『何故魔法バレが超の願いに繋がるのか』を検討した結果、作者が考えた流れが以下となります。
魔法使いだけではない。
妖怪や魔族、傭兵や忍び、裏社会の存在の悉くが地球人たちに追い立てられた。
平時なら彼らが逃げ込む避難場所になるはずの魔法世界は混乱の極みにあり崩壊寸前。
彼らは各々で息をひそめて潜伏するしかなく、しかし共通の敵を前に団結した人類の物量の前に押しつぶされていった。
追いつめられた者たちが『黙って殺されてたまるものか』と反撃すると、人類は『やはり魔法使いは悪だ』と再認識してより苛烈に弾圧し……負の悪循環により多くの悲劇が生まれた。
やがて地球から魔法使いたちと魔法は淘汰され、人類は科学により発展した。
それから更に時間は流れ、地球人類はついに火星への有人飛行を成し遂げた。
そして火星に住まう、魔法世界崩壊後に取り残された魔法使いたちの生き残りを見つけた。
滅ぼしたはずの地球の敵が、まだ生きていたと知った。
その結果引き起こされたのが、地球人と火星人による『種を滅ぼし合う全面戦争』だ。
「当時の火星はようやくテラフォーミングを成し遂げ仮初の安定を手に入れたばかり。
総人口も一千万に満たず……とにかく人員が足りなかた。
戦力差は絶望的。もはや戦争ではなく蹂躙、あるいは駆除ヨ。
滅亡の危機に瀕しては倫理や道徳に拘る余裕もなかたネ。
過去の優秀な魔法使いの細胞を用いたクローン兵士を大量生産して凌ごうなどと考える始末だたヨ。
……私のような失敗作が生まれるような杜撰な代物だがネ」
「「「っ!?」」」
「木乃香サンや刹那サンがベースのクローンもいたネ。
その中でも一番多かたのは私と同じ、『魔法世界最期の英雄』と呼ばれた『ネギ・スプリングフィールド』の細胞を用いた個体だたヨ」
「超さんが、僕の……クローン!?」
「ウチとせっちゃんのも……!?」
「製造過程で色々手が加えられてるから、生物学的には子孫が近いヨ」
「つまり兄貴は……いや、兄貴や木乃香嬢ちゃんたちは、魔法世界の崩壊に巻き込まれて火星に置き去りにされるのか!?」
「オカルトが、SFに……!
頭痛くなってきやがった……!」
「ナハハ、脱線したネ。話を戻すヨ。
戦争はまもなく火星の敗北で終わタ。
色々と足掻いてみたが最初から勝ち目なんてなかたヨ。
だが投降すら許されず、捕らえられた者は全て処刑されるとなれば足掻くしかなかたネ。
生き残りは虱潰しに殺処分され、私を含めもはや数えるほどしか残ていない。
きっと火星人の滅亡は、魔法世界が崩壊した時に決まていた、どうしようもない運命だたヨ。
……だがほんの少し違う歴史をたどっていれば、『魔法使い』という存在だけなら存続できる可能性があったのではと、私は考えた。
そして地球の進んだ科学も学んだ私は魔法技術と組み合わせてタイムマシンを開発し、死にゆく仲間たちから託された魔力を使い、過去へと飛んだ。
世界樹の活性化を目前に控え、インターネットが普及し、魔法世界崩壊が周知される前の時代に」
「っ!?そういうことか!
魔法世界からの侵略が始まる前に魔法使いの存在を明るみにすりゃあ……!」
「正解ヨ、カモクン。
『魔法使いが悪と認識される前に魔法の存在を先んじて広め、強引に地球人類と交流を持たせ相互理解を進めれば、魔法使い全てを根絶やしにするような全面戦争だけは回避できるのではないか』。
『実利を求めて、滅びゆく魔法世界からの難民を受け入れてくれるのではないか』。
そう結論付けた私は、全世界に魔法を公開する計画を立て、実行しようとしたネ」
「君は世界中を巻き込む騒動を引き起こしてでも、魔法使いたちが生き残る道を模索していたのか……!?」
「この世界の12か所の聖地の内からここ麻帆良を選んだのも、その目的に沿っていたからヨ。
この街に暮らす魔法使いは誰も彼もトンデモナイお人好しネ。
アナタ方なら地球人類と魔法使いたちの友好の架け橋になてくれると信じたヨ。
……異常気象で世界樹の発光が1年早また時は焦ったけどネ。
それがなければもっと慎重かつ穏当に計画を進められるはずだたのダガ」
『魔法使いと言う少数民族の滅亡の回避』。それが超の目的だった。
弱者や時代に適応できない種が滅びるのは自然の摂理。
今のこの時代、この世界でも至る所で起きている、ありふれた悲劇だ。
だが今この場にいる者たちこそがやがて滅びる当事者だった。
『どうして最初から言ってくれなかったのだ』と叫ぼうとした誰かは、すぐに口を閉じた。
超が己の力を示し、魔法具まで使って覚悟を示さねば、自分たちは聞く耳など持たなかっただろう。
「……では何故、其方らは寸前で掌を返した?」
