『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第2話 ヘリオポリス襲撃

 

ガンダムとヒノカミがヘリオポリス宙域に辿り着いたとき、すでにザフトのよるコロニー襲撃が始まっていた。

やはりここで連合が新型のモビルスーツを開発していると察知されたらしい。

周辺にはザフトに敗れたであろう連合軍の戦艦やモビルアーマー『メビウス』の残骸が浮かんでいた。

 

コロニー付近で警戒を続けているジンが突撃してくるガンダムに気付いた。

ガンダムは自分から攻撃しては来ないが、自分や身内が攻撃された場合には容赦なく反撃してくる。

そしてガンダムとそれを操る鬼人ヒノカミがオーブに身を寄せていることは周知の事実。

中立を宣言しておきながら連合と手を組んでいたという事実と大義名分はあれど、今のザフトはオーブのコロニーを襲撃する侵略者だ。

よってジンは一斉に銃を構えてガンダムに先制攻撃を仕掛けた。

 

「コクピットは避けるぞ」

 

(ーー?)

 

「今回の件、オーブに非がある。

 人死にを出して余計な禍根は残したくない」

 

(ーー)

 

ガンダムは右腕にビームソード、左腕にビームクロスを掴み、両肩の巨大なアームを展開。

全速力を維持したまま1機のジンへと突っ込んだ。

浴びせられる銃弾の雨をものともせず、すれ違いざまにジンの四肢と頭部だけを的確に破壊する。

そして残った胴体を、遠方に見えるザフトの戦艦目掛けて蹴り飛ばした。

 

「……ぬ?」

 

そしてヒノカミとガンダムは、ザフトの戦艦へと移動する、明らかにザフトの物とは構造が違う3機のモビルスーツに気付いた。

 

フェイスパターン、ツインアイ、額のV字アンテナ。

連合のモビルスーツにはガンダムの情報がわずかながら流用されたと聞く。

直接のデータ取りはさせていないが、外観から推測できる構造などが採用されたとすれば、あれは連合が開発したモビルスーツのはず。

 

「なるほど、奪われたか。連合は散々じゃな」

 

ガンダムが母艦と奪取したモビルスーツに注目していると気付き、そちらには向かわせまいと残るジン全てが包囲攻撃を仕掛けてくる。

 

「ちっ、正解じゃよくそったれ」

 

もし彼女が敵を殺す気であったなら全周囲攻撃で一瞬で終わっていただろう。

だが不殺を貫くと決めた今のガンダムに対しては乱戦こそが最善手。

コクピットを避けるだけでなく誘爆や仲間同士の誤射すらも防がねばならないので、どうしても動きが鈍る。

もちろん彼らはそんな事実に気付いていないが。

 

 

誰も殺さないように、一機ずつ丁寧に無力化していくガンダム。

全てのジンを胴体だけのダルマに変えたところで、更にもう一機のガンダムタイプらしきモビルスーツがコロニーから離れてザフトの船へと向かっていた。

 

「……まぁ良い。突入するぞ」

 

(ーー)

 

ヒノカミの目的はオーブの国民であるヘリオポリスの住人を守ることと、中にいるであろうカガリを連れ戻すことだ。

連合の機体を取り戻してやる義理はない。

周囲に浮かぶジンのなれの果てを破壊しないように避けながらコロニーへと移動する。

外がこの有様では中も無事ではあるまい。

 

「あのじゃじゃ馬がそう簡単に死ぬとは思えんが……」

 

コロニー内部に突入すると、工業地帯エリアで2機のモビルスーツ反応を感知した。

ジンとガンダムタイプのモビルスーツが向かい合っている。

一触即発、味方という雰囲気ではない。

このコロニーで製造されていたモビルスーツは全部で5機という話だった。つまりは。

 

「あれが最後の一機か。全て奪われずに済んだようじゃな」

 

連合は明確な敵とは言えないが、これ以上コロニーを傷つけられてはたまらない。

双方を鎮圧するつもりで突撃する。

コロニー内部でビーム兵器は破壊力がありすぎるので両肩のサブアームを大きく広げて突っ込んだ。

まずは連合の機体が、続いてジンがこちらに気づいた。

後者は反応が遅れガンダムの剛腕に胴体を掴まれ地面へと叩きつけられるが、前者は素早くガンダムから距離を取って逃れた。

 

「ほぅ、いい反応じゃの」

 

ガンダムは脚部を展開して着地。

トリコロールカラーの連合の機体は、ジンを押さえつけているためその場から動けないガンダムから距離を取ろうとする。

 

「だが無駄じゃ!」

 

(ーー!)

 

もう一方のサブアームを勢いよく、数十メートル先にまで伸ばす。

明らかに機体の総量を超えた長さにまで伸びるとは思うまい。

そのまま大きく開いたかぎ爪で掴む寸前に。

 

 

『待てヒノカミ!』

 

 

連合の機体のスピーカーから、声が響いた。聞きなれた少女の声が。

 

 

「……カガリ、か?貴様がなぜ連合のモビルスーツに乗っておる!?」

 

『うるさい!成り行きだ!ちょ……狭っ……えぇい!

 こっちはけが人に一般人まで乗ってるんだ!これ以上攻撃はするな!』

 

「あぁもう、わかったからさっさと降りろ!

 このジンはもう動けぬ!

