『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第62話 それでも明日はやってくる

 

―――この放送は終了しました―――

 

怒号と悲鳴が飛び交う会談の中継映像は突然ぶっつりと途切れる形で、なんとも締まりのない終わりを迎えた。

 

慌ててそれぞれの地に戻ったテオドラ、セラス、クルトとリカードは即座に行動を開始した。

もう体面も体裁も気にしている余裕はない。あと千年しかないのだ。

今回の会談で悪事が暴露されたメガロメセンブリア元老院を含め、魔法世界中の組織に捜索の手を伸ばし外道悪党を悉く捕縛・鎮圧していった。

 

証拠は魔法世界維持のためにしばらく滞在するヒノカミが用意した。

今のこの世界は全て彼女のオーバーソウルだ。

悪事の証拠となる書類や物品は全て彼女が把握している。

一端具現化を解除し手元に呼び寄せて再び具現化すればいくらでも集めることができる。慌てて処分しても無駄だ。一度オーバーソウルにした時にこの世界の全てを彼女は記憶してしまったのだから。

 

武力行使する実行部隊はそれぞれの手勢以外はナギとラカンとエヴァ、そしてカゲタロウとフェイトと彼の従者の少女たちだった。

ことここに至っては信頼できる戦力は一人でも、わずかでも欲しいとクルトたちは躊躇うことなくフェイトらに頭を下げた。

フェイトらも完全なる世界の構築が不可能とわかり、そしてクルトらに協力することが弱者の不幸を減らすことにつながると渋々その手を取った。

もちろんフェイトらの謀反を危惧する反対意見はあったが、『ヒノカミが彼らの功績を認めている』というだけで後ろ盾としては十分だった。

ヒノカミはそれほどの化け物として魔法世界に周知された。

 

 

 

そして彼らの主であるヨルダはどうなったのかと言うと。

 

 

 

「エヴァンジェリンさんに代わり、今日から皆さんのクラスメイトになる『ヨルダ・バオト』さんです。

 卒業まであとわずかですが、皆さん仲良くしてくださいねーーー?」

 

「「「はぁーーーい!!」」」

 

「いっそ殺せぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!」

 

『お前こそ人と社会を間近で知るべきだ』と、ヒノカミにより強引にネギのクラスに放り込まれた。

その姿は生徒らが『姐御』と慕った女性そのものだが、魔法を知らぬ生徒らも彼女が『霊媒師』であることはさよの一件で知っている。

よって『六道リンネが少女の幽霊にしばらく体を貸している』と伝えるだけであっさりと受け入れられた。

麻帆良学園一の混沌の坩堝、麻帆良女子中等部3-A組の生徒らの大雑把さと順応性は、今日も他の追随を許さない。

事情を知る生徒の中で千雨を筆頭とする数名は頭と胃を押さえていたが、実はそれ以上のダメージを受けていたのは『自分の肉体が女子中学生の制服を違和感なく着こなしている』姿を目の当たりにしたヒノカミだったりする。自業自得である。

 

 

魔法世界……いや火星と地球のゲートが再構築されそれを通って帰還した白き翼一行。

伴って麻帆良の魔法使いたちも火星で起きた出来事を知ることとなる。

そう、ヒノカミの脅威と功績とやらかしの全ても。

 

恩情としてもう一年は待つが、それを過ぎればヒノカミは魔法世界の実体化に取り掛かると宣言している。

現時点でも霊視能力を持つ一部の人間が『火星に世界がある』などと騒ぎだしているのに、まもなくその騒動が地球中に広がると確定しているのだ。

伴って魔法の秘匿も不可能になるだろう。そちらの対処だけでも大変なのに、銀河帝国に認められるためにはこの地球の社会も改めなければならない。

しかも、魔法世界の救済者となったヒノカミが地球側の窓口として麻帆良を指名したのだ。この救済計画の功労者であり協力者であるとして。

そのせいもあって、火星とのゲートは未だ麻帆良とオスティアをつなぐものしか復旧していない。彼らは魔法使いと地球人類の橋渡し役に任命され、絶大な権限を手に入れたのだ。

 

だがそれ以上に信頼が重い。重すぎて胃が鈍痛を訴え始める者が続出した。疲労と心労でオーバーフローした学園長がボケ始めたので尚更だ。

そして超がクラスメイトの五月と協力して考案した超包子の新メニュー『胃に優しい薬膳粥』は魔法関係者たちに飛ぶように売れた。

超と魔法使いはようやく本当の意味で戦友になれたのかもしれない。

 

 

 

