『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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流石に皆さんすぐに気付きますよね。
リンネはナギでしたが、ヒノカミの記憶と力も借り受けているので。


第51話 『ナギ・スプリングフィールド杯』決勝戦

 

剣闘士らしく巨大な剣を掴み目の前に突き立てたラカンが、少し遅れてきた二人を迎え入れる。

 

「よぉ、遅かったじゃねぇか。

 チサメの嬢ちゃんが言う通り、逃げ出したかと思ってハラハラしたぜ」

 

「「…………」」

 

「ん?どしたぁ?」

 

獰猛な笑みを浮かべたラカンの問いかけに、二人は沈黙で返す。

ネギならともかく小太郎までというのは違和感があり、VIP席でテオドラたちと観戦していた白き翼一行も首をかしげていた。

 

「ん~~?緊張して声も出ねぇか?

 それとも武者震い……いや、違うな」

 

よく見れば二人は全くの無表情。

怯えもなければ覇気も感じない。

互いに少し距離を取って並んで立っているだけだ。

 

(わっかんねぇ……マジで何が狙いだ?)

 

 

『それでは決勝戦……開始!』

 

 

司会が高らかに宣言する。

ネギと小太郎は相変わらず棒立ちのまま。

そしてラカンとカゲタロウは……こちらも動かなかった。

 

((よしっ!!))

 

内心で冷や汗をダラダラと流していたネギと小太郎は、最初の関門を乗り越えたことを確信した。

彼らが今から使おうとしている技は予備動作が隙だらけすぎて格好の的なのだ。

戦いが始まってから途中で隙をついてチャレンジしても絶対に妨害を受ける。

ラカンは『待ってくれ』と言って応じてくれる性格でもない。

かといって試合開始前に動き始めるのはルール違反になるだろう。

よって彼らが技に挑めるタイミングは試合開始直後のみ。

そして最も恐れていたのはラカンたちが開始の合図と同時に襲い掛かってくることだ。

故にネギたちは感情を隠して彼らの疑問が増幅するような振る舞いに徹し、彼らが様子見を選択するように誘導した。

 

だがこのまま動きが見えなければすぐに攻撃に移るだろう。

よってネギたちも早速技の構えに入る。

ここから技が完成するまで攻撃されずに済むかが二つ目の関門。

技そのものが成功するかが三つ目の関門。

そしてその力でラカンたちを倒せるのかが最後の関門だ。

 

(行くよ、小太郎くん!)

 

(しくんなよネギ!)

 

この細い綱を最後まで渡りきることができるか。

二人は己の一挙手一投足に全神経を集中させる。

 

 

バッ

 

 

「「「?」」」

 

ネギと小太郎が正面を向いて立ったまま、互いとは逆の方向に両手を伸ばした。

ラカンもカゲタロウも観客たちも訝し気に二人を見つめる。

 

 

 

「「フュ~~~~~…………」」

 

タカタカタカ

 

 

 

頭の上で弧を描くように腕を反対側に動かしながらカニ歩きの要領で二人が近づく。

この時動かす足は三歩分。

 

 

 

「「ジョン!!」」

 

グッ!

 

 

 

伸ばしていた指をグーに変えて逆側へ。

腰を捻り片足を90度の角度まで上げ膝を相方へと向ける。

 

 

 

「「はっ!!!」」

 

ビッ!

 

 

 

曲げていた足を大きく伸ばし、立っていた足を曲げて体を横に傾け、両手の人差し指を突き出す。

二人の指先が頭の上下でピタリと重なった。

 

 

 

カッ!!!

 

「「「「「!?!?!?!?」」」」」

 

 

 

少年たちの謎の儀式を半ば呆然と見ていた観客たちは、直後彼らの体から放たれる強い光に耐え兼ね目を覆った。

対戦相手から目を逸らさなかったラカンとカゲタロウは、二人の輪郭がゆっくりと一つに重なっていく様子をはっきりと見ていた。

 

 

 

 

「……ありがとうございます、ラカンさん。

 終わるまで手を出さないでいてくれて」

 

 

「オイオイオイ……なんだよそりゃあ!?」

 

 

二人が重なった場所に立っていたのは一人の少年。年齢はネギたちより少し上……12才くらいだろうか。

赤と黒の2色が混ざった長髪。

側頭部にあるものとは別に頭頂部にも生えた一対の獣耳。そして尻尾。

妙な服装をしており、上半身がベストのみで下半身は白い道着のようなズボンを長い帯で止めている。

そしてその声はまるで、ネギと小太郎が同時に放っているかのように重なって聞こえる。

 

「待ってもらったお礼に、今度はオレが待ちましょう。

 先手はお譲りします」

 

「……ほぉ~~う。

 今一つ状況は理解しかねるが、いい度胸じゃねぇかボウズ!」

 

あらゆる武具に姿を変える変幻自在のアーティファクト『千の顔を持つ英雄』により具現化した槍を構えたラカンは、軽く飛翔し久しぶりの全力を込めて謎の少年へと投擲する。

 

(なんだと!?)

 

だが少年は一歩も動くことなく、穏やかな笑みを浮かべたまま自然体で立っている。

そしてラカンの最高の一撃が直撃する瞬間。

 

 

 

ガァンッ!!!!

 

 

 

「なっ……!」

 

「「「「「なぁっ!?」」」」」

 

闘技場から天に光が昇り、障壁に激突して爆発した。

少年は片足を垂直に上げた状態で、傷一つなく立っていた。

 

「ラカン殿の一撃を受けて、無傷だと!?」

 

「まさか……蹴り上げたってのか!?

 このオレの全力の一撃を!?」

 

「流石、すさまじい威力でしたよ。

 まさかオレの足がしびれるとは思わなかった。

 この姿になると気が大きくなり調子に乗ってしまいがちになるんですが……少しお遊びがすぎましたかね」

 

少年は下げた右足を、しびれを取るためにプラプラと動かす。

 

 

「さて、次は」

 

少年が両足を地面につけた。

 

 

「オレの番です」

 

 

「「!?」」

 

直後、少年はラカンの目の前で拳を振りかぶっていた。

 

「気合防御!!」

 

躱すのは不可能と判断したラカンは咄嗟に全身に気を纏い攻撃に備える。

そして彼の腹に少年の拳が突き刺さる。

 

 

「ごっ……ぶほぉあぁぁぁっ!!!」

 

 

全力の防御はあっさりと貫かれ、殴り飛ばされたラカンは観客席前の障壁に激突し盛大に血反吐を吐いた。

彼の傍にいたカゲタロウも今の攻撃の余波だけで別方向へと飛ばされ障壁に叩きつけられていた。

 

「ばっ……か、な!なんなんだ、テメェは……!」

 

「オレは貴方を倒す者……」

 

 

 

「『ネギ太郎』です」

 




ラカン式戦闘力換算

ネギ   : 3000
小太郎  : 3000
カゲタロウ: 3000
ラカン  :12000

ネギ太郎 :60000


一人称は小太郎、口調はネギ寄りにしています。
最初は逆にしようかと思ったんですがBLEACHの市丸みたいになって胡散臭さが炸裂したのでこちらを採用しました。
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