『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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久しぶりに更新再開します。
本当は4月からの予定でしたが、いくらかストックが溜まったので。


外伝11 迷宮都市オラリオ
第1話 ファミリア


 

「……また、駄目だったか?」

 

「ぐすっ、はい……」

 

「まぁ気にするな。見た目でしか判断できぬ奴の目なぞ節穴じゃ。

 こちらから願い下げと思えばよい」

 

迷宮都市オラリオ。

ダンジョンという広大な地下迷宮を保有する、世界の中心とも呼ばれる大都市。

武勲、一攫千金、様々な欲望を持った人間たちが世界中から集う。

人は全知全能たる神の力を封印して下界に降りた神より恩恵を賜り眷属となり。

冒険者となってダンジョンへと繰り出す人の生き様を神は娯楽として楽しむ。

 

英雄となることを夢見て田舎の農村からオラリオにやってきた少年『ベル・クラネル』。

彼は同年代にしか見えないが師であり保護者でもある少女ヒノカミに付き添ってもらい、神々の下を尋ねてファミリアに加えてほしいと頼んだ。

だがベルはまだ十代半ばと幼く、とんでもないお人好しでその内面が雰囲気にも表れているため、どうしても弱く頼りなく見えてしまう。

なので強い仲間を求める神々とその眷属たちから悉く門前払いを受けていた。

 

ギルドからもらったファミリアのリストに次々とバツがついていき、残り僅かとなったところでようやくまともに応対してくれる神が現れたのだが。

 

「……すまん、我がファミリアは同郷の者しか受け入れておらぬのだ」

 

「あー、もしや儂のせいで誤解させてしまいましたか?

 それは申し訳ないことをした」

 

極東の武神タケミカヅチ。

彼は明らかに東方出身であるヒノカミを見て、彼女ならばファミリアに迎え入れても問題ないと考えていた。

だが彼女はただの付き添いであり、実際に眷属になることを希望しているのはベル一人だけ。

であればタケミカヅチとしては断るしかなかった。

 

「どうしましょう……探索系ファミリアはもう全滅ですよ?」

 

「ん-……ヘルメスんとこは本当に最後の選択肢じゃしなぁ……」

 

「ロキのところには行っていないのか?

 あそこは必ず入団試験を行うはずだ。少年なら合格も間違いあるまい」

 

ヒノカミの言う『見た目でしか判断できない神』とは違い、武神であるタケミカヅチはベルの身のこなしや足運びから相当な強者であると見抜いていた。

無論その師であるヒノカミはそれ以上。

出身地という縛りがなければ、こちらから頭を下げてファミリアに迎えたいと考えていたほどだ。

 

「ちぃと事情がありましてな……ロキとフレイヤは遠慮したいのです。

 更に贅沢を言うならば『ここ15年以内』に降りて来た神のファミリアが望ましい」

 

「ふむ……ならば『まだファミリアを結成していない神』でも構わぬか?

 そちらでよければ紹介できる神がいる」

 

「本当ですか!?」

 

「私の友神でな。ずっと眷属を探しているのだが未だに誰も見つかっておらぬらしい。

 今の時間なら日銭を稼ぐため屋台でバイトをしているはずだ。

 ……まぁ普段バイトをしているのは私も同じだがな。零細弱小ファミリアの神などこんなものよ」

 

「屋台……北の通りか。その神の名は何と?」

 

「『ヘスティア』という女神だ」

 

「!?情報感謝いたします!ベル、行くぞ!!」

 

「わっ!?」

 

ヒノカミはベルを掴んで大急ぎで駆け出す。

 

「どうしたんですか師匠!?」

 

「ヘスティアはゼウスの姉じゃ!」

 

「おじいちゃんの!?」

 

「おまけにヘラすらも一目置く類まれなる神格者らしい!

