『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第12話

隣互は一護と雨竜を治療し、家へと連れ帰った。

両親に事態を説明したところで一護たちが頭を下げる。

 

「親父、おふくろ。姉貴も……すまねぇ!」

 

「申し訳ありませんでした」

 

「雨竜は頭を下げんで良い。

 お主は儂ら家族のことを知られたらまずいとわかっておったろうし、儂が飛び出したのは儂の勝手じゃからな。

 一護は反省すべきではあるが、一番の問題児は……貴様じゃあ!」

 

「アイタッ!酷いじゃないッスか隣互サン」

 

「やかましい。当人が望んでいたとはいえ、貴様が一護を焚きつけなければこうはならんかったじゃろうが」

 

ルキアがいなければ死神になれない一護が参戦できたのは、こっそり黒崎家に不法侵入した浦原が一護に手を貸したからだ。

帰宅すると堂々と両親と茶をしばいていたので、即座に3人がかりで一発ずつしばいておいた。

 

「そんで一護サン、どうします?ルキアさんを助けに行きたいですか?」

 

「!?行けんのか!?」

 

「どんだけ火ぃ注ぐつもりじゃ貴様……。

 わかっておるのか、一護よ。

 お主は弱い。たった二人に手も足も出ずに敗れたお主が死神達の本拠地に乗り込んでもすぐに殺されて仕舞いじゃ。

 そして次はおそらく、父上のことも知れ渡る。

 それにルキアは元々尸魂界の死神。彼女もお主に救われることを望んでおらん。

 無理やり現世に連れ帰ったとして……」

 

「それでも!ここで動かなかったら、俺は俺じゃなくなっちまう気がするんだ……!

 姉貴言ってたよな。『人は時として命を賭してでもなさねばならぬことがある』って。

 きっと俺にとって、今がその時だ」

 

「……」

 

助けに行かなくていい理由をどれだけ用意してやっても、一護は己を曲げることができなかった。

 

「良し!行ってこい!!」

 

「父上!?」

 

「親が子供の妨げになるわけにはいかないもの。

 私たちのことは気にしなくていいのよ?」

 

「母上まで……」

 

「もちろん、アタシらも全力でサポートします。

 刑の執行までは時間があるし、尸魂界への門を開くにも時間がかかる。

 それまでアタシらと戦い方のお勉強をしましょう」

 

「尸魂界への旅、僕も同伴させてもらえないかな?

 黒崎家のみんなは別だが、死神はやはり嫌いだ。

 ……いいようにされたままでは気が済まないんでね」

 

「……まったく、揃いも揃って」

 

一護たちの学校は間もなく夏休み。

夏休み開始と同時に一護は浦原商店の地下施設で修業を開始する。

先日まで隣互が使用していた修行場だ。

雨竜は別の場所で修業に取り組む予定だが、訳あって初日だけは同席してもらった。

そしてその場にいるのは彼らだけではなく。

 

「すごーーーい!!

 あのお店の地下にこんなでっかい空間があるなんて!

 かっこいい!秘密基地みたい!!」

 

「井上……元気だな……」

 

「アッハッハ、ここまで期待通りの反応してくださると、製作者冥利につきますねェ」

 

過去に虚事件に巻き込まれ、先日雨竜が起こした騒動で霊能力に目覚め、共にルキアを助けたいと願う井上織姫と茶渡泰虎。

 

「いい子ねー、織姫ちゃんって」

 

「まったくだ!一護なんかにゃもったいねぇ!」

 

「一護ー、お主どうやってあんな美人を引っ掛けおった、ん-?」

 

「うっぜぇ!絡むな!人聞きの悪いこと言うんじゃねぇ!!

 つーか姉貴、その頭の上の黒猫はなんだよ」

 

「師匠じゃ」

 

「夜一じゃ」

 

「しゃべったぁぁぁぁああーーー!!?」

 

「くっくっく、弟はいい反応をするの」

 

そして隣互だけでなく一心と真咲まで参加していた。黒崎家は保護者同伴である。

 

「それで、浦原さん。なぜ僕らを集めたのか教えてもらえるかい?」

 

「いえね、最初にあなた方が挑もうとしている相手……護廷十三隊のことを知ってもらおうと思いまして」

 

コホンと咳払いをして一護たち4人の視線を集めた後、浦原は隣互の横に移動する。

 

「数百人規模の死神がいるとはいえ、その実力はピンキリ。

 席官でもない平の死神なら、今のあなた方でも対処は可能でしょう。

 ……ですが各部隊の隊長、彼らは別格です。あなた方では想像すらつかないほどに。

 幸いこの場には、辛うじてですが隊長に匹敵する実力を持つ隣互サンがいます。

 なのでどれほど実力差があるのか、その身で体感していただこうかと」

 

「待てよ、この間の朽木白哉ってのが隊長だったんだろ?

 姉貴の方がずっと強かったじゃねーか」

 

「死神が現世に向かう際には、現世の魂に悪影響を与えぬよう霊力を大幅に制限されるんですよ。

 先日の彼らも然り。全力の……ざっと2割ほどにまででしょうか」

 

「あれで2割だと……!」

 

「百聞は一見に如かず。隣互サン、お願いします」

 

「……焦がれよ、『赫月』」

 

隣互が解号を唱えると彼女の斬魄刀が炎へと変化し、膨大な霊力が噴き出した。

 

「斬魄刀には意志と、名と、別の姿が存在します。

 その能力はまさに千差万別。この形態を『始解』と言います。

 席官は各隊に20名ほどですが、五席より上はこれくらいの力はあると思ってください」

 

「「「……」」」

 

別に隣互から敵意が放たれているわけでもないのに、一護たちは霊圧で言葉が出なくなっていた。これと同格の相手となれば、確かに今の彼らでは荷が重い。

 

「そして斬魄刀には……さらにもう一段階上の形態が存在します」

 

「「「!!?」」」

 

「各隊長は全員……いえ、基本的に全員、この段階に至っています。

 隣互サンもまた。ということで、お願いできますか?」

 

「儂の斬魄刀の変化は特殊すぎるから、皆に余計な先入観を与えてしまわんか?」

 

「実力差を知ってもらうのが目的なので、問題ないでしょう」

 

「それもそうか」

 

隣互は燃え盛る炎の刀を一護たちへと向け、宣言する。

 

「『卍解』」




主人公の実力は、個性やら何やら全部総動員してギリギリ隊長レベルです。
この頃はまだ未熟な日番谷、相性の良い白哉相手なら勝てるかもしれませんが、他の隊長相手なら良くて互角、大体には負けます。
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