『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第18話 第二の試練

 

イビキは第一の試験の本当の目的を説明し始める。

この試験で試験官が受験生たちに求めていた物は二つ。

 

一つ目は『情報収集能力』。

敵や第三者に気付かれた状態で手に入れた情報は既に正しい情報とは限らず、誤った情報は時に里や仲間を危険に晒す。

故に9問目までの問題はその能力が明らかに劣っている者……無様なカンニングを行った者を落とすため。

 

二つ目は『決意』。

どんな問題かが明かされていない第10問目を『任務』に置き換えるとしよう。

任務の詳細は不明。失敗すれば仲間を危険に晒し命を失う。

ではその任務を避けて通れるのか。答えは『否』だ。

不確定な未来に脚をすくませ、『次がある』などと諦めていく者に中忍になる資格なし。

この10問目を『受ける』と決断すること自体が、10問目の正答だった。

 

「だがまさか『自力で問題を解こうとした』上に、『国際情勢』と『施政者の視点』から正解に辿り着く者が現れるとは思わなかったがな。

 ……クククッ、黙っていればライバルを減らせただろうに」

 

「!?そうよ!ナルトのバカー!!」

 

「ご、ごめんってばよぉ!」

 

そう言ってナルトを責めるサクラもまた、自力で問題を解いてしまった側である。

 

「想定外の事態により確かめることが叶わなかったため直接伝えるが……。

 『ここ一番で仲間に勇気を示し、苦境を突破していく能力』。

 それこそが中忍という部隊長に求められる資質だ。

 これから出会う困難を前にした時、今日ここでのことを思い出してほしい。

 ともあれ、第一の試験は終了だ。キミたちの健闘を祈る!」

 

最後にイビキが抱いていた願いを伝えた途端に。

 

 

ガシャァァン!!

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

何かが試験場の窓を突き破り乱入してきた。

苦無を使って壁いっぱいに広げた巨大な横断幕を背にした何者かが怒鳴る。

 

「私は第二試験官『みたらしアンコ』!

 次行くわよ次ぃ!!」

 

「「「「「………………」」」」」

 

沈黙が場を支配する。本人としては力強さと勇ましさを見せつけたかったのかもしれないが、唐突過ぎて誰も展開についていけなかった。

 

「空気読め」

 

「ぐっ……26チームも残したの!?

 今回の第一の試験……甘かったのね!」

 

「今回は……予想以上に優秀な奴がいてな」

 

「フン!まぁいいわ。

 次の第二の試験で半分以下にしてやるわよ!

 詳しい説明は場所を移してやるからついてらっしゃい!」

 

物騒な発言を繰り返すアンコに連れられ、生き残った受験生たちは会場を後にする。

 

そして案内されたのは木の葉の里第44演習場、通称『死の森』だった。

金網で仕切られた不気味な森を背に、アンコは受験生たちの前に同意書を突きつける。

 

「火影様のご命令で積極的な殺しは禁止ってことにさせてもらうけど、それでも死人も出るだろうし。

 肉食動物もいるから遺体が食われて蘇生できなくなる事態もあるだろうし。

 同意をとっとかないとアタシのせいになっちゃうからさ~~」

 

「「「「「………………」」」」」

 

ドン引きしている受験生たちを無視してアンコは説明を続ける。

 

第二の試験は『極限のサバイバル』。

半径10キロの演習場の外周部各所にあるゲートより入場し、中央にある塔を目指してもらう。

勿論、ただ辿り着けばよいわけではない。

各チームにどちらか一つだけを配布する『天の書』と『地の書』。

不足している分を他のチームから奪い取り、この『両方』を持って3人全員で、120時間以内に辿り着くこと。

現在この場には26チームがいる。天の書と地の書の数はそれぞれ13個ずつ。

よって必然的に半数は絶対に不合格になるということだ。

巻物の奪い合いによる負傷や過酷な環境に耐え切れぬ者も出てくるだろうから実際には更に少なくなる。

 

続いて失格条件。

まず一つ目、上記の合格条件を満たせなかった者。

二つ目は班員が欠けてしまった者。

そして三つ目は『塔の中に辿り着く前に巻物の中身を見てしまった者』。

 

「最後にアドバイスを一言。……『死ぬな』」

 

3人分の同意書と引き換えに巻物の一つが手渡され、それぞれが指定されたゲートへと移動。

やがて時間が訪れる。

 

 

「これより中忍選抜第二の試験、開始!」

 

 

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!

