『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第11話

 

ネオホンコンで行われるガンダムファイト本戦までの残り数カ月、ドモンはかつて東方不敗と共に修行したギアナ高地にて、再び師にみっちり扱かれることとなった。

ドモンのパートナーであるレイン、そしてヒノカミとキョウジとライゾウ博士も同行している。

あと風雲再起とデビルガンダムも。

 

彼の本来の名称は『アルティメットガンダム』だが、ネオジャパンが『デビルガンダム』と呼称していたためドモンたちはそちらで呼び慣れており、うっかり呼び間違うことが多かった。

そしてどうやらウォンも彼を『デビルガンダム』という機体名で登録したらしい。

暴走の危険もほぼなくなった彼を『悪魔』と呼ぶのはどうかと思ったが、当人がそちらで構わないと言い出したので、以降は彼を『デビルガンダム』と呼ぶことになった。

念のためヒノカミが理由を尋ねると。

 

「『鬼』も『デビル』だからじゃと」

 

「ふははは!なるほど、随分と愛されておるではないか」

 

「じゃがどっちかと言うと『悪鬼』じゃろ?正直複雑じゃな」

 

「私たちの方が複雑なんだがなぁ」

 

自分たちが造り上げたガンダムが『デビル』を自称し始めたのだから戸惑いはするだろう。

思春期の少年の中二病とは違い実力が伴っているのでたちが悪い。

 

ちなみにデビルガンダムとヒノカミは同席しているもののドモンの修行にはほぼ不参加である。

 

まずデビルガンダムは言うまでもない。

まだまだドモンとは実力差がありすぎて手合わせしても修行にすらならない。

それに自然溢れるギアナ高地で彼が力を振るえばどれほどの破壊を引き起こすか。

後から再生できるとしても好き好んで自然を破壊したいはずもない。

基本的にはライゾウ博士の調査と検査を大人しく受けている。

博士は研究者らしく、自分の予想を大きく外れて進化したデビルガンダムに興味が尽きないと付きっきりだ。

 

そしてヒノカミは東方不敗から、今のドモンに彼女の戦い方を教えないようにと厳命された。

ドモンは激情家で、シャイニングガンダムは彼の怒りを力に変えて戦うシステムを積んだ機体だ。

しかし東方不敗に言わせれば彼の爆発的な怒りは確かに強力だが、獣染みた力であり隙だらけとのこと。

彼が身につけるべきは『明鏡止水』の心。

怒りを鎮め、無の境地に至らねばならない。

だがヒノカミの戦い方は『憤怒の感情のままに力を振るう』もの。

ある意味今のドモンのスタイルの延長線上にある完成形だが、武闘家として真っ当なものかと言われれば間違いなく否。

よって彼女はキョウジのトレーニングに付き合いつつ、レインに己の医術と技術を伝授している。

 

尚、ドモンが修行を開始し暇になったヒノカミがレインに彼との関係を尋ねた際に。

 

「医者でメカニックで献身的にサポートしてくれる美人の幼馴染か。

 ……で、それを蔑ろにしてきたと?

 ちょっと世の男子諸君に代わってドモンに天罰落としてくる」

 

「やめるんだヒノカミ!……気持ちはわからんでもないが!」

 

「ドモン逃げてぇーーーっ!」

 

といった具合でヒノカミは一度ドモンをボコボコにした。

それ以降彼がヒノカミから微妙に距離を取るようになっていたのであまり気を使う必要がなかったのがありがたい。怪我の功名である。

 

 

そして修行の日々を送ること暫く。

 

(ーーーー?)

 

「お主も察知したか。皆の者、客じゃぞ。

 ファイター含む人間たちが大勢こっちに来る」

 

「なんだと!?」

 

「まさかドモンを倒そうと!?」

 

「いや、敵意は感じない。ひとまず迎え入れようか」

 

やがてドモンたちの所にまでやって来たのは、4人のガンダムファイターとの彼らのサポーター。

 

ネオアメリカのチボデー・クロケット。

ネオフランスのジョルジュ・ド・サンド。

ネオチャイナのサイ・サイシー。

ネオロシアのアルゴ・ガルスキー。

 

いずれもかつてドモンが世界を巡る内に拳をぶつけ合い友誼を結んだ武闘家たちだ。そして。

 

「久しいなキング・オブ・ハート。いや、東方不敗よ」

 

「このような場で我らが再び一堂に会することになろうとはな」

 

クイーン・ザ・スペード。

ジャック・イン・ダイヤ。

クラブ・エース。

ブラック・ジョーカー。

 

