『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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カブトがいたりと差はありますが、今回は概ね原作沿いです。


第13話 波の国へ

 

「こいつらは霧隠れの抜け忍の……中忍ってとこか」

 

「へっ、こんくらいならオレとサスケで十分やれたってばよ」

 

「フン、でしゃばりが」

 

「そう言いなさんな。お前らの実力は疑っちゃあいないが、戦場には万が一がある。

 しかし霧隠れか……厄介だな」

 

出発開始から間もなく、早速襲ってきた忍びが二人。

サクラは慌てるがナルトとサスケは冷静に迎撃に動き、しかしその前にカカシが捕らえてしまった。

下忍としては飛び抜けて優秀でも、やはり上忍にはまだまだ及ばない。

 

「あの、なんで霧隠れは厄介なんですか?」

 

「霧隠れの忍びは苛烈でね。どんな犠牲を払ってでも任務を遂行するために戦い続けることで有名なんだ。

 霧の里では内乱なんかも珍しくないし、いわゆる『平和ボケ』した木の葉の民とは感性と覚悟が違うのさ」

 

「解説どーも、カブトくん。

 おまけに閉鎖的で排他的だから交渉でどうにかするのも無理だ。

 だから敵対する以上、息の根を止めるしかないんだが……」

 

「五代目様は甘いお方だからね……僕たち下っ端は苦労するよ」

 

「オレは今の方が気楽でいいけどね。相手が霧隠れでもなけりゃあさ」

 

綱手は木の葉の方針として『不殺』を貫いている。

暗殺の類の任務は受けず、例え敵対した忍びであっても『可能な限り殺すな』と厳命している。

他の里から木の葉への敵意を少しでも減らすためという理由はわかるしヒルゼンもそれを強烈に後押ししているが、後ろ暗い任務が仕事であるはずの暗部に勤めている忍びとしては悩みの種であるようだ。

 

よって本来なら倒した忍びは始末せず里に連れ帰るところだが、第七班はまだ任務を始めたばかり。

なので武装を奪って大木に縛り付け、念のためカブトが薬を飲ませて動けなくした。

後はカカシが口寄せで呼び出した忍犬を里に走らせれば、やがて木の葉からの応援が回収に来てくれるだろう。

 

「さぁて、任務続行だ。

 ……とはいえ中忍が失敗したとなると次は下手すりゃ上忍クラスが来る。

 よってお前らは引き続きタズナさんの護衛最優先だ」

 

「ちぇっ」

「チッ」

「ほっ」

 

「もしオレがやられたら、そん時は頼むよ」

 

「仕方ありませんね……ですが不殺の誓いは守れませんのでそのつもりで」

 

「……ま、当然だわね」

 

発言に根拠がない一般市民ならばともかく、直接対峙した忍びの前で力を振るったとなれば、暗部として目撃者は消さねばならない。

自分が追いつめられるような敵が来なければいいが、とカカシは願った。

 

 

そしてその淡い期待はすぐに裏切られる。

身の丈を超えるほど巨大な刀を掴んだ男が、波の国に辿り着いた直後の一行を強襲した。

 

「こりゃこりゃ……霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃあないですか」

 

「写輪眼のカカシと見受ける。……ジジイを渡してもらおう」

 

軽薄な言葉に反し、カカシはナルトたちが今までに見たことがないほどの圧を発している。

『霧隠れの鬼人』桃地再不斬はそれほどの相手だ。

霧の里にてクーデターを起こし『水影暗殺』を企てたが失敗、仲間を連れて逃走したとある。

五影とは策や奇襲で殺せる相手ではない。そして暗殺に失敗したとしても逃亡に成功している。

再不斬は五影に迫る実力を持つということの証明だ。

 

子供らには、荷が重い。そう判断したカカシは。

 

「オレと戦え」

 

自分以外に戦場に出ずタズナを守るよう改めて厳命し、前に出て額当てを持ち上げる。

親友の形見でありカカシの二つ名の由来である『写輪眼』が現れ、再不斬を鋭く貫いた。

 

「……そこのジジイを殺るには、お前を倒さなきゃならねェーようだな」

 

