『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第13話

「隣互サン、もう結構」

 

隣互が斬魄刀を元の真紅の刀の状態にまで戻す。

一護たちは全員、呆然とその場にへたり込んでいた。

 

「これが斬魄刀の真の姿。『卍解』です。

 ひねくれた変化をする場合もありますが、大体は始解の能力を更に強化し、巨大化させたものになります。

 霊力が始解の5~10倍くらいに跳ね上がるので……どうしてもでっかくなっちゃうんですよねェ、普通は」

 

「……こんなのが、13人……!?」

 

一護はなんとか言葉を絞り出しながら、視界の隅に両親の姿を捕らえる。

 

「隣互……立派になってーー!!」

 

「ほら、泣かない泣かない」

 

(親父もおふくろも……この霊圧を受けてまったく動じてねぇ!?)

 

雨竜も無言で二人を驚愕の表情で見つめていた。

彼らが元隊長の死神と、それに匹敵する滅却師だったのは間違いないのだと思い知らされた。

 

「あなた方の目的はルキアさんを奪還することであって、死神を倒すことじゃあない。

 ですが彼らは全力で妨害してくるでしょう。戦いをすべて避けるのは不可能です。

 そして最低でも始解の隣互サンくらいの実力がなければ、彼らとは勝負が成立しないんですよ」

 

何も言い返すことができない。そう言われても仕方がないほどの実力差が彼らと隣互の間にはあった。

 

「隣互サンは才能がありました。

 身体能力と剣術の腕前が元から高く、今なら隊長相手でも引けを取りません。

 鬼道……いわゆる術の類はさっぱりですが、回道だけなら尸魂界でも五指に入るでしょう。

 ですが彼女でもここに至るまで6年かかりました。

 十数日程度の修行でそれに並ぼうなんざ無謀の一言。

 その上でお尋ねしますが……地獄を見る覚悟、お有りですか?」

 

「……当然!」

 

一護が応え、他の3人も立ち上がる。彼らはまだ誰も折れてはいなかった。

 

「結構。では修行の方針をご説明します。

 まずは一護サン。あなたは借り物の力ではなく、あなた自身の中に眠っている死神の力を目覚めさせなければ話になりません。

 よってその魂魄を作り替えることから始まりますが……手荒な手段になります。

 失敗したら死ぬより辛い目に会いますが、腹括ってください」

 

「オス!」

 

「石田サンはずっと独学だったようなので、滅却師の先達である真咲サンに師事してください。

 あなたの師匠とは系統が違うでしょうが、だからこそ新しい技術を身に着けることができるでしょう」

 

「力は失ったけど、教えることならできるわ。任せてね!」

 

「よろしくお願いします」

 

「そして井上サンと茶渡サンは、ひたすらに隣互サンと模擬戦です。

 あなたたちはまず、戦いという行為に慣れる必要がある。

 彼女は圧倒的強者です。今のあなた方ではどんな手を使おうが、絶対に、傷一つつけることができません。

 ……殺す気で挑んでください」

 

「中途半端な力と覚悟では死にに行くだけじゃからな。

 こちらも厳しくいくぞ。

 腑抜けた真似を晒すようなら容赦なく落第とする。

 死ぬとわかっている者を戦地に送り出すつもりはない」

 

「は、はい!」「ム……!」

 

「そしてアタシら浦原商店の面々は、最も危険な一護サンのサポートに当たります。

 夜一サンは隣互サンの補助を、真咲サンは先ほど言った通り石田サンの指導をお願いします。

 そして一心サンは……」

 

「おう!なんでもこい!!」

 

「……特にないッスねぇ」

 

「ズコーーー!!!」

 

一心は実に古典的なズッコケを披露した。

 

「いやでも、今のあなたにできることないし……あ、一護サン、応援とかいかがです?」

 

「気が散るからいらねぇ」

 

「……と、言うことだそうです。お疲れ様でしたぁー!」

 

「一護ぉー!!父さんを一人にしないでくれぇーー!!

 父さんはな、寂しいと死んじゃうんだ!!」

 

「離れろこのクソヒゲ親父!!」

 

「ハァ……隣互サン」

 

一護の両足に縋りついて泣き叫ぶ一心を見かねて、浦原が隣互に声をかける。

隣互は一心の隣で膝立ちになり、肩に手をのせて優しく語り掛ける。

 

「父上……父上の子は儂らだけではあるまい?

 母上が家を空けねばならない今、遊子を、夏梨を護れるのは父上しかいない!」

 

「ハッ!そうだ、俺にはまだ愛する娘たちが!!

 今行くぞぉー!絶対に父さんがお前たちを護ってやるからなぁーーー!!!」

 

一心は土煙を上げながら地下から出るための梯子へと走り、ドタバタとしたコミカルな動きで梯子を登って行った。

 

「……素敵なお父さんだね、黒崎くん!」

 

「じゃろー?我が家自慢の大黒柱じゃ」

 

「……いい親父……なのか?アレが?」

 

「アッハッハ。まぁ感性は人それぞれということで。

 それじゃあ身も心も引き締まったところで……地獄のレッスン、始めましょうか」

 

一護は浦原商店の地下修行場で、雨竜はかつて師匠と修行していた山奥で、井上と茶渡は浦原が手配した屋外の場所で修業を開始した。

そして十日間の修行期間を経て、各々が合格ラインにまで達したと判断された。

これより七日間をかけて、浦原商店の面々が尸魂界への門を開く。

 

朽木ルキアの処刑執行まで、あと二十日。




原作との差異
・一護にルキアの死神の力が残っていたので上乗せされました。
 原作より少し展開が早く、すでにホワイトとも会いました。
 隊長格の強さを思い知らされたのでかなり奮起してます。
・石田に師匠が付きました。
 力を失ったとはいえ最強クラスの滅却師。
 『血装』が使えるようになったのは大きいです。
・井上と茶渡にスパルタ教官が付きました。
 一番伸びてるのはこの二人かも……?
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