『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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卍解を習得した時点で一護にほぼ並ばれました。
隣互は6年かけたのにほんの数カ月で……。
やっぱり原作主人公にはかないませんね。


第23話 双殛の丘

正午となり、朽木ルキアの処刑が執行される。

副隊長以上は全員参列と命じてあるはずが、総隊長を除いてその場にいるのは二・六・八・十三のわずか4隊のみ。

しかも六番隊の副隊長は違反行為により投獄されたのち脱走、八番隊と十三番隊もなぜか隊長のみ。

十二番隊の涅マユリは旅禍との戦闘で負傷し治療中。五番隊の藍染惣右介は死亡。

十一番隊の更木剣八は旅禍を連れ出して暴れていると報告があり、それを抑えるために七番隊の狛村左陣、九番隊の東仙要が対処に当たっている。

そして三番隊の市丸ギン、四番隊の卯ノ花烈、十番隊の日番谷冬獅郎は音沙汰がない。

かつてここまで護廷十三隊が欠けたことはなかっただろう。

明らかに異常事態だというのに、それでも刑は執行される。

 

「双殛を、開放せよ」

 

朽木ルキアは磔架に捕らわれ宙へと浮かび、向かい合う巨大な矛から溢れ出た炎が形を変え、巨大な炎の鳥の姿……燬彀王となる。

ルキアは迫りくる嘴を前にしても脅えず、抗わず、ただ己が関わった全ての人々に感謝し涙を流した。

 

「さよなら」

 

そして静かに目を閉じる。

……が、一向に自分の体が焼かれる感覚がない。

困惑から目を開くと、彼女の目の前には。

 

「よう」

 

燬彀王の一撃を斬魄刀一つで受け止め、気安く声をかけてくる黒崎一護の姿があった。

斬魄刀百万本に匹敵する破壊力が込められた一撃を受けても微動だにしていない。

あまりの事態に、そこに居合わせたすべての者たちが困惑で動きを止めた。

この後の展開を聞かされていた浮竹たちですらも。

 

「やれ、姉貴!」

 

「おうさ!!」

 

更に上空から落ちてきた何者かが、燬彀王の首に何かを突き刺した。

 

『ギィィアアアアアアア!!!』

 

燬彀王の絶叫が瀞霊廷全域に響き渡る。

 

「なんだ!?何が起きている!?」

 

「た、隊長!なんか、双殛が!」

 

「……小さくなって……!?」

 

彼らの眼の前で巨大な炎の鳥が一点に吸い込まれていき、残された矛が地上に落ちて砕け散る。

後には巨大な炎の刀を携え、炎の渦と死覇装を纏った小柄な女の姿があった。

 

「あの者……『喰った』というのか……!?燬彀王を!?」

 

「……あっはっはっは!」

 

京楽が堪えきれず笑い出し、死神たちの視線が彼に集まる。

 

「まぁったく……『火の神(ヒノカミ)』とはよく言ったもんだよ」

 

「!?」

 

それは旅禍たちの先駆けとなって現れた侵入者が名乗っていた名。

言われてみれば、彼女の外見は報告された情報と一致している。

 

「京楽!貴様、何を知っている!」

 

二番隊隊長の砕蜂が問い詰めるが、京楽が応える前に響いてきた轟音で視線をそちらに取られる。

 

「双殛の磔架までも……破壊したのか……!?」

 

先ほど燬彀王の一撃目を受け止めた巨大な斬魄刀を持つ旅禍が、もう一方の双殛まで破壊し罪人を脇に抱えている。

そしてヒノカミとやらと共に地上に降りてくる前に、真っ先に二人の死神が駆け出した。

しかし二人は旅禍たちに斬りかかるでなく、直前で振り返り死神達から旅禍を庇うかのように立ちはだかる。

 

「浮竹……京楽……!?」

 

「……浮竹隊長?」

 

「ルキア……よく頑張ったな」

 

「アンタらが味方になってくれた隊長サンたちってことでいいのか?」

 

「そういうこと。……なるほど、どことなくお父さんに似ているねぇ」

 

「いや、むしろ海燕の方に似ているよ。ルキアが重ねてしまうのも無理はない」

 

「皆、無駄話はそこまでじゃ」

 

困惑から立ち直ったらしい死神たちは、旅禍と裏切者たちに厳しい視線を向けている。

 

「各々、手筈通りに」

 

「「「ああ」」」

 

一護は朽木白哉へと駆け出し、砕蜂は潜んでいた夜一が掴みかかり共に遠方へと離れていく。

浮竹と京楽もルキアを連れてその場を離れる。

そして隣互は。

 

「山本元柳斎重國殿と、お見受けする」

 

「……いかにも」

 

「一手、仕合うていただきたい!!」

 

膨大な霊圧と炎を放ちながら、他の死神達を威圧しながら山本総隊長の前に立つ。

山本の放つ怒気に彼の配下であるはずの死神たちも脅え竦むが、隣互は欠片も揺るがない。

 

「他の者を巻き込むのは本意ではない。場所を変えるがよろしいか」

 

「よかろう」

 

小娘とは言え、双殛の炎を取り込んだ相手に山本総隊長は油断はしなかった。

実際、その瞬歩の腕前は彼から見てもなかなかのもの。なるほど並みの隊士では相手になるまい。

隣互はあらかじめ聞いていた、周囲に人や建築物のない荒れ果てた区域に立ち止まった。

目の前には先回りし岩に腰かけていた山本総隊長の姿があった。

 

「……大層暴れておったそうじゃな。

 挙句あ奴らまで懐柔するとは、よほど口が上手いと見える。

 ……小童どもめが。尸魂界の正義を忘れるとは」

 

「否!彼らもまた正義のため、尸魂界のために戦っておる!

 儂ごときの口車に乗ったなどと、彼らを侮辱する言葉は慎んでいただこう!」

 

「これが正義と?……ほざくな、小娘」

 

山本は杖を斬魄刀の姿に戻し、柄に手をかける。

 

「万象一切灰燼と為せ、『流刃若火』」

 

そして斬魄刀を開放した。

これこそが全斬魄刀中最高の攻撃力を誇る、炎熱系最強最古の斬魄刀。

だがしかし。

 

「卍解『赫烏封月』」

 

隣互の持つ巨大な炎の刀が圧縮され、普通の刀と同じくらいにまで小さくなった。

山本は一目で隣互の斬魄刀の特性を理解した。

『全斬魄刀中最高の攻撃力』。

流刃若火の称号の一つは、今この瞬間に過去の物となった。

 

「……見事!」

 

同じく炎熱系の斬魄刀を扱うからこそ、山本は思わず感嘆の声を漏らした。

多少の力を手にし図に乗っただけの小娘という侮りは捨てた。

この瞬間、護廷十三隊最強の男は彼女を倒すべき敵と認めた。

 

「名乗れ」

 

「元・護廷十三隊十番隊隊長『志波一心』が娘にして、

 元・護廷十三隊二番隊隊長『四楓院夜一』が弟子。

 ……黒崎隣互」

 

「いざ……」「尋常に……」

 

「「勝負!!」」




主人公と能力的な相性が一番いいのは、氷を使う日番谷隊長より炎を使う山本総隊長。
個性により相手の炎を散らして操り、熱への耐性が図抜けているので。
ただ基礎スペックが違いすぎる……双殛でドーピングしてどこまで食らいつけるか……。
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