『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第5話 VSクルーゼ隊

 

ヘリオポリスを包囲したまま警戒を続けるザフトの戦艦。クルーゼ隊の旗艦『ヴェサリウス』。

搭載していたジンは1機を残して全滅しており、その1機は未だ帰らぬミゲルのもの。

クルーゼが突入して強襲した際に鬼鎧の巨漢の傍に彼の姿を確認している。

どうやらミゲルはガンダムのパイロットであるヒノカミの捕虜になっているらしい。

よってクルーゼ隊の持ち込んだモビルスーツで残っているのは、隊長であるクルーゼのシグー1機のみ。

しかしその携行武装ではガンダムには通用しなかった。

 

オーブは連合のモビルスーツ開発計画に協力していたのだ。

であればオーブに属するガンダムは敵であり、もう一度襲い掛かってくる可能性は高い。そうなると今の戦力では勝ち目が薄い。

かといって未だコロニーにとどまる連合の新型艦を放置することもできず、コロニーの傍で周辺宙域の味方が援軍に来るのを待っていた。

 

だがそれよりも早くガンダムが動き出した。

コロニーから飛び出し、一直線にヴェサリウスへと向かってくる。

 

『イージス・デュエル・バスター・ブリッツ!出撃せよ!』

 

持ち込んだ戦力がないのだから、奪ったばかりの戦力を投入するしかなかった。

不幸中の幸いというか、ジンが全て動けないためメカニック全員を奪った機体の整備に投入することができた。データの吸い出しもすでに終わっている。

これらの機体の奪取を担当した4人のコーディネーターの少年が引き続きパイロットとして出撃する。

 

『フンっ!ガンダムとやらめ、噂通りの化け物か試してやろう!』

 

『コイツならここからでも届くぜ!一撃でやられてくれんなよ!?』

 

『待ってくださいディアッカ!ガンダムの隣に、反応がもう一つあります!』

 

『これは……ミゲルの!?』

 

4機のモビルスーツから少し距離を取ったところで、ガンダムが静止する。

その巨大な腕は、1機のジンを掴んでいた。

 

『……げはっ!なんつぅ加速しやがんだテメェ!

 肺が潰れるかと思った……!』

 

『軟弱じゃのぉ。そんな細っこい体しとるからじゃ。

 もうちっと鍛えろ。筋肉つけぃ』

 

『オレは軍人だぞ!?ちゃんと鍛えてるっつぅの!テメェ本当に人間かよ!?』

 

オープン回線を通じて、ガンダムのパイロットとミゲルの軽快なやり取りが聞こえてくる。

少年たちは仲間が生きていたことを喜ぶが、同時に彼を捕えているガンダムに対する怒りが湧き上がる。

 

『人質のつもりか……ミゲルを放せぇ!!』

 

『ほい』

 

『『『『な!?』』』』

 

『うぉぁっ!?オイコラ投げんな!』

 

応急処置したジンのスラスターは不安定で姿勢制御がうまくいかず、ジンは何度もクルクルと回って何とか4機のモビルスーツの前で停止する。

 

『っとと……すいません、クルーゼ隊長。

 ミゲル・アイマン、生き恥を晒して帰還いたしました』

 

『……どういうつもりかね、ヒノカミとやら』

 

ザフトの戦艦もオープン回線につないだらしく、船で指揮を執っていた隊長のクルーゼの言葉が響く。

 

『詫びのつもりじゃよ、クルーゼとやら。

 今回の一件、明らかに非があるのはオーブじゃからな。

 ……中立だなんだと言っておきながら連合に与していたこと、国に代わって謝罪する。

 先ほどのジンも含めて誰も殺さなんだのは、その誠意の表れと思っていただきたい』

 

そしてまるで人間のような滑らかな動きで、ガンダムが腰を曲げ頭を下げた。

絶好の攻撃のチャンスだが、困惑が勝り4機のモビルスーツは動きを止めている。

 

『しかし身勝手ではあるが、これ以上コロニーを攻撃させるわけにはいかぬ。

 ここにあるのは軍の施設だけではない。無関係な民間人も大勢おるんじゃ。

 ……オーブは中立国。少数ながら、コーディネイターもな』

 

『『『……』』』

 

『現在、連合にはこのコロニーからの退去の準備を進めさせておる。

 数時間の内には出航する予定じゃ。

 この情報が正しいということはミゲルが証言してくれよう』

 

『……間違いないです、隊長』

 

『脱出した連合の船を追うというのなら妨害も何もせぬ。

 このコロニーが攻撃されたことに対する抗議も、損害の追及も、ザフトには一切しない。

 どうかこれで手打ちとしていただきたい』

 

『……断ると言ったら?』

 

『儂とガンダムがお相手しよう』

 

『…………』

 

思考を巡らせるクルーゼが結論を出す前に、イザークの操るデュエルが銃口をガンダムへと向けた。

 

『都合のいいことばかり言いおって!

