『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第21話

「藍染隊長が……」

 

「ボクらも信じられなかったけどね」

 

「えぇ。これを見ては流石に疑いようがない」

 

「彼女の言う通りだとしたら今回の件だけじゃない。

 100年前に浦原たちが尸魂界を追われたのも、およそ20年前に志波隊長が姿を消したことも。

 ……おそらく、ウチの海燕を死に追いやった不可解な虚も」

 

「そうですか……しかしなぜ彼は朽木ルキアさんを殺害しようと?」

 

「すまぬがその理由まではわからぬ。

 じゃが奴の行いが良い方に働いた試しはないとのこと。

 碌でもない事態にしかならぬじゃろう」

 

浦原はおそらく理由を知っているだろうが、敢えて伝えなかったということは余計な情報になると判断したからだろう。

胡散臭いが悪人ではない。意味もなく嘘や隠し事をしない相手だという程度には信頼している。

 

「今考えるべきは、どうやって奴の陰謀を阻むかということじゃ。

 処刑を止める方法はないのか?」

 

「尸魂界の司法は中央四十六室が決定します。

 処刑が藍染の陰謀だとすれば、ここはすでに彼の手に堕ちていると考えるべきでしょう」

 

「完全催眠なんて能力持たれちゃあ、証拠も何も抑えようがない。物理的に止めるしかないね」

 

「つまり、藍染を見つけ出してたたっ斬りゃあいいわけだ」

 

「それができれば苦労はしない。

 俺たちはすでに奴の術中。例え目の前にいても気付かないかもしれないんだぞ?」

 

「儂ら旅禍なら見破れるが、儂を含めて僅か5名。

 これで瀞霊廷をしらみつぶしにというのは……」

 

「じゃあ頭数増やすか?

 流魂街の連中まで催眠かけられちゃいねぇだろ」

 

「莫迦を言うな!非戦闘員を危険にさらせるわけがないだろう!」

 

「アタシや剣ちゃんがいたところなら、乗り気になる奴も一杯いると思うけどねー?」

 

「……あぁそういや君らの出身は……どっちにしろ却下だ。足手まといにしかならないよ」

 

「そうですね。どこまで藍染の手が及んでいるかわからない。

 我々だけで対処する方法を考えましょう」

 

隣互はその場にいた者たちに、記憶している浦原の情報を可能な限り明かす。

鏡花水月にて相手に催眠にかける条件は始解の発動を見せること。

故に目が見えない九番隊隊長の東仙は間違いなく黒。

彼の親友である七番隊隊長の狛村はグレー。

二人とも尸魂界の平和と正義に尽力する高潔な武人だそうだが、そんな相手ですら信用できない状況というのはなかなか辛い。

三番隊隊長の市丸は露骨に怪しく、高確率で黒。

確実に白と言えるのは山本総隊長くらいだ。

せめて彼との戦いは避けたいが……。

 

「山じいの説得ねぇ……できると思う?」

 

「「「……」」」

 

隊長副隊長全員が一斉に沈黙する。

『護廷十三隊隊士ならば正義の為に死すべし』と断言する御仁だ。

明確な説得材料がなければ聞く耳を持つまい。

多少疑念を持たせたとしても『疑わしきはすべて斬る』だろう。

 

「……うん、山じいのことは置いておこう。

 まずは双殛への対処だね」

 

「具体的にどのような処刑方法なのじゃ?」

 

「罪人は巨大な磔架にかけられ、真の姿を開放した双殛の矛……燬彀王(きこうおう)に貫かれることで刑の執行となります。

 斬魄刀百万本に匹敵する破壊力を持つ、巨大な炎の鳥を象ったものです」

 

「……炎の鳥?」

 

「それは俺がなんとかしよう。

 封印されている四楓院家の秘宝を持ち出せば、破壊できるはずだ」

 

「いや、であれば一つ試したいことがある。

 念のため秘宝とやらの準備は進めてもらいたいが、しばし破壊を待ってもらえぬか?」

 

隣互は思いついた作戦をその場にいた全員に説明する。

 

「そんな……できるのか?」

 

「やってみなければわからんが、成功すれば事態は好転する」

 

「そらまた大博打だ。だが打つ価値はありそうだね」

 

「おい、その後で俺とやり合おうぜ?」

 

「わきまえなさい、更木隊長」

 

ひとまず全員の了承を得て、隣互の案は採用となった。

 

処刑当日の大まかな作戦が決定。

まず浮竹は双殛を破壊するための準備をした上で処刑の場に参加。京楽も同席し、ことが始まれば他の死神たちからルキアを護りつつ脱出。

剣八は捕らえられている旅禍……隣互の仲間たちを開放しつつ暴れて視線を集め、処刑場に向かう敵の数を減らす。

卯ノ花は警備が手薄になる隙に中央四十六室へと向かう。

流石に処刑当日にもなればここは藍染にとっても無用の場所になるはず。

奴の悪事の証拠を探し、可能であればこれを公の場に暴く。

隣互はあらかじめ決めていた夜一との合流地点に向かい、こちらの状況と作戦を説明し協力を願う。

そして残る旅禍の戦力と共に処刑の場に乱入。

あとは処刑執行までの数日間は、けがの治療や準備に充てる予定だった。

 

しかし翌日、朽木ルキアの処刑執行を明日の正午にまで早めるとの通達が届く。

どうやら一護がルキア奪還にあと一歩にまで迫ったらしく、それを受けてとのこと。

だがそれがなくともどうせ何らかの理由をつけて処刑を早めただろう。

浮竹は秘宝の封印解除を急ぎ、剣八は騒動を大きくするため隊舎に戻って部下たちに声をかけ、隣互は夜一の拠点へと走った。

そこでは一護と、こちら側に付くことにしたらしい恋次が卍解の修行に取り組んでいた。

彼らが卍解を習得できれば味方につけた隊長4名と隣互、夜一と併せて、こちら側の隊長レベルの戦力は8名になる。

藍染の勢力がどう動くかはわからないが、人数的には護廷十三隊側とはほぼ五分だ。

 

そして夜が明け処刑執行当日。決戦が始まる。




主人公はルキアの中に崩玉があることまでは知りません。
そして次回は一気に処刑当日。
参列者は原作と少し異なります。一番の違いはやはり主人公の参戦です。
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