そして月日は流れ、春になり、生徒たちは卒業式を迎えた。

 

ネギは修行を成し遂げたことで卒業試験に合格し正式な魔法使いとなった。

未だ魔法世界の平和維持に奔走している父の助けになるために、魔法世界に渡るそうだ。

超も卒業後は進学せずそちらに同行した。彼女は『ヒノカミの計画に手を貸す』と約束していたので。

 

だが、アスナは麻帆良に残る。

彼女自身はナギたちに協力することを望んだが、彼女の存在は未だ明るみになっておらず、名という後ろ盾のない彼女はただの一女生徒でしかない。

今度こそ普通の人として幸せになれとも言われている。

ならばあと3年、しっかりと勉強と修行をして『神楽坂明日菜』として彼らの力になると意気込んでいた。

『アスナ』としての記憶を取り戻した彼女がバカレンジャーを脱退するのは時間の問題だろう。

 

麻帆良女子中等部はエスカレーター式。

A組の生徒らはそのまま麻帆良女子高等部1-Aとして繰り上がった。

ただし顔ぶれはわずかに異なる。

麻帆良女子中等部の教室に縛られている相坂さよは高校には進級できなかった。

超は前述の通りナギの助けになるためネギと共に魔法世界に渡った。

しかし代わりに、ナギと共にいたエヴァが麻帆良に戻ってくることになった。ただし。

 

「私が貴様らの担任となる『雪姫』だ。これからよろしく」

 

生徒ではなく教師として。

 

「「「「「エヴァっ!?」」」」」

ガガガガンッ!

 

思わず彼女の本名を口にしようとした生徒らは魔力が込められたチョークマシンガンを額に受け撃沈した。

今の彼女は長身の金髪美女であり、別名を名乗ったことから正体を隠すつもりらしい。

ちなみに彼女の肉体。これは幻術ではなくヒノカミに施術された結果であったりする。

 

「私はネギ先生のように甘くはない……覚悟しておくことだな。特にヨルダ」

 

「きっさまぁぁああ!!おのれエヴもごぁっ!?」

 

頑丈すぎてチョークの弾丸が通用しないヨルダに対しては口の中に直接撃ちこんでいた。

状況を理解しきれていない生徒たちは、美人女教師のいきなりの暴君っぷりに戦慄していた。

 

「「「「「……あ!」」」」」

 

「ん?」

 

しかし彼女の左手の薬指に光るリングを見つけた途端、若さ溢れる少女たちは感じていた恐怖も何のその。

どこか既視感を感じる新たな担任に群がり、恋バナに花を咲かせようとするのだった。

 




『魔法先生ネギま』、これにて完結となります。
銀河帝国なんてものが千年後にやってくることになったから、少なくともそれまではヒノカミはこの世界に滞在することになります。
女神の監視下で住民たちが必死になれば、少なくとも今よりは遥かにマシな世界になるでしょう。当人たちに非のない事件や災害だったら手を貸してくれるだろうし。

力の制限がほぼないから思いっきり暴れさせられるはずが、暴れたら全部終わると判明し、結局今回も縛りプレイ尽くしの物語となってしまいました。
そして実際に暴れ始めたらすぐ終わりました。そこに辿り着くまでが長かった。
話数が他の外伝の倍近くまで膨れ上がったこともあり、途中で2回も休載を挟む羽目になってしまいました。改めてお詫び申し上げます。

ネギまは作者が初めて二次創作に触れた思い出の作品であり、本当はもっともっと入れたいイベントがあったんですが、どれも無駄に話を伸ばすだけで面白くならないと考え削り削りを繰り返した結果がコレになります。
でもこれだけ削っても60話超えって、やっぱり問題が多い世界は改変するのが大変ですね。

さて次の話ですが……いつの間にかリクエストがめっちゃ溜まってて焦ってます。
一応目を通してますが、書けそうな作品は結構限定されてて、とりあえず『次はこれかな』ってのは一つあるんですが……。
ただし半年前くらいから仕事のノルマが明らかに残業前提になってるので時間が取れず、執筆が中々厳しいです。
少なくとも、今月中に次を開始するのは不可能だと推測しています。
来月中のはじめも難しいので、中旬くらいには多少ストックをためて再開できればと考えています。
中旬でもかなり希望的観測ですが。何しろまだ書き始めすら想像できていないので。
ひょっとしたら短編をいくつか挟んで時間的猶予を稼ごうとする姑息な手段に出るかもしれない。

皆さんが忘れかけた頃に戻ってきますので、期待せずお待ちください。
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