気付けば水面の上へと移動していた再不斬もまた、己の代名詞とも言える忍術を発動する。

 

「『霧隠れの術』」

 

一帯を不自然な濃霧が包み込み、その名の通り術者を霧の中に隠してしまう。

再不斬『無音暗殺術』の使い手。

己の姿を隠し音を消して忍び寄り、標的に一切気付かせぬまま命を刈り取る。

気付いた頃には殺されていた、などと言うことになりかねない。

カカシは右目を閉じ、左目の写輪眼だけに集中。印を組み油断なく周囲を睨みつける。

 

「ひっ……!?」

 

あまりに濃密な殺気にサクラが悲鳴を上げてしまう。

ナルトとサスケは冷静だがそれでも緊張し顔が強張っている。

カブトは胡散臭い笑みを少しだけ緩め、薄く目を開いている。彼としても油断はできない状況ということだ。

 

「安心しろ。お前たちはオレが守ってやる」

 

少しだけ後ろを振り向いたカカシは、子供らを心配させぬように朗らかに笑う。

 

「オレの仲間は、絶対殺させやしなーいよ」

 

 

『それはどうかな……?』

 

 

「「「!?」」」

 

姿を見せた再不斬の位置は、タズナを囲んで陣を組むサスケたちのすぐ傍。

既に巨大な首切り包丁を振りかざしており、サスケとナルトはすぐに迎撃の構えを取る。

すぐにフォローに入ろうとしたカカシの目の前で。

 

パシャッ

 

再不斬の体がはじけた。

水を媒介とし、影分身と同じく実態を持った分身を作り出す『水分身の術』で作った偽物だった。

宣言通り、再不斬はまずカカシを始末しようとしていた。

隙だらけのカカシの体が再不斬の横薙ぎにより両断される。

 

パシャッ

 

(水分身……!?この霧の中でコピーしたってのか!?)

 

「動くな」

 

『コピー忍者』の面目躍如と言ったところか。

カカシは分身にそれらしい振る舞いと臭い言葉を吐かせて本物のように誤認させ、襲撃を仕掛けた再不斬の更に背後を取り首筋に苦無を突き出す。だが。

 

 

「オレもそう甘かぁねーんだよ」

 

「!」

 

 

背後を取ったと思っていた再不斬もまた水分身。

斬撃を躱したが蹴りが続き、距離を取るためと敢えて受けてみればその先は海の中。

 

「バカが。『水牢の術』」

 

抜け忍ではあるが、水の国にあり水影を擁する霧の里の忍び。水辺は再不斬の独壇場だ。

カカシは水球に閉じ込められ身動きを封じられてしまった。

再不斬もその場から動けず腕の一つも使えないようだが、それでも忍術を使うことはできる。

 

「カカシ、お前との決着は後回しだ。

 まずはアイツらを片付けさせてもらうぜ」

 

片手で印を組み、またも水分身を作り出す。

本体に比べれば著しく戦闘力は劣るが、忍びになりたての子供など分身で十分と判断したのだろう。

 

「偉そーに額当てまでして忍者気取りか?

 だがな、本当の忍者ってのはいくつもの死線を越えた者を言うんだよ。

 お前らみたいなのは……忍者とは呼ばねェ……ただのガキだ!」

 

水分身がタズナを囲む子供らに襲い掛かる。

 

だが彼らを弱者と決めつける再不斬の振る舞いが、一人の逆鱗に触れた。

 

「うるせェよ」

 

「サスケ!?」

「サスケくん!?」

 

タズナの傍を離れ前に出たサスケが水分身を一撃で葬る。

 

「ホー、水分身を見切るか。

 ガキの割にはいくらかやるらしいな。

 ……だが所詮、ガキはガキだ」

 

「サクラ、カブト、じいさんを守ってろ。

 ナルト、テメェもまだ手ぇ出すんじゃねぇぞ」

 

たった今水分身の一体を切り裂いた苦無を構え、再びぞろぞろと湧き出た水分身とその先にいる再不斬を睨みつける。

 

 

「コイツは……オレがヤる!」

 

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