犠牲者がほぼいないので一護も石田に対する態度がマイルドになっています。
滅却師は虚を浄化するのではなく消滅させてしまう。
それを続けていると現世側の霊の数が少なくなり、あの世とのバランスが崩れてしまう。
世界の崩壊一歩手前まで行った200年前、死神は滅却師を滅ぼした。
石田はそれをおとぎ話程度にしか思っていない。理由だって納得していた。
しかし許せないのは、滅却師としての師である祖父を死神が見殺しにしたこと。
祖父は優しい人だった。
現世に常駐できない死神では虚への対処が遅れるから、人々を守るために協力できないかと何度も死神に訴えた。
しかし死神は滅却師である祖父を監視するだけで、祖父の言葉に一切耳を傾けなかった。
そしてある日強力な虚が一斉に襲い掛かり、祖父は死神の援護なく一人で戦い、石田の目の前で死んだ。
死神たちが到着したのは祖父が戦いを始めてから2時間、死んでから1時間経った後だった。
「結局最後まで
もし死神達が師匠を認めていたならもっと早く助けに来ていただろう……師匠は死なずに済んだだろう。
だから僕は死神の前で、滅却師の力を証明しなければならないんだ!」
「……話が長げぇ……長すぎて最初の方忘れちまったけどよ」
「なっ!?お前が話せって言ったんだろう!!」
「要するにオメーのセンセイの一番の望みってのは、『死神に滅却師の力を認めさせる』ことじゃなくて、『死神と力合わせて戦う』ことだったんじゃねぇのか?」
「!?」
「俺は元々人間だ。死神のことも良く知らねぇし誇りを持ってるわけでもねぇ。
ただ大切な誰かがいなくなるのはつれぇから、みんなを護るために虚を倒したいだけだ」
昔の自分が弱かったせいで、姉を一人にさせてしまった。
だから仮初でも力を手に入れたことで、強くなれれば彼女が帰ってきてくれるのではと期待した。
……結局、突然戻って来た彼女は力を手に入れた自分よりも更に高みにいたが。
「てめーがどんな理由で俺に勝負を持ちかけたはわかったが、それは誰かの大切な人を奪うやり方だ。
俺はてめーを許さねぇ。
全部終わったらぶん殴らせろ。……それで水に流してやらぁ」
「フン……一方的に殴らせてやるつもりはないよ」
「話は終わったか?」
「「うおぉっ!?」」
いつの間にか隣互が彼らの傍にいた。気付けば周囲に虚の姿はなく、戦闘音も止んでいる。
「まさか……本当にあの数を倒したというのか……!?」
「倒したと言えば倒したんじゃが……」
「なんだよ、歯切れ悪ぃな」
突如、何かが割れるような音が響いた。
二人が隣互につられて上空を見ると、空のひび割れが孔となり、中からとてつもなく巨大な虚が顔を覗かせていた。
「まさか……『
あんなもの、とても一死神が戦える相手では……!」
「どうやら和解したようじゃし、折角じゃから主らであれと戦ってみんか?」
「「はぁっ!?」」
「もとはと言えば主らが始めた喧嘩であろう。
最後くらいは自分たちで締めてこい。ケツ持ちはしてやる」
一護でもわかる恐ろしい霊圧。アレと戦うよりは先ほどまでの大量の虚相手の方がまだマシだと思える。
しかし彼女の最後の発言に気付いたコンが一言。
「……つまり姉貴さんは、アレ倒す自信があるってことですかい……?」
「まぁなー」
「……上等だオラァ!!」
「おい待て黒崎!!」
強くなったつもりが姉に置いていかれて、負けていられないと一護が走り出す。
止むを得ず石田も後に続く。
彼らが立ち去った後に残されたのは隣互と朽木とコンの3人。
「……貴様は一体何者だ」
「黒崎隣互。一護の双子の姉じゃ。一護から聞いておらんか?」
「いや姉がいるとは聞いてはいたが……そうではなく!!
貴様は人間だろう!なぜ斬魄刀を持っている!!」
「あー……理由はよくわかっておらんのだが、以前虚と戦ったときに出てきた。ポロっとな」
「えぇい、はぐらかすな!私が聞きたいのはだな!」
「姉さん落ち着いてぇ」
「かっかっか」
どうやらこの朽木ルキアという死神、精神的にはかなり若いらしい。
実年齢は隣互よりも上かもしれないが、老獪さでは彼女に敵わなかった。
適当にあしらわれるうちに時間が過ぎ、すさまじい霊圧が放たれたかと思えば大虚の絶叫が響いた。
「……お?終わったかの?」
「一護……メノスを、両断したというのか……!」
足元から頭頂部まで切り裂かれた大虚は空間を掴み、現世から立ち去って行った。
「む、いかん」
「!待て!!」
突如一護たちの方へ走り出した隣互を朽木とコンが追う。
戦場となった広場へたどり着くと、膨大な霊圧が空間を歪めていた。
窮地を前に一護の霊力が解放され、暴走しているらしい。
このままでは霊体が形を保てなくなるかもしれない。
それを食い止めるためだろう。石田が周囲の霊力で矢を作って上空へと撃ち出し、場の霊力を安定させようとしていた。
「こっちはあまり得意ではないんじゃが……ケツ持ちはしてやると約束したからな」
朽木が尻込みするほどの霊圧を意にも介さず隣互は一護たちの傍へと歩みより、腕を構える。
右腕を上に向け、左腕を引き絞る。
「何っ!!」
彼女が生み出したのは石田の物とよく似た弓矢……滅却師の霊子兵装だった。
彼女は周辺の余剰霊力のほぼすべてを収束して天高くそびえ立つ塔のような巨大な矢を作り出し、空へと放った。
空間が安定したことで一護の暴走も治まった。
弓矢を解除した彼女の手元にあったのは、石田の物とどこか似ている滅却師十字。
「馬鹿な……なぜ死神が滅却師の力を……!!」
「儂ゃ別に死神を自称した覚えはないぞ」
一護、石田、朽木、コン。
呆ける一同を前に改めて名乗る。
「我が名は黒崎隣互。
斬魄刀と霊子兵装を持つだけの……ただの人間じゃよ」
滅却師の技を教えたのは真咲さんです。
一心と真咲さんはちょくちょく浦原商店に顔を出していました。
早く強さを手に入れたい主人公は滅却師の力にも手を出しました。
個性『OMT』について補足説明。
この個性は特殊能力の類も『力』として引き継ぎます。
借り物だろうと何だろうと一度手に入れた力や才能は維持されます。使えるようになるか、使いこなせるかは本人の努力次第ですが。
ただしデメリットもあり、『欠点がある能力』を習得してしまった場合、その欠点も引き継ぎ続けます。
例えばワンピースの世界で悪魔の実を食べたら永遠に泳げなくなります。
鬼滅の刃の世界で鬼にされたら最悪です。生まれ変わっても日の光を浴びた瞬間に消滅するようになる。
無論、この作品ではそこまで酷い事態にする予定はありませんが……。