『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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多分、ここまで酷いGガンダムの二次創作は他に無いと思います。
正直ごめんなさい。


第16話 決勝バトルロイヤル

 

間もなく決勝戦、ランタオ島でのバトルロイヤルが始まる。

勝ち残ったガンダムたちは既に島の中へと移動し待機している。

……島の広場の中央に佇むデビルガンダムを包囲する形で。

 

「やれやれ……ここまで予想通りの展開になりますか」

 

「……」

 

島の状況が映されたモニターを見てウォンが呟き、東方不敗は彼の後ろに無言で立っていた。

 

「どうしました?東方先生」

 

「ウォン……貴様、ヒノカミに何を吹き込んだ?」

 

彼は決勝の舞台へ向かう前のヒノカミと顔を合わせた。

正確には鬼の鎧を着ていたので、仮面越しだったが。

しかしそれでもすぐに気付くほど彼女の精神状態は異常だった。

反応が鈍く、何か追い詰められているようだった。

すぐに問い詰めたが彼女は何も言わず足早に去ってしまった。

そして原因が目の前の男にあることは疑いようもない。

 

「なぁに、必勝の策を授けただけですよ」

 

「策だと?」

 

「えぇ、その通り」

 

デビルガンダムは圧倒的に強すぎる。

どう足掻いても勝てない相手だと各国が判断すればガンダムファイトの存在意義がなくなり、再び戦争になるかもしれない。

だからヒノカミは敢えて自分を劣勢に追い込み、デビルガンダムは決して無敵ではないと証明しようとしていたのだが。

 

「アナタ方のやり方は迂遠すぎるんですよ……わざわざ全力を出して相手してやる必要がどこにあります?」

 

「なんだと!?」

 

「すでにデビルガンダムは圧倒的実力で本戦全勝という結果を示しています。

 もはやアレが今回大会のガンダム・ザ・ガンダムであることは周知の事実。

 ……であれば決勝バトルロイヤルなどただの消化試合だ」

 

「貴様、何を!?」

 

「用意するべきは『デビルガンダムが全力を出しても敗れるかもしれない状況』ではない。

 『他のガンダムが全力を出せず、デビルガンダムに敗れても仕方がない状況』です」

 

どうせファイター以外はデビルガンダムの恐ろしさなどまともに理解できないのだから、むしろ本当の実力は曖昧にしておくべきなのだ。

少なくともここまでの試合で『デビルガンダムが他の全てのガンダムを相手にしても勝利しかねない強さを持っている』と理解している者は、新生シャッフル同盟のファイターたちを除いてほぼいない。

ならばデビルガンダムの強さを有耶無耶にしたまま、ただの『一際強いガンダム』の範疇に収めたまま大会を終わらせてしまえばいい。

騙すべきは大会を観戦している民衆たちだ。

 

「だから誰にでもわかる形で他のファイターたちを弱体化させる。そういう策ですよ」

 

「奴に不正をしろと命じたのか!?」

 

「いえいえ。彼女が公正なルールに厳格であることは先生もご存知でしょう?

 だからそう……『ルールに違反しなければいい』」

 

「貴様ぁ……っ」

 

「話はここまで。時間ですので」

 

東方不敗が行動に移す前にウォンを映し出す部屋のカメラが起動した。

今、彼の姿が世界中に中継されている。これでは東方不敗が彼に手出しするわけにはいかず、カメラの外側から歯噛みして睨みつけることしかできない。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

『それでは、この決勝の舞台に勝ち残った英雄たちをご紹介しましょう!!』

 

ネオホンコンの実況者が各国のガンダムとファイターたちの名を呼び、ランタオ島にいる彼らの姿がモニターに表示されていく。

そして最後に紹介されるのは当然。

 

『誰も予想していなかった東方不敗選手の不参加、しかし代わりに立つ彼の実力は紛うことなく本物!

