『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第48話 『ナギ・スプリングフィールド杯』

 

かつての大戦にて決戦の地だったオスティアでは残された浮島で終戦記念式典が毎年行われており、同時に大規模な祭りを開催している。

魔法世界最大のイベントと言っても過言ではない。例年大盛況だが今年は終戦20周年という節目であり、いつも以上の盛り上がりになると予想されていた。

 

そして祭りの中で行われるイベントの一つが、大戦を終わらせた英雄の名を冠する拳闘大会『ナギ・スプリングフィールド杯』。

そこに英雄の実の息子が参戦するという情報は瞬く間に魔法世界中に広まった。

元紅き翼の一人でありオスティア総督府元老院議員でもあるクルトの推薦であり、彼が全面的なバックアップをしているとなれば信憑性は高く、魔法世界中の住民たちが大会に注目した。

 

いわば予選にあたる拳闘大会は各地で開かれているが、オスティアでも同様の大会はある。

そこに現れた英雄の息子はわずか10才の少年。

ナギが生きていれば現在35才。

であればその息子としては妥当な年齢なのだが、あまりの幼さに彼の姿を見た観客たちはわずかに落胆する。

ナギが活躍し始めた時でさえ14才だったのだから無理もあるまい。

おまけにネギの相方もまた子供だったのだからなおのこと。

 

大会は二人一組のタッグ戦である。

従者の戦士と魔法使いの主人、前衛後衛のコンビが魔法世界ではオーソドックスでありこのスタイルだからこその強者も多数。

ネギの参加は決まっていたが、彼の相方を誰が務めるかは揉めに揉めた。

 

まずタカミチは不可。

戦闘能力で言えば最良だが彼自身の知名度が高すぎる。

この大会では『六道リンネの弟子であるネギ』が活躍することが必須条件だ。

 

続いてアスナも不可。

彼女はウェスペルタティア王族の生き残りにして『黄昏の姫御子』。

メガロメセンブリアも完全なる世界の連中も彼女の身柄を狙っている。

記憶を取り戻した彼女の実力はタカミチにも迫るほどであり、魔法無効化能力もあってこの上なく頼れる戦士なのだがやむを得ない。

 

そして麻帆良学園女子中等部の内、魔法を知ったばかりの面々も除外。

彼女らも中々の実力者になっているがやはり実戦経験が不足している。

古と楓は魔法を知ったのが先日のまほら武道会なので、委員長たちとは逆に実戦経験は十分でも魔法に対する理解が浅すぎる。

 

すると残るのは小太郎と刹那のみ。

ここに茶々丸や龍宮がいれば彼女らも候補に挙がっていただろうが、残念ながら魔法世界には来ていない。

結果、ネギとの相性と連携を考慮して小太郎とコンビを組むことになった。

年の近い少年同士、ライバル関係であり常々競い合っている二人は互いの手の内を把握しているので合わせやすい。

それに今の刹那は木乃香の従者だ。仮契約も先日済ませている。

 

初陣の対戦相手は名のある強者。対するは二人の幼子。

結果は火を見るよりも明らかと思われた。

 

だが試合が始まると人々はすぐに掌を返すことになった。

少年ネギは相方に活躍させる暇すら与えず傷一つ負うことなく勝利した。

そして次の試合では相方の小太郎が一人で対戦相手二人を撃破した。

以降も二人は連日試合を組み全戦全勝。英雄の血筋は本物だと魔法世界に知らしめた。

今年の大会は最高に盛り上がるに違いないと魔法世界中を熱狂させた。

 

しかしまもなく世界に影を落とす事件が発生する。

テロ行為により旧世界……地球へとつながる世界11か所のゲートポートが全て破壊されてしまったのだ。

実行犯は不明。だが紅き翼であったクルトとタカミチは『完全なる世界』の仕業だと推測した。

であれば目的はおそらく、20年前の大戦での焼き直し。

ならば次に奴らが狙うのは。

 

「すまない、アスナくん」

 

「わかってますよ、高畑先生。……だからって不満がないわけじゃないですけど」

 

「まーまー明日菜、ウチらも一緒やし我慢しよかぁ」

 

「オスティア観光は魔法世界が救われてからにお預けですわね。

 ……その時には案内を頼みますわよ、明日菜さん」

 

「任せて、いいんちょ」

 

