『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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ちょっと……いや、かなり酷いオリジナル解釈を入れます。
アスランは例外ですが、彼はこの点でも選りすぐりのエリートとします。


第12話

 

キラと友人たちは、地球軌道上で第8艦隊と合流した際に除隊証明書を受け取っている。

なので地球に降りたところでアークエンジェルから退艦してオーブに向かう予定だった。

アラスカではなくアフリカに降りてしまったが、ガンダムが操る小型艇に乗り込めばザフトの防衛網を強引に突破して帰還できる。

ヒノカミはこの場に残るが、ガンダムに任せれば安心安全だ。

 

しかし『アークエンジェルがアフリカに降りてしまったのは自分のせいだから』と、キラはもうしばらくこの船に残ることにした。

ここからアラスカに向かう過程でオーブ近海を通るので、それまでは引き続きストライクのパイロットを務めると宣言した。

触発されてキラの友人たちもブリッジクルーとして残ると言い出した。

 

であれば、小型艇はもう必要ない。分解し資材としてアークエンジェルに提供した。

そしてガンダムはヒノカミと共にアークエンジェルに移り住んだ。

諸々の事情を説明しヒノカミの脅威を知った彼らがガンダムに手を出すこともないだろう。

彼は格納庫の奥でじっとしている。

実は自分の出番がないことを拗ねており、隣に並ぶアストレイを恨めしそうに見下ろしていた。

 

オーブに辿り着くまでは1か月以上かかるだろう。

これからしばらくの間肩を並べて戦うことになるのだからと、ムウがキラとヒノカミに呼びかけ、パイロット同士の親睦を深めることを提案した。

今一つ性格がつかめないヒノカミについて知りたいと思ったのだろう。断る理由もないと二人は了承した。

パイロット用のロッカールームに飲み物を持って集まり、3人は経歴や趣味といった簡単な自己紹介から初めて会話を進めていったのだが。

 

 

「「なんで猥談になってるんですか!?」」

 

「いやぁ、やっぱり傷つき疲れた男の心身を癒してくれるのは、柔らかな女性の体だと……」

 

随分と長く話しているようだからと気になってやってきたマリューとナタルが聞き耳を立てると、聞くに堪えない単語が飛び交っていたのだ。

即座に二人は扉を開けて怒鳴り込んだ。

キラは顔を赤くして部屋の隅で俯き震えていた。

 

「生命の危機に陥いると、生物は本能的に子孫を残そうとするんじゃ。

 これは医学的に実証された事実じゃぞ?

 そもそも人がスケベじゃなかったら種が滅ぶじゃろーが」

 

「そしてなんで貴女が『男性(そっち)側』の視点で話してるんですか!?」

 

そう、猥談で話を弾ませていたのはムウとヒノカミだった。

 

「いやしかし、真面目で重要な話じゃぞこれは。

 特にコーディネイターにとってはな」

 

「どういうことです?」

 

「今の時代の『美形の男性』と言えば、いわゆる線が細くて中性的なタイプじゃろ?

 そしてコーディネイターはほぼ全員が外見に手を加えておる。

 つまり『男性ホルモン』が少ない男が多いんじゃ。

 だから性欲も少なくなるし、行為の密度も薄い」

 

「!?まさか、コーディネイターの出生率が低い理由って……!?」

 

 

 

「そう……『スケベな男が少ないから』じゃ!!」

 

「嘘だぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」

 

 

 

キラが膝から崩れ落ち天を仰いで絶叫を上げる。

 

「もちろんそれが理由の全てではないが、要因の一つではあるぞ。

 だからキラよ、もっとスケベになれ」

 

「そうだぞ坊主。姐さんの言う通りだ」

 

「嫌だぁぁぁーーーーーっ!!」

 

