『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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一心さんのノリが再現しきれない……。
いいキャラだからちゃんと書き上げたいんだけどなぁ。


第9話

尸魂界の死神が所属する戦闘集団、それが『護廷十三隊』。

名前の通り13の部隊に分かれており、それぞれ隊毎に特色を持ち、数百人規模の死神が所属。

そして部隊の中で能力に応じて20までの席が設けられており、最も高い実力を持つ者が『隊長』を名乗る。

 

「そして十番隊最強の男!それがこの俺様よ!

 どうだ!ちっとは父さんを見直したかー!?ブハハハハハ!!」

 

「……マジかよ……」

 

「師匠……浦原商店の関係者から聞く限り間違いないらしい。

 ちなみに隊長格とは今の儂が全力で戦ってようやく一矢報いることができるかどうかという相手じゃ。

 ……さらに言えば、儂らと年の変わらぬ頃の母上もそれに匹敵する強さであったとか」

 

「…………マジかよ……」

 

一護はまだ隣互の全力を見たことがない。

しかし自分が苦戦した大虚をあっさりと『倒せる』と断言した彼女であっても、両親のかつての強さに及ばないと言う。

このクソやかましいヒゲ親父と、ニコニコ笑う穏やかな母が。

少しは強くなれたかと思っていたのに、本当に自分はまだまだ弱かったのだ。

姉が未だに修行から戻らないことにも納得である。

 

「……ルキアちゃんにもあっちで会ったことがある。

 俺が人間として暮らすようになって老けちまったから気付いてないみたいだがな」

 

「決して父上と母上のことを話してはならんぞ。

 尸魂界に把握されれば……碌なことにはなるまいからな」

 

力を失った滅却師だと死神に知られれば母は殺されるかもしれない。

死神である父ならば力を取り戻すことに協力してくれるかもしれないが、その調査のためにと尸魂界に連れ戻されてしまうだろう。

黒崎家の平穏が奪われるとなれば、ルキアが相手であっても秘密にせねばならないことだと一護も理解した。

 

「……師匠はあなた方のことを、ご存知だったのでしょうか?」

 

ここまで沈黙していた雨竜が声を出した。

 

「事情を話したことはないけれど……きっと、気づいていたと思うわ」

 

「そう……ですか……」

 

俯いた彼は穏やかに微笑んでいた。

この家族は祖父の理想そのものだ。

死神と滅却師は手を取り合うことができるのだという確かな事実。

そして亡くなった祖父がそれを知っていたのだとしたら、彼はかなわぬ夢に焦がれたまま無念の最期を遂げたわけではなかったのだ。

それを成したのが弟子である自分でないことが、少しだけ悔しかったが。

 

「……わぷっ!ま、真咲さん!?」

 

「か、母さん!?父さんにも滅多にハグしてくれないのに!?」

 

「空気読めやクソヒゲ!!」

 

真咲は突然雨竜を胸元に抱き寄せ呟いた。

 

「竜ちゃんと叶絵さんの息子なら、私にとっても息子も同然だもの。

 竜ちゃんとはうまくいってないようだけど……ウチでよければ、家族だと思ってちょうだい。

 ね、お父さん?」

 

「!?やったー!息子が増えたー!!

 正直娘バッカで男女比おかしいと思ってたんだーー!!」

 

「酷いぞ父上!女子の儂は愛してくださらぬというのか!?」

 

「愛しているとも!でも息子相手だからできる親子の語らいって奴がサー、一護はノリ悪いしサー」

 

「てめー本人前にしてよく言えんなコラ。あと多分石田は俺以上にノリ悪いからな」

 

突然の真咲の発言に、その場にいた家族は誰一人反対しなかった。

自分はこの暖かな家族の平穏を乱そうとしていたのだと、今更になって浅慮を悔いた。

そして自分が彼らを守りたいと、守らねばならないと強く決意した。

 

翌日、黒崎家に一泊した雨竜は一護と揃って登校。

学年一位のガリ勉と一部で不良扱いされる生徒が並んで歩いている様子はひどく注目を集めた。

互いにぶっきらぼうな態度ではあるが、下の名前で呼び合っている。

僅か1日で彼らに一体何があったのかと話題になった。

仲の良い友人にも当然詮索される。

 

「オレ昨日石田の奴見たけど、なんか関係あんのか?」

 

「あ?どこで?」

 

「工事現場で。なんか男物の着物きた女の子と芝居がかった口調で話してたけどさ。

 もしかしてアイツって俳優志望とか?」

 

(コイツ近くにいたのかよ……)

 

もうすぐ授業が始まるからとその場は納めてもらい、説明が長くなるからと昼休みまで待ってもらう。

一護と雨竜、そして二人の友人を加えた4人で屋上で昼食を取る。

 

「親戚!?一護と石田が!?」

 

「俺らも知らなかったんだけどよ……おふくろも姉貴も間違いねぇって言うから」

 

「一護もお姉さんいたんだ」

 

「双子のな。ケーゴが見た男物の着物きた女ってのがそうだ」

 

「僕が一護を下の名前で呼ぶようにしたのは、苗字だと彼の家族と混同してしまうからだ」

 

「だったら俺も下の名前で呼ぶかってなったわけだ」

 

「マジかー……衝撃の事実祭りじゃねぇか」

 

「へー、そのお姉さんって美人なの?

 一護のお母さんも相当な美人なんだし」

 

「遠目でわからなかった!今度会わせておくれよ一護ー!」

 

「……お前らは多分会わねぇ方がいいぞ。

 姉貴は9歳で海外の大学に飛び級で留学した、たつきを無傷で完封できる武闘家だから」

 

「「何その完璧超人!?」」

 

彼らは一護が実は学年上位の成績の持ち主だと知って思わず逃げ出したくらいには勉強が苦手。

そしてクラスメイトの有沢竜貴はインターハイ出場が決まっている空手の達人。

部活の類には入っていないが、幼い頃から空手を続けている一護は彼女の訓練相手に付き合わされることが多い。

一護は文武両道のスーパー高校生なのだと認識していたが、まさか同い年に上位互換が存在したとは。

 

「……で、美人なの?」

 

「ぶれねぇな水色」

 

「美人ではあると思うが、性格が……。

 いや、いい人なのは間違いないんだが……」

 

「……否定できねぇ……」

 

「あはは、癖の強い女の子ってのもいいもんだよ?

 残念だなぁー、これで年上だったらなぁー」

 

年上の女性が好みだと公言する小島水色は隣互が同い年であることを悔やむが、中身は3桁近い年上だと知れば一体どう思うだろうか。

一護も雨竜も隣互の正体までは知らないので、そんな考えには至らなかったが。

とにかく、雨竜が引き起こした騒動は終わり一護の平穏が戻って来た。

その雨竜自体も引き入れて。

 

しかしその日の夜、自室の押し入れを寝床にしていたルキアが忽然と姿を消した。




雨竜の態度がとんでもなく軟化してます。
一護が憎き死神どころか自分と同じ滅却師の家系。
しかも師匠の理想の体現者。嫌う理由が無くなりました。
そして一護ですが、強くなるために原作では辞めた空手を続けています。
流石にたつきに敵いませんが、一歩及ばないくらい。
尚たつきは隣互が黒崎家に戻ってくる度に勝負を挑み、努力家を好む隣互は律儀に相手をして完封し続けてます。
なのでたつきの向上心もえらいことになってて……多分一般人としては地上最強だと思います。それにくらいついてる一護も大概ですが。
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