『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第23話

 

「……PLUS!ULTRAぁああああ!!!」

(ーーーー!!!)

 

巨大なアルティメットガンダムが4本の腕を大きく広げ、バリアの上からネオジャパンコロニーに掴みかかる。

しかしバリアは崩れず、触れた部分がバチバチと火花を放つ。

 

「ぐぅっ……いけるな!?」

(ーー!ーー!)

 

純粋な熱ではないため効率は悪いが、このバリアだってエネルギーの塊だ。

自分の身を焼くような強引な方法でだがエネルギーを吸収することはできる。

自由の女神砲のエネルギーはこの巨体を生成するために大半を費やしてしまったので、このバリアから吸収したエネルギーを使って脚部からスラスターをふかし、コロニーの落下を食い止める。

 

「さぁ根競べと行こうか!諦めの悪さで儂に敵うと思うなよ!」

 

コロニー動力炉は確かにモビルファイターと比較すれば無限に等しい量のエネルギーを生成するが、実際には有限だ。

DG細胞に取り込まれている以上自己再生により故障はあり得ないだろうが、コロニーに保管されていた燃料を使い果たせばそこで止まる。

無からエネルギーを作り出すことはできない。この世界に本当に無限のエネルギーなど存在しない。……ヒノカミの生命エネルギー以外は。

であればこの巨体を使って負荷をかけ一気に大量のエネルギーを消費させ続ければ、いずれコロニー動力炉は停止するはず。

 

 

(ーー!?)

「何っ!?ぐぁっ!?」

 

しかしその前にバリアが解除され、巨大な拳がアルティメットガンダムを殴り飛ばした。

目の前の巨人に対抗するため、デビルガンダムもまた内包するエネルギーを費やして自己増殖し、コロニーの大地の上に巨大な上半身を作り出した。

 

「ちぃっ、本体は……アレの心臓部か!

 だったら引きずり出してやるわぁ!!」

(ーー!!!)

 

そして2体の巨人が殴り合いを始めた。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

『オイオイ……いつからオレたちの世界はMonster Filmになったんだ!?』

 

『コイツらもガンダムなのか!?これはガンダムファイトと言っていいのか!?』

 

「良いわけあるか!……師匠、オレたちは一体どうすれば!?」

 

『……ぬぅぅ……』

 

怒涛の展開に思考が追いつかないドモンは経験豊富な人生の師に尋ねるが、流石の先代キング・オブ・ハートも言葉を詰まらせる。

デビルガンダムがアルティメットガンダムを無視できぬ敵と見なし戦い始めたことで高度の低下は止まった。

そして2体の戦いは互角に見える。であればアルティメットガンダムに手を貸すべきだが、戦いのスケールが大きすぎて迂闊に手出しができない。

下手に近付けば巻き込まれる。かといって遠方からデビルガンダムに攻撃してもダメージにすらなるまい。

 

 

『……ヒノカミ!我らにできることはあるか!?』

 

なので見栄を張らずに素直に尋ねた。これができる大人は意外と少ない。

 

『儂一人ではこの巨体を動かすエネルギーが足りん!

 ガンダムファイターたちよ、お主らの機体とお主ら自身のエネルギーを分けてくれ!』

 

彼女のエネルギーは無限だが、出力には上限がある。

蛇口から水を注ぎ続けてもダムの放水の勢いで放出されては枯渇するのは当たり前だ。

 

「わかった!お前たちもいいな!?」

 

『無論です!』

『やってやろうじゃねぇか!』

『いくらでも持っていけ!』

『……でもさ、どうやって!?』

 

一端デビルガンダムコロニーから距離を取った巨大アルティメットガンダムの周囲にガンダムたちが集まり気勢を上げるが、肝心の方法がわからない。

熱エネルギードレイン攻撃を持っているのだから、吸収しやすい技でもぶつければよいのだろうか?

 

『その場を動くな!』

 

ヒノカミが叫ぶと同時に巨大アルティメットガンダムの背中にあるフジツボ型の突起の中から無数の何かが伸びてきた。

それはデビルガンダムコロニーがネオジャパンから生やしていたものと同じくらい巨大なガンダムヘッドで。

周辺に漂うガンダムたちを目掛けて大きな口を開けて殺到して。

 

 

 

『『『『『へ?』』』』』

 

バクン。

 

 

 

 

『『『『『……ギャァァアアアアーーーーーーッ!!!!!』』』』』

 

『何してんだオマエェェエーーーー!!』

 

『えぇいチョコマカするな!大人しく食われろぉ!!』

 

