再起に彼を託し、戦場には参加せず一足先に離脱するよう伝えていたのだ。
本当にできた馬である。
「「父さん……!」」
東方不敗が草むらの上に置いたカプセルに、ドモンと彼に肩を借りたキョウジが近づく。
彼らの父は胸の上に腕を組んだ状態で凍らされており、まるで棺に納められているかのようだった。
「それでは、これよりライゾウ博士を解放する」
キョウジが寝ている間に彼が地球に降りてから今日に至るまでの経緯は全て、東方不敗からドモンとレインに説明済みだ。
東方不敗自身がキョウジに協力していたことも、前回大会のネオホンコンのサポーターだったヒノカミについても同様。
所謂超能力者であり、医者としても技術者としても最上であると伝えている。
「……あの、本当に設備が無くて大丈夫なんですか?」
「そろそろネオジャパン本国でも博士がおらんくなったことには気付いとるじゃろ。
裏で手配書が出回っとるかもしれんし、デカイ病院には連れていけん。
それに儂がやる方が確実じゃから安心せい。離れた離れた。
……ほれ、アルティメットガンダムも。大丈夫じゃから」
(ーー)
「うぉっ!?」
気付けばアルティメットガンダムが上半身だけを伸ばして皆の真上から博士を覗き込んでいた。
ヒノカミのジェスチャーに従い、ゆっくりと胴体の蛇腹ケーブルを縮める。
「では、手早く済ませるぞ」
一同が離れたところでヒノカミは掲げた右腕から白い炎を放出する。
そのまま腕を押し当て、カプセルそのものを炎で包んだ。
「「「!?」」」
カプセルの隙間から真っ白な蒸気が吹き出し、ハッチが音を立てて弾かれるように開いた。
蒸気がカプセルを包み隠すが、ヒノカミは中を確認することなく振り返ってドモンたちの方に歩き出し、すれ違いざまに困惑する彼らの背を押す。
彼女はそのまま離れた場所に佇んでいた東方不敗の隣に移動した。
「……ドモン……キョウジ……」
「「父さん……!」」
歪に別れた家族が再会を果たしたのだ。所詮部外者の自分たちが同席するのも無粋だろう。
涙を流して抱き合う彼らから視線を外し、東方不敗を見上げて視線を合わせる。
「さてこれで人質はおらんが……ドモンをネオジャパンから匿う必要もなくなったな」
「不幸中の幸いというヤツか」
ネオジャパンはガンダムファイト期間中に地球で大軍を動かした。明らかな違法行為だ。
これをネオホンコンを通じて正式に抗議し追求すれば、それを命じたウルベを引きずりおろすことができるはず。
ウルベの干渉さえなくなればドモンは大手を振ってネオジャパン代表ファイターとして振舞うことができる。
そして彼がガンダムファイトで活躍し発言権を強めた上で帰還しウルベを告発すれば、キョウジとライゾウ博士の冤罪を晴らすこともできるだろう。
「……だが気が進まんな。
アレに借りを作るような真似は」
「儂だってそうじゃが……他に手はあるまい。
アルティメットガンダム、先ほどの戦闘映像のデータ化は終わったか?」
(ーー)
「よし、クーロンガンダムに転送してくれ。
儂は念のため周囲を警戒しつつここで待つ。頼むぞ東方不敗」
「むぅ……ゆくぞ、風雲再起」
――――……
無駄に豪華な執務室で、丸いサングラスをかけた胡散臭い青年が、腕を組んで巨大なモニターを見据えている。
映し出されているのはネオジャパン軍の戦闘映像。
そしてモニターの隅には頭頂部の禿げたちょび髭の男性が映されており、彼は脂汗を流して明らかに狼狽えていた。
「……さて、カラト委員長。何か申し開きはございますか?」
『いえ……その、これは……!』
「幸いにも我が国の関係者以外に巻き込まれた者はいなかったようですが……ネオジャパンはどうやらガンダムファイトではなく、戦争をお望みのようだ」
『ち、違います!今回のことは、軍が、勝手に……!』
「おや、自国の軍も制御できないのですか?
