地獄!?転生先地獄なの!?なんで!?   作:アーチマン

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名前が思いつかないのが切実な悩みだった…(所要時間1ヶ月)

間幕です



【急募】なんかカッコいい名前考えて/屋敷端談義

 

 

 

1:チェ&@$++!?.??

よろしく!!

 

2:名無しの転生者

…イッチだよな…?

 

3:名無しの転生者

イッチはチェンソーマン世界の転生者だよな?

 

4:チェ&@$++!?.??

え、うん。そうですけど

 

5:チェ&@$++!?.??

うわ!なんだこの名前!?

 

6:名無しの転生者

あ、これチェンソー世界のイッチか!

 

7:チェンソー世界の悪魔

はい直しました。戻ってきて…

 

8:ショタコンの勇者

君のために戻ってきました

 

9:ショタコンの勇者

名前だよね?かっこいい名前一緒に考えよ?

 

10:ショタコンの勇者

将太くんとか、翔太くんとかどう?

 

11:名無しの転生者

え、ちょ…圧がすごい

 

12:ショタコンの勇者

あ、ごめんね?日本にいるかも分からないのに…押し付けがましいよね

 

13:名無しの転生者

おーおー、押し付けがましいったりゃありゃしないぜ

 

14:ショタコンの勇者

お前は黙れ。囀るな。口を……いや、やっぱり何もない…

 

15:名無しの転生者

ひえ

 

16:チェンソー世界の悪魔

ひえ?

 

17:名無しの転生者

て、てめぇ!?俺はイッチの掲示板に初めて書き込みした者だぞ!?

 

ん?

 

18:名無しの転生者

てかイッチ!作戦はどうなったんだ!成功したのか!?

 

19:名無しの転生者

てか生きてたんかーい!ワイは結局死んだものとばかり…

 

20:チェンソー世界の悪魔

あ、そうだよね。そこらへんの話からするよ。

 

端的に言うと作戦は成功したよ。現世脱出完遂。年代は中世っぽいかな。出たところは貴族様の寝室だったんだ。

 

21:名無しの転生者

そう、か。やり遂げたか…

 

22:名無しの転生者

素晴らしい!まさかあの状況からマジで脱出するとはね!!!

 

23:名無しの転生者

やりますねぇ!

 

24:偽パワ子

さすがじゃ! ワシが見込んだ通り! 全部ワシの計画通りじゃあ!!

 

25:チェンソー世界の悪魔

で、なんか原住民というか貴族というか、そんな感じのやつに見つかって…なんか追いかけられて…今二人を気絶させた後。

 

こっからどうすれば良い?

 

26:チェンソー世界の悪魔

じゃない。違う間違えた。

 

そう、貴族のお嬢様と執事がいたんだけど、お嬢様の方から名前聞かれたんだよね。でも最近色々と不自然に狙われすぎてるから言いたくなくて拒否したら追いかけられてなんか、こう…うん。

 

27:チェンソー世界の悪魔

うあ、やばい。テンパってる。

 

まあ色々あって因果の悪魔ということが知りたいんじゃなくて、個体名…駿太とか、タケシとか、そういうのが知りたいらしい…

だからカッコいい名前考えて欲しい

 

28:名無しの転生者

イッチコミュ障

 

29:名無しの転生者

イッチ女性免疫無し

 

30:名無しの転生者

イッチ人間免疫無し

 

31:名無しの転生者

イッチめんどい

 

32:名無しの転生者

なるほど……?

 

33:名無しの転生者

イッチ童貞

 

34:偽パワ子

ウム! ワシに任せよ! 良い名を考えてやるぞ!

 

35:名無しの転生者

遂にこの時が来たか…

 

来い! 名前班!!

 

36:名無しの転生者

ないんだからないで良くない?

 

37:名前班1

ケースアンドエフェクト

略してケアエ

 

38:名前班2

因果律の悪魔

ラプラス

 

39:名前班3

カルマ

 

40:名前班4

因果応報

略してイガオホ!!

 

41:名前班5

カルマ

 

42:名前班6

カルマ!!

 

43:名前班7

ラプラス

 

44:名前班8

オメガアーク!!!

 

45:名前班9

ペテルギウス

 

46:名前班10

ラプラス

 

47:名前班11

ラプラス

 

48:名前班12

ラプラス

 

49:名無しの転生者

ラプラス多すぎだろ!!

 

50:名無しの転生者

ラプラス人気すぎだろ!!

 

51:名無しの転生者

しっかり考えんかい!!

 

52:名無しの転生者

因果律の悪魔じゃないから!!

因果の悪魔だから!!

 

53:名無しの転生者

>>52変わんねぇなぁ!?

 

54:名無しの転生者

1番捻ってるのケアエとかイガオホだぞ!?

こんなんが1番頑張ってるのとかよっぽどだぞ!!

 

55:チェンソー世界の悪魔

なるほど。ラプラス。何故かどこかで聞いたことがある名前ですね。

 

56:名無しの転生者

ラプラスはなんか…嫌だなぁ

 

57:名無しの転生者

手垢付きすぎな名前なんだよねぇ

 

58:名無しの転生者

カルマカッコいい。カルマにしようぜ!