 まさか下界に降りておったとは……彼女ならば安心じゃ!」

 

新興ファミリアがいきなり大勢の眷属を持つケースは稀だ。

同郷の者が揃って願い出るでもない限りは、ファミリアは神一人眷属一人から始まる。

二人三脚で足並みを揃えて歩きながらファミリアとしてのノウハウを積んでいくのが基本だ。

もし彼女がすでに眷属を迎えていたらベルは断られてしまう可能性が出てくる。

いつになるかわからないので二人目を迎えてもよいと思えるまで待つのも難しい。

なのでヘスティアには悪いが、ヒノカミはまだ彼女に眷属が見つかっていませんようにと願った。

 

説明を終えた頃にはすでに二人は屋台通りへとたどり着いていた。

普通の人間が出せる速度ではなかったが、神の恩恵を受けた冒険者が大勢いるオラリオでは誰も気に留めなかった。

 

「神の気配……いた!」

 

「あの()ですか?」

 

「おそらくな」

 

 

 

「はい、ジャガ丸くん4つね!

 ねぇねぇおばちゃん、よかったらボクの眷属にならない?」

 

「はいはいヘスティアちゃん、また今度ね」

 

「子供扱いするなぁー!ボクは神さまなんだぞぉーーっ!」

 

屋台の売り子をしている黒髪ツインテールの少女はヒノカミよりも小柄で。

 

「デッ………!?」

 

ヒノカミとは桁外れの豊満なバストを持つ女神であった。何あれメロン?

膝から崩れ落ちる寸前で踏みとどまったヒノカミに対し、ベルは立ち尽くしたまま呆けた表情で女神をずっと見つめていた。

 

「……どうした?」

 

「すごく、澄んだ色……見てるだけであったかくて……」

 

「……じゃな」

 

修行によりベルもまた相手の魂を見る超感覚を保有している。神であろうと例外ではない。

この世界で数多の神を見て来たヒノカミですらも、これほどまでに優しい光を放つ魂を見たことは無かった。

ベルもまた、主神と仰ぐならば彼女しかいないと確信し歩き出す。

 

 

「……あのっ!」

 

「あっ、いらっしゃいませー!

 ジャガ丸くん、いるかい?何味がいい?

 それともまさか……ボクの眷属になりにきてくれたり?」

 

「はい!僕は、神さまの眷属になりにきました!」

 

「あっはっは、そうだよねぇ……ボクの眷属に……ってえぇぇぇぇ!?」

 

「ベル・クラネルと言います!

 僕をヘスティアさまの眷属にしてください!!」

 

 

「嘘じゃない……夢じゃない……!

 うわぁ~~~~~~~ん!!」

 

 

今までよほどバッサリと断られてきたのだろう。

バイト中で大勢の民衆の前だと言うのに、ヘスティアは感極まって大声で泣き始めてしまった。

ベルは困惑して慌てているが、周囲の人々は暖かい拍手を送っている。

 

「よかったねぇ~ヘスティアちゃん」

 

「うんっ!ありがとうおばちゃん……!」

 

「……ったく、祝いの門出じゃしょうがないね。

 今日はもうバイトは上がりでいい。さっさと帰りな!」

 

「店長もありがとう!知ってるみたいだけど改めて……ボクはヘスティア!

 これからよろしくねベルくん!」

 

「はい!」

 

「じゃあ早速ボクの拠点で恩恵を刻もう!ついてきて!!」

 

ヘスティアはベルの手を引っ張って走り出す。

置き去りにされたヒノカミはベルの荷物を抱えてゆっくりと二人の後を追った。




外伝11『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。

リクエストにもあったので、未完結作品ですが挑戦します。
物語は1回目の戦争遊戯までを予定しています。
その辺りで原作乖離が大きくなりすぎるので、『俺たちの戦いはこれからだ!』になります。

というか、作者がその先やスピンオフをほとんど把握していません。
設定とか読みながら書いてますが参考媒体は基本は漫画。
ダンまち1~10,ダンまちⅡ1~6、ソードオラトリア1~15となります。
リューとかフレイヤとかゲームとかまでカバーできていません。
ご了承ください。
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