いつの間にかムウとヒノカミの間には妙な上下関係が出来上がっていたようだ。

軽薄で飄々としているムウはこの部隊のムードメーカーだったが、ヒノカミはトラブルメーカー。

悪い意味で彼の上位互換だった。そりゃ話に花が咲くだろう。

ラフレシアのような腐臭を放つ毒々しい花が。

 

「以前この説の証拠をそろえて論文にして提出したんじゃが、猛反発されたんで取り下げたんじゃよなぁ」

 

「やだねぇ、お高く止まっちゃってさ。

 人間だって元を辿ればお猿さんじゃないの」

 

「全くじゃ。この世界のありとあらゆる生物は、おしべとめしべがくっついた結果だというのに」

 

「あ、もしかしてコーディネイターって意図的に性欲薄められてんじゃない?

 『フケツだー』とか言っちゃってさ」

 

「有り得るな……そっち方面も調べて論文書き直すか」

 

 

 

「「セクハラです!!」」

 

 

 

耐え兼ねて怒鳴り声をあげるマリューとナタル。

流石に彼女たちが立ち去る前に再開したのはまずかったかと謝罪しようとする。

 

 

「……続きは後で。ザフトじゃ」

 

「「「!?」」」

 

「バクゥが3機、威力偵察じゃろうな。

 敵の戦力を体感するには丁度いい。出るぞ、二人とも」

 

「おぅ」

「はい!」

 

「お主らもブリッジに戻れ。もう数分もすればこの船の警戒網にも引っかかる」

 

「えっ、えぇっ?」

 

キラとムウは最初からパイロットスーツだった。

ヒノカミはいつもの赤い着物だが彼女自身が化け物なのでスーツに着替える必要なし。

3人はすぐに部屋を飛び出しそれぞれの機体へと走る。

置いていかれたマリューとナタルは半信半疑でブリッジに向かうが、その途中で艦内放送にて敵襲が告げられ足を速める。

そして二人がそれぞれの席に座った頃には、すでに2機のモビルスーツと1機の戦闘機が船を飛び出していた。

 

アークエンジェルよりも優れたセンサーを持ち、人の敵意や殺意といったものまで感知できるのがガンダムだ。奇襲を受けることはありえない。

それにヒノカミたちも猥談だけで盛り上がっていたわけではない。

この地域のザフトの勢力や所有するモビルスーツといったヒノカミが知る限りの情報を共有し、戦闘時のフォーメーションも決めていた。

 

砂漠地帯は通常のモビルスーツでは歩行すら難しく、ビームの拡散率や減衰率が高いため並のビーム兵器では射程と精度と威力に期待できない。

加えてエールストライカーは大気圏突入時に破棄してしまった。予備機はあるがまだ組み立てと調整が終わっていない。

よってストライクはランチャー装備でアークエンジェルの上から援護射撃。

大型砲のアグニでは直撃させると確実に敵機を爆散させてしまうので、牽制とミサイルの迎撃が主な役目だ。

『スカイグラスパー』というムウの新しい機体は元々ストライクとの連携運用が前提なので、彼にはストライクのサポートを担当してもらう。

そして切り込み隊長がヒノカミの戦国アストレイ。

既に機体を砂漠用にアジャストしており、主武装が刀とサブアームなので戦い方を変える必要がない。

それにビームが効かないのだからアークエンジェルやストライクの砲撃で巻き添えを喰らう心配もない。

むしろ遠方からのエネルギー供給扱いだ。

 

3機はガンダムから送られてくる情報を元に連携し、同数のバクゥをあっさりと撃退。傷一つ追うことなく帰還した。

ヒノカミから『ザフトに捕捉された以上は場所を変えた方がいい』と促され、アークエンジェルもまたガンダムからの情報を利用してザフトがいない方角へと舵を切った。

 




カガリがすでに乗船していること。
砂漠の虎の情報は地球に詳しいヒノカミがすでに持っていること。
単純に戦力が十分であること。
以上より、レジスタンスと協力する理由はありません。単独で乗り切ります。
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