『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第13話 ガンダムファイト本戦

 

デビルガンダムとシャッフル同盟の勝負は、後者の勝利で終わった。

しかしこれは『勝負』だったからこその結末。

ルール無用の殺し合いならどちらが生き残っていたかと言えば間違いなく前者だろう。

転移なんて能力を持っているのだから、あのパワーで不意打ちされたらどうなるかは言うまでもない。

 

そしてガンダムファイターたちは、本戦にてあのデビルガンダムと1対1で戦わなければならない。

例年通りなら決勝はバトルロイヤルとなるが、アレを相手にしては徒党を組んでも勝てる気がしない。

それまでの間に、ドモンたちは最低でも今のシャッフルたちに並ばなければ勝負にすらならない。

 

ドモンは兄と父の汚名を晴らすため。

チボデーはアメリカンドリームを実現するため。

ジョルジュは騎士の名誉のため。

サイサイシーは少林寺再興のため。

アルゴは海賊の仲間たちの恩赦のため。

国の威信以外にもガンダムファイトで勝利しなければならない理由を持つ彼らは慢心を捨て、全身全霊で修業に取り組み始めた。

競い合う相手がいれば修行もはかどるというもの。

本来はガンダムファイトで国の枠組みを超えてファイターたちが協力するなどあり得ないのだが、今回ばかりは例外と各国のサポートスタッフたちも同意して、全力で彼らの修行を支えた。

倒すべき相手もその場にいて、しかも応援されるというのもおかしな話だが。普通に馴染んでたし。

 

そして間もなくサバイバルイレブンが終わるという頃。

シャッフル同盟は東方不敗を除き撤収することとなった。

もはや自分たちが教えることはないと、4人のファイターにそれぞれのシャッフルの紋章を託して。

 

東方不敗はヒノカミと共に、一足先にネオホンコンへ向かう。

今大会も本来なら彼が代表となるはずだったので、最後まで大会に付き合うつもりらしい。

キョウジとライゾウ博士もしばらくは彼がネオホンコンで匿うことになった。

 

そしてヒノカミが彼らより一足先に向かうのは、大会途中で彼女がネオホンコン代表に切り替わったから。

本戦前に当のガンダムの確認や調査は必要だろうし、ウォンとしても国の命運を託すガンダムを本戦前に直接見ておきたいはず。

何よりエネルギー切れなく飛行を続けられるデビルガンダムと一緒に出発しても足並みが揃わない。

 

ドモンたちはデビルガンダムを見送った後でギアナ高地を出発し、それぞれのルートでネオホンコン入りを果たした。

ファイターとサポーターたちは随分と仲良くなったが、揃って現地入りしては各国の上層部に余計な疑念を与えかねないと考えたからだ。

 

 

そして彼らが到着して暫く、ついに本戦会場に備え付けられたタイマーの数字が0となり、サバイバルイレブンが終了。

生き残ったガンダムたちが舞台の上に一堂に集う。

まもなく前回大会優勝国であるネオホンコン首相のウォンが、ガンダムファイト本戦の開始を宣言するため彼らの前に現れる。

 

『ですがその前に……我がネオホンコンのガンダムとファイターを、改めて紹介させていただきましょう』

 

そしてウォンの背後の巨大なゲートから出てきた異形のガンダムとその掌に乗る人影に、観客やファイターたちが一様に息を呑む。

例外はシャッフルの後継者たちと彼らのサポーター、そしてそのガンダムの正体を知るネオジャパンの本国スタッフたちだ。

 

『デビルガンダムと……ファイターヒノカミです』

 

『馬鹿な……何故ネオホンコン代表が!?

 ではあの鎧の男はキョウジなのか!?』

 

「……」

 

ドモンのガンダムの通信にカラトの呟きが届くが、自分に対する質問ではないと無言を貫いた。

たとえそうだとしても応えるつもりはなかったが。

 

そしてデビルガンダムはパイロットである鬼を掌に乗せたまま、舞台の上まで歩いてきた。

その体格は一般的なガンダムと比較して一回り大きいこともあり、近くにいたガンダムたちが後退るように距離を取る。

 

『……紹介に与った、儂が此度のネオホンコン代表のファイター、ヒノカミである』

 

スピーカーを通じて野太い鬼の声が会場に響く。

その鎧の中は前回の優勝者である東方不敗かと思っていた者も多かったが、いつの間にかウォンの隣に彼が立っていたことで別人だと気付いた。

彼女はドモンたちへの宣言通り、大会では鬼の姿で振る舞うつもりらしい。

 

『皆は何故、代表が東方不敗とクーロンガンダムではないのかと疑問に思っていることじゃろう。

 ……理由は一つ。儂とデビルガンダムの方が遥かに強いからじゃ』

 

この場には前回大会から引き続き参加しているファイターもいる。

現れた鬼が前回圧倒的強さで優勝を果たした東方不敗よりも強いと聞き、驚愕と恐怖で更に一歩後退った。

前回ガンダムファイトを解析し東方不敗対策を取って来た各国のサポートスタッフも思わず息を呑む。

 

『言葉では信じられぬであろうな。故に実力で示してみせよう。

 ……儂とデビルガンダムは、このガンダムファイト本戦にて『全勝』し優勝すると宣言する』

 

「「「「「!?」」」」」

 

あまりに挑発的な発言に、各国ファイターは恐怖以上に怒りを覚えた。

ブーイングの声すら聞こえ始める。

 

「……ま、そのくらいはできて当然だろうぜ」

 

「むしろどうすりゃオイラたちで倒せるのか、オイラたちが知りたいくらいだ」

 

「結局、オレたちの誰もヤツには届かなかった……ファイターとしても」

 

「ガンダムファイト国際条約第5条『1対1の闘いが原則である』、ですからね」

 

「知らないというのは幸せなことなのかもしれんな……」

 

舞台の端に集まる5機のガンダムのファイターたちは例外とする。

 

間もなく会場の人々の声をかき消すかのようにスピーカーから拍手の音が響く。

 

『いやはや、頼もしい限り。是非とも再び、我がネオホンコンに勝利をもたらしていただきたいものです。

 ……それでは!ここに第13回ガンダムファイト、本戦の開始を宣言する!!』

 

一拍を置いて、割れんばかりの歓声が会場を揺るがした。

デビルガンダムは全く動じた様子もなく、用は済んだと背を向けて立ち去って行った。

その態度と姿がより一層、各国のファイターたちの神経を逆撫でした。

 

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