『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第14話

 

「ドモン・カッシュ!アレは一体どういうことだ!?

 何故デビルガンダムがネオホンコン代表になっている!?」

 

開会式を終えてレインと共に出かけようとしていたドモンの元に、本国スタッフを引き連れたカラト委員長が息を切らせながら走ってきた。

 

(本当に何も知らされていないのか……哀れなもんだな)

 

嫌味ばかり言う陰険な奴だと嫌っていたが、今回ばかりはドモンも彼に同情していた。

ドモンがデビルガンダムと対面しその真実を知った時、ネオジャパン軍の包囲網を突破するためにクーロンガンダムと共闘したことはウルベも把握しているはず。

そこからデビルガンダムとネオホンコンとの繋がりはわかるはずだが、どうやら彼はウルベだけでなくウォン首相からも情報を隠蔽されていたらしい。

ウルベと軍を管理できなかったのは確かに彼の失態ではあるのだが、完全に蚊帳の外で責任だけを押し付けられてはたまったものではあるまい。

 

「オレたちから言うべきことはない。

 話はウルベ……いや、ミカムラ博士にでも聞け」

 

ウルベは本国で拘束されたが、ミカムラ博士が捕まったとは聞いていない。

彼はウルベの共犯者だが、軍との直接的な関わりはないため見過ごされたのだろう。

少なくとも、カラト委員長よりは事情に詳しいはず。

追及で狼狽え口を滑らせてくれれば儲けものだ。

 

「そ、それが、ミカムラ博士は地球に降りておらんのだ!」

 

「何?」

 

「新型のガンダムとマニュアルだけを押し付けて、コロニーの研究施設に引きこもってしまってな……」

 

(……オレたちにバレていると気付いて避けているのか)

 

(お父さま……)

 

もちろん途中で敗退し失格になっていなければだが、各国ファイターは大会期間中に一度だけガンダムを乗り換えることを許されている。

ネオジャパンは本戦に備えて新型の『ゴッドガンダム』を開発しており、カラトはスタッフらと共に機体を地球へ持ち込んだのだが、肝心の開発者が不在というのは大きな痛手だ。

 

「おかげでメカニックも足りん!その件についても綿密な打ち合わせをだな……!」

 

「そのマニュアルを全部こっちへよこせ。

 レインがいれば問題ない」

 

「なんだと!?」

 

事情を知らぬとは言え、兄と父を罪人と定めたネオジャパンはドモンにとって未だ信用ならない相手だ。

先ほどからの突き放すような態度もそのため。

母の仇であるミカムラ博士の作ったガンダムとなれば、何らかの仕掛けが施されている可能性もゼロではあるまい。

信頼できる者以外に、自分のガンダムを任せようとは思えなかった。

 

「ドモン、頼りにしてくれるのは嬉しいけど流石に私一人でガンダムを常に万全の状態に仕上げるのは無理よ」

 

ギアナ高地にてヒノカミやライゾウ博士からメカニックとしての技術を学んだ彼女は更に腕を上げたが、巨大なガンダムをたった一人で整備するのはあまりに過酷だ。

サバイバルイレブンに比べ設備が整っているとはいえ、本戦は予選に比べて試合間隔が短いので時間の余裕がない。

『機体が不調だから戦いを避ける』といった戦略も使えない。

 

「せめて優秀なメカニックが、もう一人はいないと……」

 

「レイン……だが」

 

「ミカムラ博士やレイン君ほどの技術者は、残念ながらネオジャパンスタッフにはおらん。

 ……彼女がメカニックたちの総指揮を取る形しかないのではないか?」

 

「馬鹿な!未熟な連中にオレのガンダムを任せられるか!」

 

「気持ちはわかるが、他に方法は……」

 

 

 

「お困りのようだな」

 

 

 

「「「!?」」」

 

頭上から聞こえた声に、ネオジャパンの面々が上を見る。

街灯の一つの上に、全身を隠す白銀のコートと帽子という異様な姿の男性が腕を組んで立っていた。

 

「な、何者だ!?」

 

「その声はっ……にいさ」

「私の名は『キャプテン・ブラボー』!!とうっ!」

 

ドモンのうっかりをかき消すように大声で叫んだコートの男は勢いよく跳躍し、空中で回転して集団の前に華麗に着地する。

 

「ネオジャパンのガンダムのメカニック……この私に任せてもらおうか!」

 

「はぁ!?いきなり何を言うんだキミは!どこの馬の骨ともわからん男に……!」

 

「待てカラト!……ちょっと、こっちに」

 

ドモンが発言を遮り、ブラボーと名乗った男を連れて集団から離れていく。

 

(どういうつもりだ兄さん!なんだその格好は!)

 

(お前の力になりたいと言ったら、ヒノカミが用意してくれてな。

 UG細胞程ではないが特殊な金属でできていて、これならガンダムでも呼ばれない限りファイター相手でも遅れは取らないだろうと。

 名乗るなら先ほどの名を名乗れというのが条件だったが)

 

(相変わらず訳のわからん奴だなアイツは……だが危険すぎる。

 兄さんたちはまだネオジャパンから追われる身だろう?)

 

(私たちの汚名を雪ぐためにもお前に活躍してほしいからな。

 それにデビルガンダムの方には父さんがついている。

 ならばお前には私が協力するべきだろう?

 私も科学者の端くれ、力になれるさ)

 

(そりゃ……そうだけどさ)

 

(ドモン、申し出を受けましょ?

 キョウジさんほどの方が手を貸してくださるなら心強いわ)

 

(……わかった。レインがそう言うなら)

 

内緒話に割り込んできたレインに説得され、ドモンは了承した。

兄はデビルガンダムの開発にも携わった技術者だ。メカニックとしてこれ以上とない戦力である。

何より、今のネオジャパンを信用しきれないのは彼らの共通認識だ。

有象無象のスタッフの中にウルベやミカムラ博士の手勢が紛れ込んでいる可能性は否定できない。

 

「カラト、彼はオレたちの知り合いだ。メカニックはレインと彼に任せる」

 

「なんだとぉっ!?」

 

「ご安心くださいカラト委員長、彼の実力と人格は私たちが保証します」

 

「ぬ、ぬぅ……だがな」

 

「不安に思うのは尤もだ。

 早速、その新型のガンダムとやらの調整を私とレインで請け負おう。

 その成果を見て判断してもらいたい。無論、整備の様子を監視してもらってかまわん」

 

「わ、わかった……」

 

自国の者以外にガンダムを任せるなど論外だが、カラトたちはドモンとレインの後押しで押し黙った。

ウルベのせいで失格になるところを首の皮一枚繋がったのは、ネオジャパンのファイターが東方不敗の弟子であるドモンだったからだ。

故にカラトは以前ほど彼に強く出ることができなくなっていた。

 

その後、ネオジャパンの施設で宣言通りにゴッドガンダムの調整を始めた二人をスタッフ一同と共に見守る。

門外漢のカラトは何をしているかさっぱりだったが、連れてきたメカニックたちが全員白旗を上げたことで彼の技術力の高さを思い知った。

その正体を追求しないことを条件に、キョウジことキャプテン・ブラボーはネオジャパンのメカニックの一人として受け入れられた。

 




とりあえず誰かが正体を隠す時、ヒノカミに任せたら大体ブラボーになります。
彼女は本気でこの姿がカッコイイと思っているので、趣味と実益を兼ねたチョイスはこれ一択です。
キョウジもこの11ヵ月で散々鍛えられたので、シルバースキンがあればガンダムファイター相手でも善戦できます。
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