『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第21話 世界ガンダム連合

 

「なるほどな……父さんが嫉妬するわけだ……!」

 

デスアーミーとガンダムヘッドを次々と撃墜しながら、ライジングガンダムのコクピットでキョウジは呟く。

多少格闘技の心得があるくらいで武闘家と名乗ることすらおこがましいキョウジだが、今のライジングガンダムの強さと戦果はガンダムファイターたちに匹敵していた。

接近戦では薙刀、遠距離戦ではビームボウ。

両肩のショルダーアーマーは分離しビームボウと合体してシールドとなり、前面を防御しながら射撃を行うことができる。

そして何より機体の動きに癖がない。特定の誰かではなくあらゆる人間が操縦することを想定して設計されている。

無茶苦茶な想定だが、一般人が搭乗したとしても十分な活躍ができるだろう。

 

(……仮に国家間戦争が勃発しライジングガンダムが量産されれば、ネオジャパンが戦勝国になる可能性もあるか?)

 

ちょっと鍛えた程度の自分がガンダムファイターに迫る戦力になるのだ。

これが軍勢を成して進撃してきたら……と、そこでキョウジは思考を打ち切る。

今彼らは戦争を避けるために戦っているのだから。

 

「状況はどうだ!」

 

『……正直、キツイな!

 UG細胞の質はこちらの方が遥かに上じゃが、コロニー1基分の動力炉のパワーに抗うのは儂一人では無理じゃ!

 一瞬でも気を抜けば居住区どころか、あっという間にコロニー全てが取り込まれる!』

 

ビームが効かないデビルガンダムを破壊するために、何百もの数のデスアーミーとガンダムヘッドが周囲に殺到し、巨大な塊を作っている。

ライジングガンダムとゴルビーが攻撃し破壊し続けているが、それは塊の表面を削っているだけに過ぎないのだ。

デビルガンダムはこん棒を叩きつけられ牙を突き立てられても、その強度と再生能力で耐えながらコロニーへの干渉を続けている。

おかげで今のところはシェルターとその中の住民たちを守ることが出来ているが、反撃に転じる余裕など一切ない。妨害を受けながら今の状態を維持するだけで精一杯だった。

 

「ドモンたちは!?」

 

『少し前に通信が途絶した!

 直前の通信内容から動力炉には辿り着いているはずだが……』

 

「何らかの防衛システムを構築して備えていたか……!」

 

ドモンたちが任務を完了するのはまだ先になるだろう。

デビルガンダムはヒノカミの無尽蔵のエネルギー供給で抗い続けることが出来るが、ゴルビーとライジングガンダムのエネルギーは有限だ。

彼らの援護を失った瞬間、天秤は大きく傾くことになる。とにかく戦力が足りない。

 

『くそっ……これは間に合わんか……!?』

 

 

 

 

『否!!』

 

 

 

「『!?』」

 

遥か上空から迫る巨大なエネルギーの球体がコロニーの外壁へと叩きつけられ爆発し、周辺のデスアーミーと巨大ガンダムヘッドを飲み込んだ。

更に爆風でデビルガンダムの周囲の敵が剥がされる。

そして隣に出来たクレーターには『驚』の文字が刻まれていた。

 

二人が見上げた先には白馬にまたがる一機のガンダムの姿があった。

 

「クーロンガンダム!?」

 

『ぐわっはっはっは!待たせたな!』

 

『遅いぞ東方不敗!!』

 

万が一に備え、ヒノカミは出発の直前に彼に一報を送っていた。

来てくれるとは信じていたが、予想よりも戦況が悪く展開が早かったため危ないところだった。

 

『なぁに、ちと人手を集めるのに手間取ってな』

 

「人手……?」

 

『っ、地球の方向より高速で接近する飛翔体有り!