事態を察知し逃げ惑うガンダムたちをガンダムヘッドが追いかけていく。

そして1機、また1機と飲み込まれ、ガンダムヘッドごとアルティメットガンダムの中へと吸い込まれていく。

 

「兄さん!アレンビーっ!」

 

ゴッドガンダムは寸前で躱したが、傍にいたライジングガンダムとノーベルガンダムは逃げられなかった。

ドモンが悲痛な声で呼びかけると、すぐに彼らとの通信が繋がった。

 

『わ、私なら無事だ!』

 

『アタシも!……でも、ここって……!?』

 

『ガンダムサイズの……巨大なコクピット!?』

 

通信と共に届いた映像は、ファイターたちなら見慣れた……というか今もいる、モビルトレースシステムを搭載したガンダムのコクピット。

しかしその中にいるのは人間ではなくガンダム。

取り込まれた他のガンダムたちの映像も届いてきた。確かに全員無事のようだ。

 

『お主らに一番やりやすいのはこの形じゃろ!

 さっさと中に入ってエネルギーを送るんじゃ!』

 

実はアルティメットガンダム自身も、巨大アルティメットガンダムの胸部に形成されているコクピットの中からモビルトレースシステムの要領で巨体を操作していた。

 

「そういうことなら先に言え!」

 

『言ったって嫌がるじゃろ!』

 

『『『『『当たり前だ!』』』』』

 

必要なことだと分かっていても、既に呑まれた者たちが無事だと分かっていても、怖いものは怖い。

先ほどまで敵として襲い掛かって来たのと同じ姿をしているので猶更だ。

今もガンダムたちは自分を追いかけてくるガンダムヘッドから逃げ回っている。さながら地獄絵図である。

 

 

『キャァッ!』

『『『うわぁっ!?』』』

 

「レイン!?父さん!?ゴルビーまで取り込む気か!?」

 

『とにかく数が足りんのじゃよ!仕方なかろう!

 それに儂らがぶつかり合うこの宙域に無防備に放置しておく方が危険極まりないわ!』

 

そう言って巨大アルティメットガンダムは他国の戦艦や先ほど放り出したネオジャパンコロニーのシェルターにすら触手を伸ばし、自身の内側へと飲み込んでいく。

シェルターの中でネオジャパン国民たちが悲鳴を上げていた。

 

 

『……えぇい!ついてこいドモン!!』

 

「師匠!?」

 

意を決した東方不敗が『手本を見せてやる』とでも言うようにガンダムヘッドの中に飛び込んでいく。

先代シャッフルの機体も彼に続いた。

 

「……くそぉっ!行くぞお前たち!」

 

『『『『……』』』』

 

「返事はぁ!?」

 

『『『『……おぅっ!!』』』』

 

流石の実力ということか、最後まで食われずに残っていた新生シャッフルの5機も自暴自棄になってそれぞれガンダムヘッドに飛び込んでいく。

そして彼らもまた他のガンダムと同じように、巨大なコクピットの中へと案内された。

 

 

『儂はこの巨体の維持に専念する!誰かに操作を任せたい!

 ……東方不敗、頼めるか!?』

 

今なお世界最強の武闘家であり、彼女と長年の付き合いがある東方不敗マスター・アジア。

ヒノカミが彼以外を選ぶ理由はなかった。

 

『……いや、儂は辞退する』

 

『なんじゃと!?』

 

『……貴様がやるのだ!ドモン!!』

 

「なっ!?」

 

『『『『『!?』』』』』

 

『貴様がネオジャパンのファイターであろうが!

 ならば祖国を背負うのは貴様の役目ぞ!』

 

『いや『国を背負う』って……物理的に!?』

 

「で、ですが師匠!オレのような未熟者が……!」

 

『たわけが!だからこそここで一歩踏み出さねばならんのだ!

 己の殻を破るのは今おいて他にない!

 ……やれるな?キング・オブ・ハート』

 

「……はいっ!!」

 

『……えぇい!わかった!

 ネオジャパンのファイター、ドモン・カッシュ!

 状況次第では他の者に交代しても良いが、メインはお主じゃ!

 お主にこの世界の人類と地球の命運を託す!』

 

巨大アルティメットガンダムの中で、アルティメットガンダムがいたコクピットが頭部に移動し、胸部のメインコクピットの位置にゴッドガンダムのいるコクピットが運ばれてくる。

 

「……はぁぁぁぁああああっ!!!」

 

巨大アルティメットガンダムがゴッドガンダムの、ドモンの動きに追従する。

そして背中から6枚のプレートが伸び、広がり、円環を形成した。

 

 

『GYAHAHAHAHAHAHA……!!』

 

「ゆくぞっ!デビルガンダムっ!!」

 

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