 連合に与しておきながらそんな言い分が通ると思っているのか!!』

 

『その上から目線も気に入らねぇな。命乞いすんのはそっちだぜ?』

 

『やらせてください、隊長!』

 

続いてディアッカもバスターに砲を構えさせる。

この状況、好戦的な二人に『止まれ』と言ったところですぐには納得すまい。

元々連合のモビルスーツであるが、その性能はジンやシグーよりもはるかに上。

この4人は精神的にまだまだ未熟ではあるが能力は確か。

何より、この未知のモビルスーツ『ガンダム』の確保はザフトとしても最優先事項だ。

 

『……交渉は決裂だ。各機、攻撃開始』

 

『くらえぇっ!!』

『そらぁっ!』

 

クルーゼの宣言と同時にデュエルとバスターの砲口が火を噴いた。

ガンダムは両腕を力なく下ろしたまま、その場から動かない。

そして2機のビーム攻撃が直撃した。

 

『……なんだとぉっ!?』

 

直撃したのに、一切損傷がない。

 

『くっ……このぉっ!!』

 

苛立ちをぶつけるようにデュエルが何度もライフルの引き金を引くが、何度直撃してもガンダムは動じない。

ラミネート装甲かと思ったが、それにしては反応がおかしい。

だとしたら何度も打ち込まれれば表面が融解していくはずであり、何よりビームが弾かれるのではなく飲み込まれるように消えていく。

 

『……今まではまともに攻撃喰らってやることはなかったから、知らんかったじゃろう?

 ガンダムにビーム攻撃は通用しない。

 ビームライフルだろうがビームサーベルだろうが戦艦の主砲だろうが、熱線による攻撃の一切を無効化する』

 

『『『!?』』』

 

『ミサイルによる爆炎も無駄じゃ。

 この機体に傷をつけたいなら大規模な質量兵器でも持ってこい。

 ジンの銃弾ごときでは傷すらつかんからな。

 ……さて、情報と先手は譲ってやった。ここからは……』

 

ガンダムがビームソードとビームクロスを握り、両肩が展開して巨大な腕となる。

 

 

 

 

『蹂躙じゃ』

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

『……クソッ!クソ、クソォッ!!』

『バケモンが……!』

 

ほんの3分。

その短時間で4機のモビルスーツは頭と手足とスラスターを破壊され、先ほどまでのジンと同じように胴体だけで力なく宇宙に漂う。

 

『命は取らん。これを持って今回の件、水に流してもらいたい。

 しかし次に戦場で相まみえることがあれば……容赦はせんぞ』

 

『ひっ……』

 

下半身を巨大な頭部に変形させたガンダムは、背を向けてコロニーへと帰っていく。

 

『『『『…………』』』』

 

『……ミゲル。アスランたちを回収しろ。すぐにプラント本国へ帰還する』

 

『……ハッ』

 

これでクルーゼ隊に残るモビルスーツはシグーとジンが1機ずつ。しかも後者は壊れかけ。

この戦力ではヘリオポリス内にいる連合のモビルスーツと戦艦を追撃するどころか狩られる立場となりかねない。

もう間もなく連合がコロニーを出航するというなら、その前に急いでこの場を離れなければならない。

 

(このまま我々を連合に引き渡すことも容易、しかしそれをせずに見逃す。

 ……こちらに手柄を用意したことも併せての誠意と言うことか)

 

たった今破壊されてしまったので実物は悲惨な有様だが、連合のモビルスーツの奪取は成功しそのデータは入手済み。

おまけに噂のガンダムの情報と貴重な戦闘データも手に入った。

ヘリオポリス襲撃に対する抗議もしないと宣言している。部隊の戦果としては十分だ。

 

(全て奴の掌の上……気に入らんな)

 

クルーゼはいらだつが、しかしもはやできることはなく、モビルスーツの胴体と最低限の残骸を回収してヘリオポリスから離れていく。

 

そして数時間後、連合の新型艦アークエンジェルはヘリオポリスを出航した。

 

 

 

 

「……まぁ、連合もザフトの連中もこれは予想しとらんじゃろうがな」

 

(ーー)

 

ザフトとの戦闘の際、ガンダムは連合のモビルスーツの残骸の一部を回収し取り込んでいた。

そして構造を解析したガンダムは『自己進化』する。

 

「『フェイズシフト装甲』に『ミラージュコロイド』なぁ……連合も面白いことを考える」

 

(ーー!)

 

「今度は質量兵器でもまともに通じんぞ。どうするかなぁ?くけけけけけけ」

 




能力
・自己再生
・自己増殖
・自己進化
・熱エネルギードレイン
・ビーム湾曲
・転移
・フェイズシフト装甲(New!)
・ミラージュコロイドステルス(New!)
武装
・ビームソード
・ビームクロス
・ガンダムヘッド
・火炎放射
・拡散ビーム砲
・デビルフィンガー
・メガデビルフラッシュ
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