大戦での出来事と『完全なる世界』の狙いについてはネギたちもおおよそ聞いている。

連中の計画の要が『黄昏の姫御子』であり、その奪取に動くだろうことも把握している。

よってアスナを厳重に保護しなければならないがあまり大々的に扱うと他の元老院議員に感づかれる。

となれば軟禁するような形で隠すしかなく、彼女一人に窮屈な思いをさせまいと白き翼の一行も傍にいることを願った。

結果、ネギと小太郎が拳闘大会に参加する都合上彼らの軟禁場所は闘技場のVIPルームとなった。

この人数では少し窮屈だが長期滞在するに不都合無い広さ。

キッチンやバスルームも完備しもはや家も同然。

アリーナの一番上から試合の観戦もできる。流石はVIP席だ。

アスナ姫に対し可能な限りの気遣いを見せるクルトの対応に少女たちは不満を呑みこんだ。

 

だが悪いことは重なるもので、テロ事件からおよそ1週間後。

魔法世界全体に、突如としてノイズのようなものが走るという事件が発生した。

こちらに関しては詳細は一切不明。実害もなし。

だが確かに世界の人々は不安は掻き立てられ、心に暗雲が立ち込めていた。

 

しかしそんな彼らに闇を切り払うような明るいニュースが飛び込んできた。

 

『紅き翼』の一人。

最強の奴隷剣闘士。

ネギたちとの約束をすっぽかしたダメ人間。

『死なない男』『不死身バカ』『つかあのオッサン剣が刺さんねーんだけどマジで』と言った数々の異名を持つ伝説の戦士。

 

『千の刃』ジャック・ラカン。

彼がナギ・スプリングフィールド杯への参戦を表明したのである。

 

 

 

「「「勝てるかぁぁぁーーーーーーっ!!!」」」

 

VIPルームのリビングで大戦中の彼の戦闘映像を改めて確認し終えた白き翼一行は揃って絶叫を上げた。

 

「おいクルトさんよ!?まさか兄貴に協力したくねぇからってアレを呼び寄せたんじゃねぇだろうな!?」

 

「いささか私に都合のいい展開であることは認めますが、誓って違います。

 この祭とテロ事件への対応で多忙な私とオスティア総督府に、彼を探し出すために割く人手があるとお思いですか?」

 

「うっ……」

 

「それに運よくあの男を見つけたとしても、交渉などできませんよ。

 あのバカを制御できるなら誰も苦労はしません。そうでしょう?」

 

「間違いなく無理ね」

「あの人は気分屋だからなぁ……」

 

ラカンを知るアスナとタカミチのフォローにより、ひとまずクルトへの疑いは晴れた。

だが状況は何も好転していない。

クルトの協力を取り付けるためには大会で優勝しなければならないのに、ナギと互角とも言われるバグキャラが参戦してしまったのだから。

彼一人でも厄介なのに、どこで見つけてきたのか知らないが『カゲタロウ』とかいう黒ずくめの相方もかなりの強さ。

トーナメント表を見る限りぶつかるとしたら決勝だが、今のままのネギと小太郎では勝ち目はない。

 

「明日菜さん、何とか説得する方法はありませんの?

 何故この大会に参加したのか理由がわかれば……」

 

「クルトさんの言う通り交渉なんてできないのよ。とにかく自分勝手なんだもの。

 ……でも確かに、なんで大会に出てきたのかは気になるわね」

 

金にがめついので優勝賞金100万ドラクマが目当てかと思うが、面倒ごとを嫌うのに堂々と人目に出ている時点でその線は薄い。

 

「とにかく、一度会ってみるべきでしょう」

 

「でもー、私たちここから出られないですしー……」

 

「都合よく向こうから来てくれたり……ってのは夢見すぎかしらね」

 

 

「……そうでもなさそうですよ」

 

こめかみに指を当てて何かを聞いていたクルトが会話に乱入する。

 

 

「外に控えさせている部下からの連絡です。

 ジャック・ラカンが力づくでここに押し入ってきていると。

 目的はネギくんとの面会のようです」

 




原作のネギの強さはラカン式の数値換算で500。
闇の魔法習得後は2200。
本作のネギと小太郎は今のところ1500くらいのつもりで書いています。

タカミチは2000。(本気か怪しい)
カゲタロウが3000。(小太郎の推測)
フェイトは3200。
ラカン本人は1万2千。

DBの戦闘力に換算したら、10→1くらいかな?
100→1だとすると原作のこの時点でのネギが、銃を持ったおっさんと同じ戦闘力5になっちゃうし。
であればラカンの戦闘力は1200。
1500の原作ラディッツより少し下くらいになりますかね。
するとカゲタロウが亀仙人より強い計算になりますが、DBの戦闘力の数百以下はあまり参考にならないので見逃していただけると……。
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