 ……そこの少年少女、お主らも出てきてよいぞ」

 

連合のモビルスーツの近くに、おそらく巻き込まれたであろう一般市民が4人ほど隠れていたことには気づいていた。

言い出した者として真っ先にヒノカミがコクピットを開き飛び降りる。

10メートル以上の高さから着地した鬼鎧姿の巨漢に『ヒノカミ』の素性を知らぬ少年たちは驚き後ずさる。

彼女がこの世界に訪れ活動を開始してまだ1年なのだ。

地球から遠く離れたコロニーにいる市民が知らないのも無理はない。

しかし連合やザフトならこの鬼とガンダムの脅威を知らないはずはない。それぞれ単騎で挑もうなどとは思わないだろう。

ヒノカミはガンダムが地面に押さえつけているジンに近づく。

 

「貴様も出てこい、ザフト兵。

 余計な抵抗をせぬならこれ以上の手出しはせぬ」

 

『そうしてぇのは山々なんだが……機体がひしゃげてハッチが開かねぇんだよ!』

 

「む」

 

機体のスピーカーから響く少し高い青年の声。

確かにジンの胸部装甲が大きく歪んでいる。強く叩きつけすぎたようだ。

鬼は歪んだ装甲の隙間に腕を突っ込み。

 

 

バキィッ!

 

『「…………は?」』

 

素手で引きちぎった。

 

「これで、出られるな?」

 

『「…………あぁ」』

 

外部のスピーカーと目の前の本人の2重の音が響く。

ヒノカミがザフト兵の青年を引きずり出すうちに、連合の機体のハッチからも搭乗者たちが降りてきていた。

 

「「「「キラ!?」」」」

 

「みんな……よかった、無事で」

 

金髪の少女と、作業服を着た負傷している女性と、一般人の少年。

どうやら少年は周囲にいた4人の友人だったようだ。

 

「あ~狭かった……すまん、ヒノカミ。来てくれて助かった」

 

「…………」

 

一団から離れて歩み寄るカガリに無言で近づいたヒノカミは。

 

その頭を掴んだ。

 

「へ?あがぁぁぁぁーーーーっ!!

 は、放せ!放し……あががががが……!」

 

そのまま握る力を強めつつ片腕で少女を持ち上げる。

カガリは鬼の腕を何度も叩いて抵抗するがびくともしない。

 

「こンの阿呆がぁ……貴様一人が向かって何ができると思った?

 この一件、貴様以上の地位の者が認可しておったんじゃぞ?

 たとえ貴様が声を上げようと誰も耳を貸すはずもあるまいが!」

 

「いぎぎ……!だ、だが!見て見ぬふりなどできるものか!」

 

「たわけが!行動したことを責めているのではない!

 考えなしに動いたことが愚かだと言っておる!

 多少力を手に入れたくらいで図に乗ったのではあるまいな!?」

 

「あがぁっ!?違う!私がまだ弱いことくらいわかってる!

 だが微力であろうと民に迫る危険を見過ごせるものか!

 民のために立ち上がらず何が施政者だ!」

 

「うぬぼれるな!貴様はまだ候補でしかない!

 未だ殻のついたヒヨコがさえずるでないわぁ!」

 

「いぎゃぁーーーーーっ!!」

 

 

 

「施政者、候補……オーブの、カガリ……!?

 『カガリ・ユラ・アスハ』!?」

 

「じゃああの子、本国のお姫様だったの!?」

 

少年たちはカガリの正体に気付いたようだ。

連合の女士官とザフトの青年兵士も噂の鬼に加え、予想以上の大物の出現に驚き戸惑っている。

 

 

「……名乗ろう。儂はヒノカミ。オーブの食客として招かれておる。

 そして『これ』はカガリ・ユラ・アスハ。

 知っての通り、オーブ代表ウズミ・ナラ・アスハの娘じゃ」

 

鬼は掴んでいた少女をぽいと投げ捨てて、困惑している者たちに向き直る。

二人のやり取りは彼女らの肩書と矛盾していた。

居候が国の姫君に暴行を加えるってどうなんだ。

 

「お主らの名も伺いたい」

 

「……サイ・アーガイルです」

 

「トール・ケーニヒ」

 

「ミリアリア・ハウ」

 

「……カズイ・バスカーク」

 

「キラ・ヤマト……」

 

「……地球連合軍大尉、マリュー・ラミアスです」

 

「ミゲル・アイマンだ」

 

ガンダムには人工知能が搭載されており、パイロットであるヒノカミがおらずとも独自に思考し活動することは連合もザフトも把握している。

そのガンダムが鬼の後ろに控え、彼らを見下ろしているのだ。

マリューとミゲルは互いに敵同士ではあるが、素直に指示に従った。

連合はオーブを巻き込んでおきながら情報を漏洩させ、ザフトはヘリオポリスに攻め入った。

結果が今のこの惨事だ。どちらも鬼に敵視されても仕方のない立場だった。

 

 

 

 

「すまなかった」

 

「「「!?」」」

 

だから鬼が隣のカガリの頭を掴んで無理やり押さえつけると同時に自身も深々と頭を下げたことに、驚きを隠せなかった。

 




カガリはヒノカミに弟子入りして半年くらいは鍛えているので、少なくとも身体能力ならコーディネイター以上のスペックです。
頭脳の方は一歩劣りますが、総合するとコーディネイター以上のナチュラルです。
そのせいもあって彼女の知名度は原作より高く、覚悟も決まっているためキラに無理やり脱出させられたりせず揃って行動。
アスランとも対面しており、彼がキラに気付いて硬直した隙にぶん殴ったりしてます。
酷いファーストコンタクト……と思ったけど原作の方も中々に散々だったな……。
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