『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第55話

 

揃ってVIPルームに運び込まれたナギとネギ、ついでにエヴァに気絶させられた小太郎は木乃香たちの治療を受け意識を取り戻した。

 

「「「「「…………」」」」」

 

目を覚ましたナギはラカンやテオドラ達も含めた全員に取り囲まれていた。

無言の圧力をひしひしと感じる。針の筵である。

六道リンネに関してはできれば触れないでおきたかったがエヴァの発言が放送され彼らの耳にも入っていたので誤魔化しはできそうにない。

ラカンたちの気迫に押されて部屋の隅に追いやられていた白き翼一行も呼び寄せ、ナギは己が今に至るまでの経緯を全てを白状することになった。

 

完全なる世界の首魁『ヨルダ』は精神寄生生命体だった。

20年前の大戦でヨルダを撃破したナギはヨルダに寄生されていた。

抗うも侵食は進み、自殺してもまた誰かが犠牲になる。

己が暴走し仲間や周囲を危険に晒すことを恐れたナギは、自分が死んだことにして身を隠し放浪していたが、ついに限界に達したところで六道リンネと遭遇した。

彼女は霊媒師であり霊体操作の達人。そして何より己を遥かに超える力の持ち主。

彼女はヨルダをナギの肉体ごと封印すると同時にボロボロになっていたナギの魂をはぎ取り自身の中に保護。

時間をかけて回復したナギは彼女の体を借り受け、六道リンネとして振る舞いながらネギの保護者を務めていた。

 

「どうして教えてくれなかったんですか、ナギ!」

 

「決まってんだろタカミチ……こうなるってわかってたからだよ!」

 

「ぶわははははははははははは!!!!!!」

 

ナギは爆笑するラカンに攻撃を仕掛けるが未だ弱ったナギではラカンに攻撃をかすらせることもできず。

間も無く『話が進まないから』とエヴァがラカンを氷漬けにして沈黙させた。ラカンは爆笑したままの姿勢で氷の彫像となっていた。

怪我は治ってもネギ太郎との戦いで疲弊していなければエヴァでも止められなかっただろう。

それでも数分もすれば勝手に抜け出すに違いないが。

 

話を戻して、リンネの力を借りればすぐに元の体に戻ることはできるが、ヨルダに侵食されきった体を改めて自分のものにするのは時間がかかり、しばらくは満足に動けなくなる。

だから守るべきネギが育つまではリンネの体と力を手放すわけにはいかなかった。

そしてネギの保護者として麻帆良に来たリンネはエヴァにネギを託すことを思いついた。

彼女の庇護下でネギは健やかに成長した。

しかし京都にて完全なる世界の残党が動いていると知り先延ばしにせざるをえなくなり、まもなく京都での戦いを観察していた超が協力を求め接触してきた。

元々ナギは元の体に戻った後でリンネ本人と協力して魔法世界を救済する計画を立てていたが、超に提示された未来の情報から時間的猶予がないことを知り、超とも協力して新しい魔法世界救済計画を立案。

麻帆良にてその準備を進めていたが、魔法世界とのゲート破壊テロから完全なる世界の再始動を察知し、計画を一部変更して前倒しで行うことに決めた。

 

 

「計画が成功すりゃあ魔法世界のゴタゴタは解決するしメガロの連中の干渉も跳ねのけられるし完全なる世界も封殺できる。

 そうなればネギの心配もなくなるし、計画の前後はオレ自身も色々顔見せして動かにゃならんからな。ようやく元の体に戻れたのさ。

 ヨルダが入ってたオレの体の封印を解いて、ヨルダを剥がしてオレを移して、魔法球で1年ほどリハビリして何とか今の状態ってわけだ」

 

「父さん……父さんは本当にずっと、僕を……!」

 

「悪かったな、ネギ。お前には苦労ばっかかけちまった。

 ……だが、オレも辛かった」

 

「はい……はい……!」

 

「しっかし、マジで姐御がネギパパだったとはね……呼び方どうしよっか?」

 

「!?では『お義父様』とお呼びしてもよろしいでしょうか!」

 

「ほらのどか!アンタも負けてらんないよ!?」

 

「お、おとうー……はぅ〜〜」

 

「おっと、ぼーやの恋人を名乗りたいならこの『義母(はは)』の許しを得てからにしてもらおうか」

 

「「「モンスターペアレントだーーー!?」」」

 

「先にマスターが『義母(はは)』を名乗る許しを得るべきかと思いますが」

 

「んなこたぁ今はどうだっていい!

 ナギさんよ!アタシらはいつ麻帆良に帰れるんだ!?

 それに魔法世界救済計画ってのはあと何をすりゃいいんだ!!」

 

「っ、そうだ!それにヨルダってのはどうした!?」

「ゲートが破壊されたのに、どうやって魔法世界に来たんですか!?」

「結局、六道リンネさんとは一体何者なのです!?」

「彼女は今どこに!?」

 

「いっぺんに質問攻めにすんなよ!ちゃんと説明する!

 ……だがお前らだけに内々で済ませるのは筋が通らねぇ」

 

しがみついていたネギを離して立ち上がったナギは、部屋の扉を通りVIPエリアの外に出た。

 

 

「よぅ、クルト」

 

「ナギ……!」

 

 

そこには大勢の兵士を引き連れたクルトが立っていた。

英雄ナギを目の前にして、統制されているはずの兵士たちの間にもどよめきが広がる。

 

「言っとくが、偽モンじゃねぇぞ。

 オレは正真正銘本物の『サウザンドマスター』だ」

 

「わかっています」

 

彼の服の裾を握りしめるネギ、そして彼の両脇を固める『闇の福音』と『千の刃』がそれを証明している。

この3人が認める相手が偽物であるはずがない。

……ネギの視線がいつの間にか復活していたラカンに向く。

いずれ慣れる。コレはこういう生き物だ。

 

「おいクルト。お前ネギと賭けをしたんだってな?

 ネギが大会で優勝したらオレらに手ぇ貸すってよ」

 

「……えぇ。約束しました」

 

「オレとエヴァが乱入しちまったが、それはコイツの優勝が決まった後のことだ。

 まさか反故にしようなんて考えてねぇよな?」

 

「勿論ですとも」

 

未だに状況を把握しきれていないが、六道リンネとやらがナギの縁者あるいは本人だと言うなら話が変わってくる。

『ナギ・スプリングフィールド』の名にはそれだけの価値と重みがある。

魔法世界救済計画の存在と実現性を疑う余地はなく、クルトもまた彼に協力するべきだ。

メガロメセンブリア元老院議員としてではなく、魔法世界に住む一人の人間として。

 

「では、貴方の計画とやらを説明していただきたい」

 

「説明はする。だがこの場でじゃねぇ。

 これは魔法世界に住む全員が知るべきことだ。

 だから早速お前に協力してもらうぜ」

 

「……と、言いますと?」

 

 

 

「公開会談を開く。場を整えてくれ。

 中継範囲は『魔法世界全域』。

 そしてお前やテオたちにも、この会談に同席してもらいてぇ」

 

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