投稿後、この作品のタイトル・原作・タグの編集を行います。
この話の直前に設定紹介を投稿しておりますので、よろしければこちらを読んだ後にでもぜひ。
第1話 再誕
少年には双子の姉がいた。
『似ていない』とはよく言われた。彼の髪の色は母譲りだが、姉の色は父譲りの黒。
性格もまるで違う。変な口調で話すし、父と一緒になるとうざったいノリで盛り上がるし。
ある程度成長すると、いわゆる『出来』というやつも大きく違うのだと理解した。
少年だって勉強も運動もできる方だが、姉はその遥か上をいく。
学校では先生から教わる側でなくクラスメイトを教える側に回っていたし、自分が通っている空手の道場で勝てずにいた同年代の少女を苦も無く倒した姿を見て喧嘩でも勝てないと痛感した。
嫉妬しなかったと言えば嘘になる。
だがそれ以上に、自慢の姉だったとは思う。
優秀なことを笠に着て威張り散らすようなことはなかったし、むしろ乞われれば知識も技術も親身になって教えた。
真面目で堅苦しいわけでもなく、男子たちに混ざって教師にイタズラを仕掛けたり。
しかし彼らが度を過ぎれば憤怒の形相で叱りつけ説教をする。
口調のせいもあって姉というより……祖父か祖母がいたらこんな感じなのかと考えたこともあった。
それくらい敬愛している人だった。
少年の名は『黒崎 一護』。
そして彼の姉の名は、『黒崎
生まれ変わった六道リンネ、黒崎隣互となった彼女は、転生から暫くは困惑するばかりだった。
一度目と二度目の経験から、転生するなら死んでから数年後だと考えていたのだ。
しかし三度目の転生から目覚めればそこは西暦2000年頃。彼女が生きていた頃より何百年も過去の時代だった。
人々に個性という超常が現れるよりもはるかに昔。歴史でしか知らない世界。
AFOすら影も形もないだろう。
(元の時代まで生き延びるなんて無理じゃし……死んだらまた時代がずれるんか?)
彼女の体には個性が残っていたから、長生きはできるかは怪しい。
例え100歳まで生きたとしても全然足りないが。
OMTが『個性すら引き継ぐ個性』と判明した以上、おそらく何度でも転生は行われるだろう。
しかし生まれ変わったらまた別の時代になるかもしれない。転生する度に過去に飛ばされるとしたら最悪だ。
だが足掻いたところでどうにかなる話ではない。
今の自分にできるのは、少しでも長く生きられるよう努力するくらいだ。
(実家が病院なのはありがたいな……)
彼女はこの機会に医術を学ぶことにした。遥か昔の時代の医術だが、寿命を延ばすためには覚えておいた方がいいだろう。
医者である父『黒崎一心』は前世の兄である轟炎司とは別ベクトルの親馬鹿で、明らかに実年齢以上の精神を持つ隣互を訝しむことなく溺愛し、医術を学びたいと言えば貴重な時間を割いて教えてくれる。
弟や妹たちは父のお茶らけた性格を鬱陶しく感じているようだが、立派な人だと尊敬している。だからこそ騙しているようで申し訳ないが。
(問題は……こっちじゃよなぁ……)
ある意味では過去の時代に生まれ変わったこと以上に隣互を驚愕させた事実。
彼女は『幽霊が見える』ようになっていたのだ。
最初は自分の頭がおかしく……いやおかしいのは元からなので、更におかしくなったのかと狼狽したものだ。
しかし双子の弟と、後に妹も同様に霊が見えていたことが発覚。
自分が気づいていなかっただけで、未来の時代にも幽霊がいたのだろうか。
当時の自分にも霊感とやらがあれば失った家族、万縄先輩や後輩の奈々と話すことができたのだろうかと思いを馳せた。
しかし霊が見えるようになったのは良いことばかりではなかった。
死んだ人間の霊だけではなく、白い仮面をつけた化け物の霊も見えるようになっていたのだ。
奴らは他の霊を喰らい、時に生きている人間も襲う。
特に霊感が強い人間は格好の獲物らしく、わずかにでも気づいた素振りをしてしまうと襲い掛かってくる。
霊が見えるだけで霊と戦う術を持たない隣互が今日まで生き延びることができたのは、常に隣にいてくれる母『黒崎真咲』の存在。
(一護らは気付いておらぬが……本当に何者じゃ?まさか個性ではあるまいし……)
化け物が襲ってきた瞬間に母はどこからか光る弓を取り出し、矢を放って化け物を返り討ちにする。
そして何食わぬ顔で隣互たちに接するのだ。
触れてほしくない様子だったので今までは敢えて気づかぬふりをしていたが、隣互が9歳になった時に考えを改めた。
化け物が自分を襲う頻度が、あまりに多すぎるからだ。
霊感があるのは一護も同様であるはずが、なぜか優先的に狙われるのは隣互の方。
演技力には自信があったのだが、全く見えていないふりをしていても襲い掛かってくることがある。
常に母に守られているわけにもいかないのだ。何より子とはいずれ親から巣立つもの。
化け物の正体が何なのか、自分も戦う力を得るためにはどうすればいいのか。
弟妹達が寝静まったある日の夜、母の元を訪ねて問いかけた。
その場には霊感がないはずの父も同席していた。
「そう……やっぱり隣互には気付かれてたのね」
「年を重ねるごとに、母上と離れる機会も増えました。
このままでは儂だけでなく、一護や友人たちまでも危険に晒すかもしれませぬ。
隠したいことと理解はしておりますが……どうか明かしてはくださらぬか?」
「いずれ伝えなきゃとはわかっていたのだけど……ごめんね?
もう少しだけ親らしいことをしたいと思っちゃって……隣互ったら手がかからないんだもの」
そう言ってはにかむ母はすぐに居住まいを正し、真剣な表情で隣互を見つめる。
「あなたの言う仮面の化け物の名は『虚』。
人間の霊が変質した、いわゆる『悪霊』。
そして私は虚を狩る霊能者…『
第2章『死神の世界』編、開始します。
今まで以上に駆け足になり、設定の矛盾や推敲の甘さも目立つようになるとは思いますが、どうかお付き合いください。