シャッフル同盟の残る4人の戦士がガンダムファイターたちの隣に立っていた。

 

「まさかお前たちがシャッフルの後継者に選ばれるとは」

 

「称号なんぞに興味はねぇが、お前に置いてかれたまんまじゃいられねぇからな」

 

「名高いシャッフル同盟から直接指導を受けられるのですから、これほど名誉なことはありません。学ぶことも沢山あります」

 

「けど無茶苦茶厳しいんだよなぁ~。

 まだまだ未熟だとか言って紋章も渡してくれないしさぁ」

 

「オレのような犯罪者を後継者にするのを躊躇うのもわかるのだがな」

 

ファイターたちはライバルだが、シャッフルの後継者に選ばれた盟友でもある。

なので一度全員で顔合わせをするために集まり、最後の一人であるドモンの所にやって来たらしい。

 

そこでファイターたちもドモンたちの後方に佇む巨大で異様なガンダムと、その足元に立つ人間たちが目に入る。

 

「んで、アッチがドモンの探してた兄貴とデビルガンダムってわけかい。

 ……オイ、なんで普通に一緒にいやがんだ?

 悪党なんじゃなかったのか?」

 

「いや……すまん、オレの誤解だったんだ」

 

「名乗らせてもらおう。キョウジ・カッシュだ。

 君たちには弟が世話になったようだな」

 

「こちらこそ。……どうやらドモンとは違って紳士的な方のようですね。安心しました」

 

「うっ……」

 

「へっへ~、言われてやんの!そんで隣の子は?」

 

「儂か?儂はヒノカミ。

 デビルガンダムのパイロットで、ネオホンコン代表のガンダムファイターじゃ」

 

「「「「何ぃっ!?」」」」

 

ヒノカミの発言に動揺が走り、客人たちを鎮めるためにこれまでの経緯を全て説明する。

 

デビルガンダムとキョウジが悪だというのはネオジャパンのウルベの陰謀であったこと。

ドモンに追い詰められたデビルガンダムを、彼に完全に破壊される前に奪い取ろうと隠していたネオジャパン軍を違法に動かしたこと。

ライゾウ博士を救出してきた東方不敗とヒノカミの参戦により窮地を脱し、ネオホンコンのウォン首相を通じてその一件の証拠映像をネオジャパンに突き付けウルベの処分を求めたこと。

本来ならドモンは失格処分となるところだったが、これを見逃してもらう代わりに東方不敗とヒノカミが彼の条件を呑んだこと。

それは東方不敗とクーロンガンダムに代わり、デビルガンダムとその正式パイロットとなったヒノカミがネオホンコン代表としてガンダムファイトに参加し優勝を勝ち取るということ。

そしてヒノカミとデビルガンダムはガンダムファイトの存在意義を覆しかねないほどの強さであるため、それを打倒しうる強者が他にも存在するのだと知らしめる必要があること。

故に東方不敗たちはドモンを鍛え上げることに決め、ここギアナ高地で修業をしていたこと。

 

「それほどの強さなのですか……!?」

 

「うむ。少なくとも儂とクーロンガンダムでも勝ち目はない」

 

「歴代最強と言われたガンダム・ザ・ガンダムでも勝負にならんだと……!?」

 

「ふむ……折角じゃ、お主らにも知ってもらおうか」

 

彼ら4人のガンダムファイターがシャッフルの後継者というならば、ドモンと同じくデビルガンダムに迫る強者となり得る。

今は強いガンダムとファイターは少しでも多い方がいい。

 

「東方不敗、そしてシャッフルの方々。

 儂とデビルガンダムと手合わせ願いたい。

 お主ら相手でもなければ全力も出せまいからな」

 

「良いだろう。我らもデビルガンダムとやらの力に興味がある。

 そしてお前自身も……本当に正しき者であるのかがな」

 

「げらげらげら」

 

 

ファイターだけでなくサポーターたちも含めたその場の全員で戦場となる荒野へ移動し、クーロンガンダムとシャッフル同盟の機体の全5機が肩を並べて、デビルガンダム1機と向かい合う。

 

(ーーーー…………)

 

『……なるほど。この威圧感、ただ者ではないな……!』

 

『ふふふ……まさかこの年になって格上に挑むことになろうとは!』

 

『我らが力を合わせて戦うなど、どれほど振りだ?』

 

『ブランクを言い訳にすることは許しませんよ』

 

『無駄口はそこまでよ。各々死力を振り絞れぃ!ゆくぞぉ!!』

 

『『『『おう!!』』』』

 

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