 宣言通りに全戦全勝を成し遂げた正体不明の豪傑!

 デビルガンダムとファイターヒノカミ!

 再び我らがネオホンコンに勝利の栄光をもたらしてくれるのか!期待が高まります!』

 

「…………」

 

映像の中で鬼の鎧の巨漢は無言で佇んでいた。

彼女を詳しく知る者は、力無く腕を下ろした姿勢から違和感を感じ取る。

 

『それでは、ウォン首相に決勝戦開始の宣言をお願いいたします!』

 

『……あー、その前に。少しお時間をいただきます』

 

「「「?」」」

 

スクリーンに映し出されたウォンの予定外の発言に選手や観客たちは訝しむ。

 

『どうしました、ヒノカミさん。

 もう試合が始まりますよ。

 いつまでそうしているんです?』

 

「……どうしても、やらねばならんのか?」

 

『今更見苦しいですよ。

 時間も押しているんです。早くして下さい」

 

「……っ」

 

鬼は俯き震えながら、鬼はゆっくりと右腕を持ち上げていく。

初めて見せる弱々しい姿に、人々は彼に何があったのか、何をしようとしているのかと疑問を抱く。

 

『やめろヒノカミ!』

 

ウォンの映像に割り込んだ東方不敗が声を上げるが、鬼は止まることなく。

 

仮面を剥ぎ取った。

 

 

 

 

「「「「「………………は?」」」」」

 

 

 

全てのファイターが、観客が、映像を見ていた宇宙中の人々が言葉を失った。

仮面が剥がれ、鎧が消え、そこに立っていた人間は。

 

 

 

 

フリっフリでヒラっヒラでリボンの沢山ついた可愛らしい衣装を着た、幼気な少女だった。

 

 

 

 

『『『『『ぶわっははははははは!!!!!』』』』』

 

 

 

真っ先に沈黙を破ったのは、同じ戦場に立つ5人の武闘家たちだった。

 

『Oh My God!! Help! Help Meeee!!』

 

『た、たいへん良くお似合いで……ぶふっ!』

 

『腹が!腹が捩れる!死ぬ〜〜!!!』

 

『ぐっ……くくくっ……ぐふぅっ』

 

『き、貴様何を考え……ぶはっはははっ!』

 

5機のガンダムが膝をつき、地面を叩き、腹を押さえている。

ヒノカミは目と口を固く閉じ、スカートの裾を握り、真っ赤な顔で震えながら甘んじて嘲笑を受け止める。

彼らは悪くない。

気持ちはわかる。

これが自分でなければ、自分だって指さして笑い転げるだろう。

 

『いやぁ、やはり良く似合っていますねぇ。

 せっかくですし一曲ご披露しては?』

 

「誰が戦場で歌なぞ歌うかぁ!!」

 

『『『『『ぶふぉあぁ!?』』』』』

 

追撃を受けシャッフルの戦士たちは耐えきれず全員その場で崩れ落ちる。

なるほど、確かにこの格好でマイクを持てばアイドルだろう。

ステッキを持てば魔法少女だ。実際魔法っぽいことできるし。

 

『折角おめかししていただいたんですから、口調や振る舞いも合わせていただきたいんですがねぇ』

 

「やかましいわ!時間が押しとる言うたのは貴様じゃろうがぁ!

 さっさと開始の宣言をせいやぁ!!」

 

『はいはい、分かりましたよ』

 

『!?ちょっとタンマ!まだ、腹がぁっ!!』

 

『それではガンダムファイト決勝戦!

 レディー……ゴォー!!!』

 

ウォンの開始宣言と同時に、未だ状況についていけず困惑したままの他国のガンダムたちにデビルガンダムが突撃する。

 

「お主らには悪いが……一刻も早く終わらせてもらうぞチクショーー!!!」

 

(ーー?)

 




偶像崇拝も、ある意味信仰みたいなもんですよね。
なんてったってアイドル。
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