『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第18話

 

麻帆良学園女子中等部の修学旅行が終わり、我らが3-Aの教師ネギと姦しい生徒たちも麻帆良に戻ってきた。

そして日曜日。ネギとカモと小太郎とリンネ、そして魔法関係者になった生徒たちがエヴァの別荘に集まっていた。

3-Aの生徒の参加者は、出席番号順に。

 

 3番 朝倉和美

 4番 綾瀬夕映

 8番 神楽坂明日菜

10番 絡繰茶々丸

13番 近衛木乃香

14番 早乙女ハルナ

15番 桜咲刹那

21番 那波千鶴

25番 長谷川千雨

26番 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

27番 宮崎のどか

28番 村上夏美

29番 雪広あやか

 

以上13名。クラスの4割という大人数だ。

集まるだけならリンネの家でも十分な広さがあるのだがあそこは3-Aの生徒たち全員のたまり場になりつつある。

未だに魔法を知らない生徒たちが訪ねてくる可能性が高いので魔法関係の話をするには不安があった。

 

そしてこれだけの面子が修学旅行にて魔法関係者となったわけだが、刹那とエヴァが言うにはまだクラスメイトには裏の人間が何人もいると言う。

魔法生徒及び魔法使い関係者、自力で魔法を見つけた者、魔法使いとは無関係だが裏社会に関わりがある者。

彼女らを考慮すれば、むしろ3-Aにおいては魔法を知らない一般人の方がマイノリティというとんでもない状況だ。

その事実を聞かされた千雨は、この別荘というトンデモ空間に連れてこられた直後に続き二度目の怒号を上げた。

 

そしてその千雨を除く全員がネギと共に歩み強くなると決めた。

ネギの事情を知り、魔法の恐ろしさを知り、その上で決意したというのならリンネが口出しをする資格はない。

詠春から頼まれたエヴァが魔法の教師を務めるのならば、修行は辛いだろうが折れない限りは大成するだろう。

ちなみに現実主義者の千雨はそこまでして関わる理由も覚悟もないが、ネギやクラスメイト達が面倒を起こせば巻き込まれてしまうので、事情を知るだけの相談役に収まるそうだ。

 

そしてまず手始めに、彼女たちの潜在能力を引き出すためにもネギと仮契約をすることになった。

その方法がキスと聞いて尻込み……する者は少数でそれどころか鼻息を荒くする者がいたくらいだが、問題があった。

人数が多すぎるのだ。千雨と刹那と茶々丸とエヴァを除いても9人。

今の未熟なネギでは彼女ら全員に力を割くとネギ自身が使える力が無くなってしまう。

 

よって何人かはネギとの仮契約を断念せねばならないがそれでは彼女らの修行の効率が落ちる。

そこでネギの代役として名前が挙がったのが小太郎だった。

彼自身は西洋魔術師ではないが、仮契約は別に西洋魔術師だけの特権ではない。

主人の側にある程度の力、そしてカモの補助があれば難なく契約できる。

魔力ではなく主に気を扱うがネギとも渡り合える実力者である彼なら申し分なく、ライバルと認めたネギが大勢の従者を背負うと言うのなら自分も数人くらい、と説得を受け入れたようだ。

そして小太郎の従者となったのが夏美と千鶴である。

小太郎は彼女たちの部屋で暮らすことになるので傍にいる者の方が都合がよいからだ。

……少女たちにとってはそれだけが理由ではないがあえて語るのも無粋であろう。

尚、同室なのは委員長もだが彼女がネギと合法的にキスをする機会を逃すはずがないことをここに記しておく。

 

そして彼女らの修行に、リンネも駆り出されることになった。

人数が多すぎるので魔法使いモドキの手でも借りたいのだそうだ。

ネギの従者のためであればネギの保護者である彼女が力を尽くすのは当然のこと。

彼女の中身はナギなので魔法はほとんど覚えていないが、内に沈むヒノカミと深く同期すれば彼女の知恵と知識と技術の一部を借り受けることができる。

また、ヒノカミは自分自身の固有能力の方が多彩で便利なので使う理由がないが、実はネギの教本を丸暗記して初歩の魔法は一通り習得済みだったりする。

結果『魔法はあまり使えないのに初心者に教えるのは妙に上手い』という歪な教師が出来上がるわけだ。

 

少女たちが何も知らぬままのクラスメイト達に隠しながら放課後エヴァの別荘に集合し、修行を始めること1週間。

エヴァの別荘は魔力が満ちた異空間であることを考慮しても、この短期間でほぼ全員が最初の魔法『火よ灯れ』の発動に成功するという目覚ましい成長を遂げた。

本来ならここから基礎的な魔法を習得していくものだが、彼女たちは魔法障壁と自己強化を優先することになっている。

争いごとに巻き込まれる可能性が高いのだから、戦闘において必須と言えるこれらの技能を真っ先に学ばねばならない。

それから各々が手に入れたアーティファクトの習熟に移る予定だ。

 

そして生徒たちに魔法を教える際のリンネの振る舞いを、エヴァは注意深く観察していた。

詠春が感じたといううまく言い表せない違和感と既視感。

彼の直感を信じたエヴァは本格的にリンネの正体を暴こうと動き出した。

もしここでまたナギの同期がズレていれば魔力の波長などから気付かれるかもしれないが、修行中の彼はヒノカミと深く同期していたため今のところは隠し通すことができていた。

 

 

 

「では、儂は先に戻る」

 

「「「お疲れ様でーーす!」」」

 

エヴァの別荘は規模こそまったく違うが、ドラゴンボールの世界の精神と時の部屋に似た構造になっていた。

中で24時間過ごしても外では1時間しか経過していない。

なので彼らはその分だけ年を取っているのだが、若さを理由にダラダラと居座っており、今日にいたっては明日が休日だから一晩中ここで過ごすつもりだそうだ。

急いで強くならねばならない理由があるとはいえ女としては致命的なはず。

ほどほどにしておけと忠告しリンネは先に退出する。

 

 

 

 

「こんばんわネ、六道サン」

 

雨の降る夜。

一人帰路につくリンネの前に一人の女生徒が立っている。

それはネギの生徒の一人であり、他の生徒たちと共にリンネの家に来た時もずっとこちらを警戒していた謎の少女。

 

「いや、『ヒノカミ』さんとお呼びした方がよろしいカ?」

 

「っ!?」

 

この世界ではまだその名は名乗っていないはずだ。

知っているのは当人……ヒノカミとナギだけのはず。

 

「お話したいことがあるヨ。お時間よろしいかナ?」

 

「……よかろう。儂の家でよいか?」

 

「お邪魔するネ♪」

 

 

出席番号19番 超鈴音

 

麻帆良学園女子中等部一の才女であり、どこか危険な雰囲気を纏う正体不明の中国人。

そして魔法生徒でないながらもおそらく独力で魔法の存在に辿り着いている彼女が、ついに動いた。

 




ヘルマン伯爵は本作では出番なしとなります。
なので次のイベントは学園祭ですが、その前に本作独自の展開に移ります。
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