『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

81 / 789
双殛の丘での決戦前に、各勢力の動きを簡単に書いておきます。


第22話

処刑当日の朝、剣八は十一番隊で匿われていた織姫、副隊長のやちる、部下の一角と弓親を伴い旅禍が捕らえられている牢を襲撃。

隣互の仲間である彼らを脱獄させ、引き連れて走る。

剣八の役目は死神達の注意を引きつけ、処刑場に参加する護廷側の戦力を減らすこと。

それが終われば彼は自由にしていいと言われている。

彼自身の目的のためにも、目指すは処刑場だ。

霊圧を垂れ流して進めば邪魔が入るだろうと考えていた。

そして予想通り隊長二人と副隊長二人の計4人、藍染に与している可能性が高い狛村と東仙が釣れた。

処刑場への道ではなく、間違えて辿り着いた行き止まりの広場でだったが。

 

「ハッ!できりゃあテメェらを相手にしろと言われてたんだ!

 都合よく出てきてくれて助かったぜ!」

 

「『言われた』、だと?

 ……どうやら君以外にも裏切り者がいるようだな」

 

「裏切り者ねぇ……テメェがそれを言うか?

 ……藍染の野郎と連るんでコソコソやってたテメェがよ!」

 

「!?」

 

「東仙?」「隊長?」

 

「……何を言っている?」

 

「お、その反応はやっぱり黒か。

 んで狛村や部下の方は白みてぇだな」

 

「やーい!引っかかった引っかかったー!!」

 

「っ!?貴様らぁ!!」

 

相手が他の隊長なら東仙はここまで動揺しなかっただろう。

しかし暴力に支配された獣と見下していた剣八からの追及だったために驚愕を隠しきれず、露骨に反応してしまった。

狛村は穏やかで争いを嫌う親友の豹変に面食らうが、更に霊圧を強めた剣八に向き直る。

 

「まぁ黒だろうが白だろうがどうでもいい。

 ……一角、弓親。副隊長の二人はくれてやる」

 

「!?いいんですか!?」

 

「相手を譲ってくれるなんて、珍しいじゃないッスか隊長」

 

「確かに楽しみてぇところだが……手間取ってるうちに見逃しちまったらもったいねぇからな」

 

剣八が眼帯に手を伸ばす様子を見て、一角たちは息を呑む。

直後、剣八から膨大な霊力があふれ出し周囲を威圧した。

 

「やちる、そいつら連れて先に行け。追いつくまで、俺の代わりに隣互の奴を見ておけよ」

 

「……りょーかい!待ってるからね!剣ちゃん!」

 

「あぁ、すぐ行く」

 

普段の狛村ならば、自分たち二人相手に大口をと憤るところだろう。

しかし今の剣八からは大言壮語と言い難い霊力があふれ出している。

 

「おら、さっさとかかってこい。今はテメェらと遊ぶより、見てぇモンがあるんだよ」

 

 

 

一足先に卍解を習得していた恋次は、懺罪宮へと向かう道で待ち構えていた朽木白哉と相対する。

しかし恋次は急激に成長したとはいえ未だ白哉には追いついておらず、使い慣れていない卍解の巨大さに振り回され、白哉の卍解により敗北した。

 

「なんでだ……隊長……アンタだって、ルキアを助けたいんじゃないのか!?」

 

「……肉親の情など、掟の前では」

 

「そんなもんにしがみついて、何になるってんだ!

 俺はもう、大切なモンから目を逸らさねぇ!!」

 

血まみれになった体とボロボロの刀で、なおも挑む。

しかし寸前で刀は折れ、恋次は白哉の前で力尽き倒れた。

 

「……私と貴様では、掟の重みが違う。

 貴族(我ら)が掟を守らずして、誰が掟を守るというのだ……!」

 

恋次の血で汚れた帯を彼の上へと放り投げる。

しがらみに捕らわれず自由に振舞う彼を、白哉は一瞬だけ羨むように見ていた。

 

 

 

「どちらに行かれるのです?日番谷隊長」

 

「!?卯ノ花隊長……アンタこそこんなところで何してる?」

 

彼らが出会った廊下の先にあるのは中央四十六室が控えている中央地下議事堂。

旅禍の襲撃から間もなく厳戒態勢に入り、隊長たちでさえ近づくことすら許されなくなっている場所だ。

中央四十六室の決定を訝しんだ日番谷は、処刑執行当日に手薄になる隙をついて強行突破をするつもりだった。

しかしそれを阻むように現れた卯ノ花に、彼女が黒幕ではないかと疑念を持ち背中の刀に手をかける。

その内心を読んだ卯ノ花はしばし悩み、思い至った。

 

「……そういえば、アナタ方は志波隊長の部下でしたね」

 

「……だからなんだってんだ?」

 

「信用できるということです。私が知り得る限りの情報をお教えしましょう。

 ……アナタも出ていらっしゃい、雛森副隊長」

 

卯ノ花が視線を向けた先の空間がひび割れ、中から十番隊隊舎に置いてきたはずの雛森が現れた。

 

「……シロちゃん」

 

「雛森……お前、なんで」

 

少し考えればわかることだった。

彼女は藍染を慕っており、彼が残したという手紙から日番谷が藍染を殺した下手人だと疑っている。

その日番谷が不審な動きをすれば、無理をしてでもついてくると予想すべきだった。

 

「雛森副隊長。藍染を殺したのは日番谷隊長ではありません」

 

「え!?だって、手紙に……」

 

「そもそも藍染は死んですらいません」

 

「どういうことだ!?」

 

「勇音、彼女に治療を。雛森副隊長はそれを受けながらで良いので聞いてください。

 藍染の死を偽装し、此度の騒動を引き起こした黒幕……それは、藍染自身です」




原作との差異

・更木剣八
隊長たちとの喧嘩は楽しみたいが、それ以上に隣互の策が成功するのか見たい。
よってさっさと済ませて向かうため最初から全力。

・朽木白哉
現世の一件で迷いがあり、無意識に手を抜いている。
恋次の怪我も原作より軽い。

・卯ノ花烈
事件の真相を知っているのでその前提で動いている。
日番谷と雛森に先んじて情報を伝えたので、この後の二人への衝撃が緩和される。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。