 

各チームが一斉に行動を開始し、早速衝突が起きたようだ。不気味な森に悲鳴が響き渡る。

 

第一の試験で目立ったナルトに狙いを定めて襲い掛かる者も現れた。雨隠れの忍びだ。

だが気配を消すために単独で訪れたことが仇となり、ナルトとサスケに取り押さえられる。

 

「ぐっ……コイツは、アンラッキー……」

 

「巻物を持っているのは仲間だな?どこにいる?」

 

「答えると思うか……!?」

 

「答えないならこの場で再起不能になってもらう」

 

この試験では3人の内誰か一人が動けなくなった時点で失格だ。

サスケ達にこの場で仕留められた時点でこの雨隠れの忍びのチームは敗退が確定する。ならば大人しく巻物を渡して次の機会を狙う方がまだ可能性がある。

そしてサスケたちもこの襲撃者を見逃す理由がない。

大人しく巻物を差し出すならば見逃しても良いが、応じなければ両手足の骨をへし折る覚悟だ。

第七班が持っているのは『天の書』なので相手も同じだとすれば重複してしまうが、保険にはなるし他のチームとの交渉にも使えるだろう。

同期のチームとなら協力体制を築くこともできるかもしれない。

 

「もう一度言うぞ……巻物を渡せ……!」

 

「…………!」

 

見苦しく無言の抵抗を続ける雨隠れの襲撃者に対し、サスケは突き出した苦無をゆっくりと近づける。

 

 

その場を突如として猛烈な風が吹き抜けた。

 

「新手かっ!?」

「キャァァァッ!!」

「サクラちゃん!」

 

まだ体の小さいナルトたちを吹き飛ばすほどの突風。こんなものが自然に発生するはずもない。

ナルトとサスケは足裏にチャクラを集中させて踏ん張るが、サクラは単純に出力が足りず吹き飛ばされてしまう。

やむなく二人も飛ばされたサクラを追いその場を離れた。この隙に同じく吹き飛ばされた雨隠れの忍びは別方向へと飛びこの場を離れていく。

 

「大丈夫か、サクラちゃん」

 

「あいたたた……えぇ、なんとか……」

 

「気を抜くなお前ら……来るぞ!」

 

二人がつられてサスケが見上げる方に視線を向けると。

 

「「でっっか!?」」

 

「散れぇっ!」

 

人間など一呑みにしてしまうほど巨大な蛇が鎌首をもたげており、その巨大な口が迫る前に3人はその場を離れる。

同時に3人は一斉に手裏剣や苦無を蛇の頭部へと投げつけた。

 

ザクザクザクザクッ!!

 

鱗に突き刺さり舌を斬り落とし眼球を貫き、大蛇は絶命する。

 

「フフフ……いい動きね。思ったより楽しめそうだわ……」

 

「なっ、人!?」

 

「こんなデケェのが野生でいるはずねぇとわかっちゃいたが……!」

 

「コイツの口寄せだったのか……!」

 

大蛇の頭部を内側から食い破って人影が現れる。草隠れの額当てをした長髪長身の忍びだ。

おそらく彼であるその忍びは巻物を掲げる。

 

「私の『地の書』、ほしいでしょ?

 貴方達は『天の書』だものねぇ……」

 

なぜ第七班が預かった巻物がどちらかを把握しているかはこの際どうでもいい。

男は巻物を自分の目の前に持ち上げ。

 

「「「……!?」」」

 

一口に飲み込んだ。

 

 

 

「さぁ、始めようじゃない……巻物の奪い合いを……命懸けで」

 

 

 

男の眼球から発せられた殺気が3人を射抜く。

まるで幻術にかけられたかのような濃密な『死』のイメージが叩き込まれた。

 

「ぎっ……!?」

「ぐっ、うぅぅぅ……っ」

 

ナルトとサスケはかろうじて耐え、恐怖で震えながらも苦無を構え睨み返す。

だがサクラは涙を流してその場に崩れ落ちてしまった。

 

「なんだってばよコイツ……!?」

「下忍なはずがねぇ……次元が、違いすぎる……!」

 

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