『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第16話 中忍選抜試験

 

事実上名ばかりだったBランク任務を終えて木の葉に帰ってきたナルトたち第七班は、綱手の進言を聞き入れ任務を減らし始めた。

そしてできた時間を、下忍になってからはご無沙汰だった本格的な修行に当てた。

 

サスケとナルトは再不斬を相手に活躍したが、できたのは水分身への対処と意表を突いた程度。

正面からの戦いになれば二人がかりでも再不斬には敵わなかっただろう。

サクラにいたってはただ見ていることしかできなかった。

対してカカシは出し抜かれたが再不斬と互角の戦いを繰り広げた。

そしてヒノカミという埒外の強者の力を目の当たりにした。何度も見て来たナルトも、自分が当時よりもずっと強くなったからこそ力の差がわかるようになってしまった。

子供たちは波の国での任務を経て、自分たちが圧倒的な弱者だと自覚したのだ。

 

ナルトとサスケがアカデミー時代から使っているという里の外れの修行場。

そこにサクラも混じるようになり、『4人』の少年少女たちは組手や鍛錬に励む。

 

「そ、そういえば第七班は、『中忍試験』はどうするの?」

 

「「「は?」」」

 

ある日、この中では唯一班が異なる日向ヒナタがナルトたちに尋ねる。

突然振られた脈絡のない話に第七班の3人は思わず聞き返す。

 

「中忍試験……何のことだってばよ?」

 

「えっ?『中忍選抜試験』だけど……?

 紅先生から『もうそろそろだし推挙はしておくから考えておきなさい』って……。

 キバくんなんかものすごくやる気になってて……」

 

 

 

 

「「「…………カカシィ!!!」」」

 

彼等は翌日、今日も当たり前のように数時間遅刻したズボラな担当上忍を問い詰める。

 

「あー、もうそんな時期だっけか?」

 

「アンタも知らねーのかよ!?」

 

「正式な通達はまだだからねぇ」

 

「だとしても時期はわかってたんですよね!?」

 

「まぁまぁ、ちゃんとお前たちを推薦しておくから」

 

「「「……!?」」」

 

「ん?こうして聞いてきたってことはやる気があるんでしょ?」

 

聞き返したカカシにナルトとサスケは獰猛な笑みを浮かべるが、サクラは目を伏せ視線を逸らす。

彼女もアカデミーでは非常に優秀でかつては相応の自負もあったのだが、サスケたち二人に加えヒナタとの差まで思い知らされるようになり明らかに自信を喪失していた。

臆病でアカデミーではいつも自信なさげだったヒナタが、組手でサスケに迫る強さを見せたことでポッキリと折れてしまっていたのだ。

 

そんなサクラの内心に気付かぬふりをしてカカシは説明を続ける。

試験は木の葉とその同盟国である砂、そしてそれぞれに隣接する周辺の小国の忍びが集まり合同で行われる。

予選開始から全行程終了までの期間は一ヵ月を超え、本戦には木の葉の外からも大勢の観客が訪れること。

受験は強制ではなく、当人の自由意思による。何しろ普通に命を落とすこともある危険な試験だからだ。

 

「ま、今は綱手様がいるから生き返れるかもしれないけどね。

 でもだからこそ木の葉で開催する試験の参加者は年々増加傾向だ」

 

「……試験自体は簡単にはならないが、落ちても生きて帰れる確率が高いからか」

 

「そういうこと。今年も各国から選りすぐりの下忍たちが集まる。

 合格率は1%どころじゃないだろねぇ」

 

「「「……!」」」

 

「それに綱手様の蘇生術も絶対ってわけじゃあない。

 だからま、どうするかはお前たちの自由だ。よく考えときな。

 ……そんじゃ、今日の任務だ。張り切っていくぞー」

 

「オッス!」

「フン!」

「…………」

 

その日以降、ナルトとサスケは任務も修行もやる気に満ち溢れていたがサクラは心ここにあらずと言った様子だった。

 

断言するがサクラは優秀なくノ一である。

両親は忍びではなく一般家庭の出身だが、だと言うのに他の生徒を追い抜いてアカデミーの卒業試験をパスし、里の忍びたちも一目置くナルトとサスケに曲がりなりにもついていっている。

波の国での任務とその後の修行を経て自分の進むべき方向性も定まりつつあった。

だがそれでも、自信が持てない。

 

そんなモヤモヤした時間がしばらく続いたある日。

 

「その額当て……砂の忍び?」

 

「あぁん?そういうお前らは……木の葉の下忍じゃん?」

 

今日の任務を終えいつものように修行場へと向かっていた第七班の3人は、全身黒ずくめで歌舞伎染みた化粧を施した男と、巨大な扇子らしきものを背負った女と出会う。

二人がつけていた額当てには木の葉ではない図柄があった。

同盟国とはいえど他里への忍びの出入りは厳しく制限されている。だというのに砂の忍びがこうして木の葉の往来を歩いているということは。

 

「なぁなぁ!お前らって中忍選抜試験を受けに来たのか!?」

 

「馴れ馴れしいやつじゃん……あぁそうだよ」

 

「っしゃーーー!ついに来たってばよぉーーー!」

 

「やかましいガキだな」

 

「悪いな、ウチのウスラトンカチが迷惑かけた」

 

「あ、あぁ……」

(結構、いい男じゃない……)

 

「オレたちも試験に参加する。お前たちとも敵同士だ。

 ……せいぜいオレらとぶつからないように祈っておくんだな」

 

「フン……口だけの奴じゃないことを祈ってるじゃん」

 

「っし!最後の追い込みだってばよ!修行に行くぞ!

 そんじゃあ試験場で会おうぜ!」

 

ナルトは砂の忍びの二人に背を向け走り出し。

 

 

「『そこの木の上にいる奴』も、またな!!」

 

「「!?」」

「ほぅ……」

 

「えっ、えっ?」

 

隠れている『三人目』に声をかけた。

サクラは狼狽えるがサスケは気付いておりニヤリと笑ってナルトの後を追う。

 

「我愛羅の隠形を見抜いてやがった……あんな喧しいだけのガキが……!?」

 

「面白い……おい女。あの二人の名前を教えろ」

 

置いてけぼりになってしまったサクラに、大きなひょうたんを背負った少年が姿を見せる。

 

「うずまきナルトと……うちはサスケよ」

 

「……くっくっく、覚えたぞ。

 オレは『砂瀑の我愛羅』。奴らに伝えておけ。

 ……いくぞ。テマリ、カンクロウ」

 

「……あぁ」

「お、おう……」

 

(コイツ、ヤバイ……!)

 

砂の三人組が背を向け立ち去るまで、サクラはその場を動くことができなかった。

特にあの少年のひょうたん。あの中からとんでもなく濃密な『血の匂い』がする。

一体どれほどの人の命を吸い込んできたのだろうか。

 

(あんな奴が試験に……サスケくんを狙ってくる……!?)

 

だが我愛羅という脅威を前に、サクラは逆に己を奮い立たせた。

 

(……よし!)

 

自分にも何かできることはあるはずと走り出す。

 

そして中忍選抜試験当日。

カカシからの推薦状を持った第七班の三人は、アカデミーの試験会場へと向かう。




波の国の戦いが途中キャンセルされてしまったので、カカシの出番が減ってしまいナルトたちからの評価が微妙に低いままになっています。
勿論、上忍なりに強いってことは理解しているんですが……。
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