「「「学園長!」」」
成り行きを若者たちに任せ陰から見守っていた学園長も、超の言葉が事実ならば流石に看過できぬと姿を現した。
「……先程言た通り、事情が変わたからヨ。
魔法をバラした方がいいという考えは変わらぬガ、慌てる必要はなくなた。
そしてその事情こそが、麻帆良の魔法使いたちに協力を要請する理由でもある」
「ここからは儂が説明しよう」
そう言ってリンネが再び前に出る。
「この時代で儂と出会い儂の実力を知った超は、儂に事情を説明し計画への協力を呼びかけた。
そこで前提がひっくり返ったんじゃよ」
「前提が……?」
「儂の力を以てすれば『魔法世界の崩壊そのものを防ぐことが可能』だからじゃ」
「「「「「……なにぃぃぃぃいい!?!?!?」」」」」
「……ホント、決意も覚悟も台無しにされてしまたヨ。
私がこの人に手を貸してほしいと頼んだら『その後で自分にも手を貸せ』言うてきたネ。
応じた結果がこれだたヨ。私の計画の意味なくなてしもたネ」
麻帆良の魔法使いたちも、すでに超の語る未来が作り話だとは思っていなかった。
この場には魔法世界出身者もいる。故郷の滅亡が目前に迫っていると聞かされ青ざめていた。
なのにいきなり『全部どうにかなります』なんて言われてしまえば感情の落差を制御できるはずもない。
だがなるほど、確かに前提がひっくり返る。
避けられないと思っていた魔法世界の崩壊そのものが避けられるのであれば、一刻も早く強引に交流させる必要はない。
最悪の会合になる前に魔法の存在を明るみにした方がいいという考えに変わりはないが、全世界への強制認識改変魔法なんて乱暴な手段に訴える理由がない。
「ほ、本当に魔法世界を救うことができるのかい!?
僕やクルトやナギが、ずっと手がかりを探し続けても見つからなかったのに!」
「……あぁ、なるほど。
京都のナギさんのアトリエに宇宙関連の書籍が多かったのは、魔法世界が火星にあったからなのね。納得したわ」
「呑気に呟いとる場合やないでちづ姉!」
「それは一体、どのような方法なのじゃ!?」
「おっと。協力を約束してもらえぬ内は、明かせるのはここまでじゃ。
ちと荒っぽいし、メガロの連中に知られたら妨害される可能性もあるでな」
「私とリンネさんだけでも計画は実行できるが、騒動が大きくなるネ。
だがアナタ方の協力があれば計画をスムーズに実行できるだけでなく、その後の二次被害も最小限にできるはずヨ」
「あ、エヴァには後で全部教える。お主はフリーじゃからの」
「ククク、無理矢理聞き出す手間が省けたか」
「エヴァちゃんズルイ!」
「ここでお預けなんて……殺生やわぁ〜」
「げらげらげら……ただし計画実行にはまだいくつかの準備がいる。
本格的に動くのは来年の3月、超が中学を卒業してからを予定しておる。
それまでに返答をもらいたい。麻帆良が儂らと手を組むか否かのな」
「む、むぅ……」
「我等は引き続き麻帆良に滞在し計画の準備を進めるつもりネ。
計画を実行に移すまでは余計な騒動は起こさぬし、そちらから手出しされぬ限りは敵対もしない。
この場で改めて誓おう」
超の持つ魔法具が再び光った。
今の言葉も誓約として認識されたようだ。
結果的に魔法の秘匿は守られた。
だが麻帆良学園の魔法使いたちは、超とリンネたちに完膚なきまでに敗北したのだ。
受け入れられぬと武力行使に踏み切っても焼き直しになるだけ。
何より彼女らの言葉が事実なら、その手を振り払えば滅びるのは自分たちだ。
「……わかった。期限までに必ず返答する。
それまでは互いに不可侵とし、今回の件も不問としよう」
「英断、感謝する」
学園長の決定に、魔法使いたちは誰も異論を唱えなかった。
だが彼らの大半は苦虫を噛み潰したような顔で疲れ切っていた。
原因は先ほどまでの決戦のせいだけではないだろう。
「やれやれ、なんとかまとまったか」
そして一団の様子を、未だに遥か上空に浮かぶ飛行船の上に佇む女神が観察していた。
「んじゃここからが……儂の勝負じゃな」
本作における超の世界の過去に、超はいません。
現時点ではその影響が僅かであり時間経過ですぐに差異が埋まるレベルなので、平行世界が完全に分岐していない状況としています。ですが時間が経過すると大きなズレになっていくはず。
まず超がいないと、茶々丸が生まれません。
エヴァの行動が変化することになり、学園に来てからのネギの行動にも大きな影響を与えるはずです。
であれば、『完全なる世界』が『アスナ姫』を見つける前に魔法世界が崩壊してしまう可能性もあると考えました。
本作における超の世界の歴史は上記のルートを採用しています。