 数は4!……この反応は!?』

 

ゴルビーのオペレーターの声が届き、間もなくデビルガンダムを囲うように4つの物体がコロニー外壁に突き刺さる。その形は巨大な。

 

『球体と……スペードにクラブにダイヤ!?まさか!?』

 

『『『『そう、そのまさかよ!!』』』』

 

3機のモビルアーマーがモビルファイター形態へと変形し、球状のエネルギーの膜を破って1機のモビルファイターが姿を見せる。

 

 

『クイーン・ザ・スペード!』

『ジャック・イン・ダイヤ!』

『クラブ・エース!』

『ブラック・ジョーカー!』

 

『そして……キング・オブ・ハート!』

 

『『『『『我ら、シャッフル同盟!』』』』』

 

「先代シャッフル!?」

 

『すでに次代に託しはしたが、我らの力は未だ健在!』

『そして世界のために戦う覚悟もまた然り!』

『隠居を決め込むには早すぎるのでな!』

『戦い続けましょう、この命ある限り!』

 

そして散開した4機のシャッフルのモビルファイターが周囲のデスアーミーと巨大ガンダムヘッドへ攻撃を仕掛け、宇宙に無数の大輪の花が咲いた。

 

「……ははは、やはり本物の武闘家は違うな。

 私程度が何機いようと物の数ではないか」

 

『東方不敗、まさか彼らまで連れてくるとはな』

 

何度破壊しても連中は新たに生み出されるだろうが、新たに製造するためにエネルギーを割かねばならない。

ヒノカミとデビルガンダムが送るUG細胞の干渉に抗う力と、おそらくドモンたちを妨害している戦力が弱まるはずだ。

 

『……この事態、もはや儂と奴らだけでも手が足りぬ。

 戦力は多いほど良かろう』

 

『?』

 

デビルガンダムは隣に着地した風雲再起の上に乗るクーロンガンダムに視線を向ける。

 

『ヒノカミよ……覚悟しておくことだな』

 

『お主何を言うておる!?なんか怖いんじゃけど!?』

 

『っ!?多数の反応がこの宙域に殺到しています!

 地球から……宇宙中のコロニーからも!?

 10や20じゃない……百、いや千以上!?』

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

時間を少し巻き戻し、ヒノカミから連絡を受けた東方不敗が動き始めたのとほぼ同時刻。

 

 

『……皆さん。私は第13回ガンダムファイト優勝国であるネオホンコンの首相、ウォン・ユンファです』

 

東方不敗と共にいたため同時にネオジャパンコロニーの危機を知ったウォンが、即座に全世界へ向けて放送を開始していた。

 

『現在ネオジャパンコロニーにて国家を転覆せんと企んだ犯罪者共が、クーデターを引き起こしています。

 連中はネオジャパンコロニーそのものを人質に取り、我が国の代表であったデビルガンダムの複製体を利用して、コロニーそのものを巨大なデビルガンダムへと造り替えようとしています。

 これを見過ごせば、連中は世界全てを脅かす脅威となるでしょう。

 ……現在、我が国を含む6か国のガンダムファイターたちがネオジャパンコロニーへと向かい対処に当たっています。

 ですが敵は、あまりにも強大』

 

そこで言葉を区切ったウォンは愛用の椅子から立ち上がり、力強く宣言する。

 

 

『彼らだけにこの世界の命運を託して良いのか!?

 我らの世界は、我ら皆で守り抜くべきではないのか!?

 故に私はガンダムファイト優勝国の権限を持って命じる!

 全ての国のガンダムを結集し、ここに世界ガンダム連合を結成!

 直ちにネオジャパンコロニーへと向かい、世界に仇名す逆賊を討て!!』

 

 

ネオジャパンコロニー周辺の映像は各国コロニーからでも観察できる。

ウォンの放送を聞いた彼らは状況を把握し、速やかに行動を開始した。

未だ地球に残っていたガンダムファイターたちは地球の基地からロケットを使い次々に宇宙へと昇り、各国コロニーからも多くのガンダムが出撃し、先んじて戦う戦士たちへの援軍に駆けつけた。

 

 

 

「……ふふふ、アナタならこれも貸しと受け取ってくれるんでしょうねぇ。

 さぁて、今度はどんなお願いをしましょうか。

 くっくっくっく…………!」

 

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