敵連合
・荼毘不在。燈矢はヒーローです。
・トガヒミコ不在。彼女もヒーロー候補生。
・スピナー不在。ステインの狂気は伝染しませんでした。
・脳無増量。AFOが弔の好感度稼ぎのために奮発しました。全滅したけど。
・弔、黒霧参戦。見てるだけですぐ逃げたけど。
ヒーロー
・オールマイト参戦。後遺症もないのでいまだにピンピンしてます。
・増援多数。敵連合が可哀そうになるくらい待ち構えてました。
・内通者が味方。敵連合のスパイを演じきりました。影のMVP。
・生徒がヤバイ。特に1年A組トップ3はすでに雄英トップ3を名乗れるレベルです。
「……青山。リカバリーガールから連絡があった。
お主の両親、特に何かを仕込まれた様子はないらしい。健康そのものだとな」
「本当……ですか……!?」
「あぁ……よく頑張ったな」
「はい……はい……!」
敵連合襲撃の事後処理を他のヒーローたちに任せ、ヒノカミは生徒の一人、青山を施設の奥へと連れて行った。
彼こそが敵連合、いやAFOが雄英に潜り込ませた内通者の一人。
そして自らと両親を命の危険に晒してもなお、正義と友人たちのために立ち上がった偉大なヒーローの卵だ。
期末試験の最後の試合、ヒノカミの告白は青山の心に火を灯した。
彼は根津校長に面談を希望し、自分が元無個性であることと、AFOというヴィランに個性をもらった代わりに彼の配下となったことを明かした。
自分の体に個性だけでなく盗聴や爆弾の類が仕掛けられている可能性があり、青山は今までAFOに従っていた。彼の両親も同様だ。
雄英は合宿の裏で息子の行動を知らないままの青山の両親を保護し、リカバリーガールの元に預け検査を行っていた。
結果青山本人だけでなく彼の両親にも一切の仕掛けが行われていないことが確定した。
AFOは恐怖を植え付けた青山が裏切るとは考えなかった。端的に言えば青山を見くびっていたのだ。
その事実がはっきりしたことで、青山はようやく解放され泣き崩れていた。
青山の告白を受けた直後、根津校長は情報源をぼかしたまま雄英生徒に敵連合の内通者がいると教師たちに暴露。
しかも一人二人ではなく、複数の学年や専攻にまたがって十数名はいるらしい。
具体的に誰なのかは不明。探し出して特定しようとすれば、雄英が内通者の存在を確信していると知られてしまう。
そこで根津校長はこの状況を逆に利用する方針を打ち立てた。
ヒノカミへの予知により、林間合宿中に敵連合の襲撃があるとすでに判明し教師たちに通達している。
しかし何年も前に見た曖昧な予知なので詳細は不明。どれだけの規模かはわからない。
だからいっそ敵が全戦力を傾けたくなる状況を作り出す。
最低限の人員を添えて救援が見込めない山中を合宿先に選び、施設の周辺にオールマイトを始めとした多数のヒーローを潜ませておく。
そして敵全員を返り討ちにするというシンプルな作戦だ。
合宿先の場所は青山から連絡する手はずなので、この連絡を利用して敵の襲撃タイミングの情報を手に入れる。
スパイの雄英生徒に教師たちの雄英不在を気づかれないよう、ヒーロー科2年の変身する個性の生徒にアリバイ作りの協力を要請。
雄英の戦力低下を補うために、知名度は低いが戦闘力が高く、協力を要請した生徒と親交の深いヒーロー『ブレイザー』が派遣された。
そして作戦は成功。
敵連合に所属した多数の凶悪ヴィランと、連中が従えていた脳無すべてを確保。
またも主犯である弔と黒霧には逃げられたが『サーチ』の個性でロックオン済。
プロヒーローが数名かすり傷を負った程度で生徒には傷一つない。
尚、生徒数名を戦闘に参加させてしまったがこれは秘密にする予定だ。
USJ襲撃事件で捕らえたヴィランの証言や警察の地道な調査により、敵連合の拠点があるらしい地域はすでに特定していた。
徹夜させてしまったが今回の襲撃直後にラグドールを連れまわし、遂に正確な座標を突き止める。
今は襲撃事件翌日。
生徒もヒーローも全員雄英に戻っている。
今晩、合宿先に襲撃を受けた件で雄英が会見を開く予定。
それに合わせてオールマイトとヒノカミ、招集したトップヒーローたちにより敵連合拠点への襲撃作戦が行われる。
……そしてこれがヒノカミの最後の戦いになる。
「……黙っていて、すまんかった」
ヒノカミは教師たちに向けて深々と頭を下げた。
遂にヒノカミは今まで隠し通していた予知の最後、間もなく敵連合の首魁と戦い命を落とすという未来を明かした。
雄英が反撃を計画していると敵連合に悟られるわけにはいかないので、教師たちは戦いに向かう素振りを見せることができない。
主戦力であるオールマイトと、その補佐であるヒノカミ以外の教師は全員雄英に待機。
なので文字通り、これがヒノカミとの今生の別れとなる。
「……わかっていますよ。あなたの寿命以上に明かせない情報だったってことは。
……合理的な判断です」
「思えば儂が最も世話になった教師は、お主であったな。
……あの馬鹿どもの未来を託すぞ、イレイザーヘッド」
「言われなくとも……こちらこそ、お世話になりました」
背中を向け部屋の外へと歩き出すヒノカミに教師たちは一斉に頭を下げる。
スパイに気づかれないよう、こっそりとオールマイトが待っている雄英の裏口へと向かう。
だから見送りに来たのは連絡を受けていた二人だけだ。
「「……」」
「そう暗い顔をするな。せめて最後は笑顔で送り出してくれんか?」
「無理……です……!」
「……ケッ!」
緑谷と爆豪が、オールマイトと共に待っていた。
期末試験後の密談で彼らは合宿先での襲撃も、ヒノカミの最期も、すべて知らされている。
本当なら大声で叫びたいが、この会合を気づかれるわけにはいかないのでぐっと堪えていた。
ヒノカミは彼らの頭に両腕を回し、抱え込んで呟く。
「生まれ変わってまた会おう」
「……!」
「……3度目があるかは、わからねぇんだろ?」
「なぁに、気合で何とかするさ。プルスウルトラじゃ」
最初に会った頃はまだ小さかったのに、今では二人ともヒノカミより大きくなった。
しかしかつてと同じように雑に髪を掻きまわす。
子供扱いと分かっていて、二人はそれを受け入れていた。
「……ヒノカミ、そろそろ……」
「あぁ」
ヒノカミは二人に布に包んだ棒切れを預け、扉を開ける。
「では、ちょっと逝ってくる」
「……最期までブラックジョークかよ」
「あなたらしいです……行ってらっしゃい」
「かっかっか!」
少年たちの目の前で、扉が静かに閉まった。
皆さんからは駆け足過ぎると感じたでしょうが、自分は「やっとここまで」という思いです。
次回より轟舞火最期の戦い、AFO戦を開始します。