それもまた政治家として己の無能をあらわにする行為だと、ご理解されてます?」
『……っ』
ネオジャパンのガンダムファイト委員会の委員長カラトは歯噛みするが、反論は許されない。
相手は前回大会優勝国であるネオホンコンの首相。現時点での覇権国家のトップだ。
今回の軍の暴走は明らかにネオジャパンに非があり、仮にこの情報と映像を公開されれば各国からの批難は免れない。
どの国も大なり小なり不正はしているだろうが、ここまで露骨で規模が大きな事件が明るみになれば、自国を棚に上げてネオジャパンをやり玉に挙げるだろう。
「……ネオジャパンは今大会失格処分。
次回大会の参加権の剥奪も当然でしょうね」
『そ、そんな……!』
「……と、言いたいところですが。
今回のことは私の胸の内に留めておくことにしましょう」
『!?本当ですか!?』
「ネオジャパンのファイター、ドモン・カッシュ選手は東方不敗先生のお弟子さんだそうですね。
ドモン選手は完全に巻き込まれただけのようですし、前回大会優勝者である先生からの嘆願は私でも無視できませんよ。
今回の件は、まぁ……ネオジャパンへの貸しにしておきましょう」
ドモンに一切の非がなくとも、ガンダムファイト失格処分を受けたとなれば彼の経歴に大きな傷がつく。
不条理から弟子を守ろうとするのは師として当然の行いと言えた。
『ありがとうございます……!』
「感謝は東方先生とドモン選手にすることです。
……ただし、二度目はありません。
飼い犬の手綱はしっかり握っておいてくださいね?」
『は、はいっ!必ずや!』
「……さて、これでよろしいですか?」
通信を切ったウォンは部屋の隅、カメラの視界の外に佇んでいた東方不敗に向き直る。
「恩に着る……とは言うまい。要求を言うがいい」
「ふふふ、話が早くて助かります」
「フン!」
ウォンはネオホンコン首相として、あらゆる手段を講じて自国の勝利を目指す義務がある。
東方不敗が持ち帰ったネオジャパンの不正の証拠があれば合法的に強敵を排除することができるのだから躊躇う理由はない。
それが東方不敗を打倒しうる彼の弟子だというならなおのこと。
しかしウォンは選手を一人蹴落とすことと、東方不敗とヒノカミに恩を売ることを天秤にかけ、後者を選んだ。
彼はモニターに映るクーロンガンダムの記録した戦闘映像を見ながらわざとらしく呟く。
「いやしかし、すさまじいものですねぇ。このデビルガンダムとやらは」
「まさか寄越せと言うつもりではあるまいな?」
「いえいえ、そこまで欲張りはしませんよ。
お二人を怒らせたくはありませんし、ヒノカミさん以上の技術者は我が国にはいませんからねぇ。
無理やり取り上げたところで彼女の協力が無ければまともに研究もできないでしょうし」
ウォンは武闘家という存在を理解できず内心で見下しているが、ヒノカミは別だ。
彼女は単純な武力だけでなく技術者としても至高であり、地球とネオホンコンの発展に大きく貢献してきた。
そして彼女は嘘をつかず、約束を必ず守り、裏切りを行わない。
こちらから敵対しなければ敵とはならず、恩を売っておけば必ず恩を返してくれる。
施政者として、取引相手として、非常に好ましい存在であるのだ。
逆鱗にさえ触れなければ、だが。
「仮にですが……東方先生とクーロンガンダムならばヒノカミさんの操るデビルガンダムに勝てますか?」
「……無理であろうな。
ファイターとしても同格以上、機体性能の差は歴然。
加えてアレはヒノカミに適応して進化したガンダムだ。
儂でなくとも、アレに勝てるガンダムファイターがいるとは……まさか貴様!?」
「えぇそうです。ヒノカミさんだけでなく東方先生にも恩を売れたのは幸いでした。
……私の要求は東方先生に今回大会の参加を辞退していただくこと。
そして代わりにヒノカミさんとデビルガンダムがネオホンコン代表となり、ガンダムファイトで優勝していただくことです」
ウォンにはどんな手段を講じてでも勝利を目指す義務がある。
全ては自国の、ひいては己の栄光と野望のために。
原作でもネオジャパンのカラトがドモンを交代させようとしてたので、違法な手段を使えば登録変更は可能と判断しました。
前回優勝国であるネオホンコンならば強権を使えるので更に容易なはずです。