『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

857 / 857
第29話

 

まずは、一般市民に扮して木の葉に潜入している砂と音の忍び。

どちらも当日朝に明かされた情報を元に、中忍試験会場にいない者には木の葉の暗部を配置。動き出した直後に対応させた。

約束通り音の忍びには『今回の件は茶番であり本気でやりあう必要はない』と伝わっている。

その場にいる砂の忍びに見せつけるため戦闘そのものは行っているが、見た目が派手なだけで木の葉にも音にも負傷者はほぼ出ない。

 

続いて、東口に口寄せされる大蛇。

こちらは倍化の術で巨大化できる秋道家の現当主を中心とし、奈良家と山中家を始めとした補佐役を多くつけている。

大蛇を口寄せしたのは大蛇丸だが、彼が育てて来た音の忍びと異なり忠実な部下というわけではないため自分勝手に暴れ出す可能性がある。

よって暗部の長にして元火影であるヒルゼンもこちらに参戦させた。

大蛇丸からも『暴れるようなら始末して良い』とも許可を得ている。

 

そして西口から侵入を試みる砂の忍びおよそ100名。

本当は砂の忍びも東口から、大蛇が暴れる隙に侵入する手はずだったのだ。

しかし大規模戦闘の中で飛び込まれると侵入を完全に防ぐのは難しいため、大蛇丸が適当な理由をつけて『逆の西側から攻め入る』ことを砂に提案し了承させてある。

こちらの砂の忍びは本当の敵で、死に物狂いで襲ってくる。

だから里の戦力のほとんどは西口に集中させた。

 

残るは、木の葉の中で暴れさせる役の我愛羅と火影を始末する役の大蛇丸。

後者は現在、部下を引き連れて試験会場中央の物見やぐらの上で綱手と向かい合っている。

大蛇丸は刀を抜いており、傍から見れば一触即発のように思えるが……。

 

「……飛雷神、だと!?何故ナルトがあの術を……!?」

 

「なるほど。観客が大勢いる場から人柱力を引き離すならそれがベストよねぇ。

 ……綱手、アナタ何も聞いていなかったの?」

 

「自来也とカカシの奴が『こちらで策を練るので任せておけ』と言うから……」

 

会場の様子を見下ろしながら普通に雑談していた。

 

「ハァ……相変わらずアナタは妙なところが鈍いわねぇ……。

 日向の娘の螺旋丸、ナルトくんとサスケくんの飛雷神、そしてナルトくんの出生。

 ここまで揃えばあの子たちの師が誰かわかるでしょう?」

 

「何!?サスケの奴も飛雷神の術を……っ!?

 そういうことか!だが何故、どうなって……」

 

「アナタのお師匠だという化け物の仕業でしょうよ。

 まぁ私も詳しくは知らないのだけれど……どうせ後で自来也を問い詰めるんでしょう?」

 

「そうするとしようか」

 

「わかったら後で私にも教えて頂戴な。ではこちらもそろそろ始めましょう。

 だけど……本当にいいのかしら?」

 

「あぁ構わん。砂隠れだけでなく、木の葉を敵視する連中に思い知らせる良い機会でもある」

 

木の葉崩しにおいて大蛇丸は綱手を倒し仕留める役ということになっているが、本人にそのつもりがなく適当に時間稼ぎさえすればいい。

何なら示し合わせて幻術を映すだけでもいいだろう。

だが綱手は大蛇丸との全力での戦いを望んだ。しかも1対1でなく彼の後ろにいる部下4名と治したばかりの君麻呂も含めて、1対6だ。

おまけに『もし大蛇丸が勝てたのなら要求を一つ追加して良い』という条件付き。

無論、互いに一線は越えないとも約束している。

 

「あらそう、なら存分にやらせてもらうわ……!」

 

大きな餌につられて大蛇丸が動き出す。

彼も綱手の実力が、かつての彼女を大きく上回っていることを理解している。

それでもこの人数ならば十分に勝ち目があると判断していた。

 

 

ボゥッ!!

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

その考えが甘かったと、綱手が炎を纏った瞬間に悟った。

彼女が強いことを理解していても、どれほど強いかを理解していなかった。

 

(なんて力……尾獣なんてとうに超えてるじゃない……!

 それこそ砂と音の全てを注ぎ込んでようやく、綱手一人を止められるかどうか……!?)

 

そして木の葉の忍びは綱手を守るために死力を尽くすだろうし、綱手が生き残っている限り木の葉の忍びは何度でも蘇る。

綱手が火影である限り、木の葉崩しなんて最初から成功するはずがなかったのだ。

 

綱手が預かった天神武装は、本来ならとっくに第三段階に達していてもおかしくないレベルにまで燃え盛っている。

だが徒手空拳が主体である彼女は特別な武装を求める理由がなく、むしろ第一段階を極限まで鍛え上げた方が自分のスタイルに合っていると判断した。

だから敢えて段階を進めぬまま炎を練り上げて来た。

本来はチャクラをため込む印として研究していた『白毫』を活力の炎もストックできるように組み換え、自己強化及び自己活性の出力と持続時間を限界まで伸ばしてきた。

 

「故に長年ため込んできた炎が尽きるまで、私は不眠不休で戦えるし死ぬこともない」

 

「……ちなみに、どれくらいため込んでいるのかしらぁ?」

 

「そうだな……これから蓄積することを止めたとしても、普通に生きるだけなら30年はこのままだな」

 

「……『このまま』?……まさかっ!?」

 

今までで一番の驚きを見せる大蛇丸に、綱手は不敵に笑う。

 

 

「そういうことだ……私は一度たりとも、この姿が『変化』だと言った覚えはないぞ?」

 

 

ヒノカミが編み出し綱手に託された『天神武装』には『霊光波動拳』の要素も含まれている。

その使い手は出力を高めることで肉体が活性化し一時的に全盛期の姿……つまり『若い姿』になるわけだが、ならば活性化した状態を常に維持できるだけの出力があれば『その間は老化が止まる』わけだ。

綱手の実年齢は50を超えるが外見年齢は20代半ば。

これは若作りではなく、その頃に肉体が老け止まったからだ。

 

すなわち綱手は、己がそうあろうとする限り『不老不死』である。

大蛇丸が外道に落ちぶれてでも手に入れようとしたものを、綱手はとっくに手にしてしまっていたのだ。

 

「……どうやらこの勝負、意地でも勝たなくちゃいけなくなったみたいねェ……!」

 

「そうするといい。私に勝てたならば、ヒノカミを紹介してやろう」

 

「私に『死ね』と?」

 

「クク、冗談だ。……非道でない方法でなら、お前の不老不死の研究に手を貸してやる」

 

「二言はないわね?……行くわよ、お前たち!」

 

「「「「「はっ!大蛇丸様!」」」」」

 

遂に両雄が激突し、そのチャクラと衝撃が木の葉の里全土に響き渡る。

木の葉も砂も音も関わらず、里にいた忍び全てが『最強の火影』の力を思い知ることとなる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

異世界ントム(作者:色々残念)(原作:クロスオーバー)

現代日本から生まれ変わり、ドラゴンクエストモンスターズの世界でモンスターマスター兼波紋使いとなって、ポケットモンスターの世界で波導使いにもなった波紋と波導の使い手が、ダンまち世界で幼馴染みのフリュネと生き抜いて大往生してから、また別の世界に生まれ変わり続けていく話▼ちなみにそれぞれの世界で相棒ポジションとなるのは、個性的な相手になる


総合評価:1660/評価:8.19/短編:64話/更新日時:2026年07月26日(日) 17:54 小説情報

どうしてこうなった? 異伝編(作者:とんぱ)(原作:色々)

 この作品は、HUNTER×HUNTERの二次創作として投稿している「どうしてこうなった?」という作品の続編です。一応本編を読んでいない方も問題なく読めるとは思いますが、たまに訳が分からない事もあるかもしれません。また、主人公使い回しという地雷要素や、複数の異世界転生という地雷要素を気にされる方は閲覧にご注意ください。


総合評価:35461/評価:9/連載:118話/更新日時:2026年08月07日(金) 20:00 小説情報

ダンまち世界に闇の福音に転生して人類を導くのは間違っているだろうか(作者:魔法少女(偽))(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

令和を生きたアニメやマンガが好きで多少の武道の心得がある社会人がトラ転して前世の武術やアニメの技術を教えたりして色々やらかしたり助けたりして超有名人になっていく▼※他作品のキャラや武器が登場したりします


総合評価:1296/評価:6.94/連載:14話/更新日時:2026年07月16日(木) 09:45 小説情報

嵐の夜に飛び立とう(作者:月山ぜんまい)(原作:HUNTER×HUNTER)

 原作知識有りの転生者が、原作開始の大分前にクルタ族の子供に憑依転生したが、憑依した相手は百〇丸なみに肉体を損壊しており、おまけにあっさり墓に埋められてしまう。▼ ←いまここ。`▼ さて、どうする?と、いう話。▼ 初っ端から胸くそ展開ですが、HXHなら有りだと、おもいきりました。▼ リベンジは薄め、主人公の目的は、生き残りとHXHの世界を楽しむ事。▼ 初投稿…


総合評価:18794/評価:8.53/連載:80話/更新日時:2026年06月12日(金) 00:00 小説情報

ダンジョンに超なアイツが来るのは間違いか?(作者:アゴン)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

▼これは、英雄の物語ではない。▼これは、神々の物語ではない。▼これは、初っ端から色々とやらかしてくれた眷族と主神による。▼やらかしの物語である。


総合評価:15362/評価:8.32/連載:145話/更新日時:2026年08月25日(火) 23:26 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>