 

59:名無しの転生者

ラプラスカッコいいだろ!いい加減にしろ!!

 

60:名無しの転生者

手垢!?ラプラスは意外と…いや、ゲームで見ない日はないな、ラプラス

 

61:名無しの転生者

カルマぁー?赤羽意識しちゃうでしょーが!!

 

62:名無しの転生者

サンスクリット語ダルォ!?チェンソーマン世界はキリストテーマなんだからヒンドゥーなんて入る隙なんてねぇのよ!

 

63:名無しの転生者

争うんじゃねぇ!早くしねーとケアエとイガオホの頂上決戦になるぞ!!

 

64:名無しの転生者

いいだろ!ケアエはよおおおおおお!!

 

65:名無しの転生者

>>64良くねぇよ!なんだよケアエって!言いずらいわ!

 

66:名無しの転生者

イガオホは良いよね?

 

67:名無しの転生者

このケアエアンチ!!

 

68:名無しの転生者

>>66絶妙にダサいんだよぉ!発音最後オとオだしさぁ!!

 

69:名無しの転生者

オホッ!

 

70:名無しの転生者

トトロだって同じ発音続くだろーがぁぁぁぁあああああ!!

 

71:名無しの転生者

オメガアークとペテルギウスは完全に忘れられてるの草

 

72:名無しの転生者

黙れ!ゴミども!!喧嘩するよりイッチに最高の名前考えんかい!!

 

73:名無しの転生者

伸ばし棒付けたらどう?

カールマとか、ラープラスとか

 

74:名無しの転生者

>>70トトロは良いんだよおおおおおおお!

 

75:名無しの転生者

おい!名探偵はどこや!?取り仕切るのはアイツの仕事やろ!

 

76:偽パワ子

因果要素があればいいんじゃろ?ケースアンドエフェクトからいい感じに取ればいいんじゃ!

 

ケクト、スドクト、フェクト、こう、色々あるじゃろ

 

77:名無しの転生者

名探偵なら今VRしてるよ!

 

78:名無しの転生者

>>76ふむ

 

79:名無しの転生者

>>76ふむ

 

80:名無しの転生者

>>76良い折衷案ではないかね?諸君

 

81:名無しの転生者

賛成

 

82:名無しの転生者

賛成

 

83:名無しの転生者

参政権

 

84:名無しの転生者

10文字から選べるドン!を本気でするの?

 

85:名無しの転生者

センスが問われるからなんか嫌…

 

86:名無しの転生者

おら、名前ってんならなあ!名前バトルしようぜ!負けたやつ全員死な!!

 

87:名無しの転生者

や め ろ !

 

88:名無しの転生者

てめぇらセンスマジで無いからもう名探偵を待てよ…

大体あいつがなんとかするから…

 

89:名無しの転生者

>>88ウルセェ!!俺はセンスある!!俺はセンスある!!

 

90:名探偵

何やコレは…

 

91:名無しの転生者

>>88死にたいようだな…待ってろ、今楽にしてやる!!

 

92:名無しの転生者

名探偵!!助けて名探偵!!

 

93:名無しの転生者

遅いぞ名探偵!!

 

94:名無しの転生者

早く何とかしろ名探偵!!

 

95:チェンソー世界の悪魔

待ってた

 

96:名無しの転生者

>>76パワーはそんなこと言わないの

解像度上げてけー?

 

97:名無しの転生者

名探偵!ようやくきたか!!

 

98:名探偵

なるほど、大体理解したわ

 

名前を考えろと

 

99:名無しの転生者

全ての信任をお前に預けるっ!

だから頑張れ

 

100:名無しの転生者

もうお前しか頼れるやつはいないんだ!

 

元々いなかったが!!

 

101:名無しの転生者

カルマ…

 

102:名無しの転生者

ぴったしの名前考えてみるんだな

 

やれるものならな

 

103:名無しの転生者

ふぁーwww掲示板の風上にも置けないやつばっかだなw反骨精神はどうした?

 

解決のためにお前らが折れる?違う違う違う、戦争だよ

 

104:名探偵

じゃあ、パブロフとかはどうや?

 

105:偽パワ子

ワシの案はどうなったんじゃ?

 

106:名無しの転生者

パブロフ…

 

107:名無しの転生者

パブロフ…?

 

108:名無しの転生者

うーん、これは駄目ですなぁ…

 

109:名無しの転生者

可愛らしいイッチに合う名前じゃねぇ!!出直してきな!

 

110:名無しの転生者

いいんじゃね?パブロフ

 

111:名無しの転生者

ワイは好きやで

 

112:名無しの転生者

パブロフにするんだったらケアエで良いだろ!

 

113:名無しの転生者

パブロフ…?パブロフの犬の法則か…?

 

114:名探偵

>>113正解や。因果って聞いたらこれしか思いつかなかったんや。

 

115:名無しの転生者

イガオホを忘れるなよ!?

 

116:名無しの転生者

うーん、今日の名探偵なんか冴えないな

 

117:チェンソー世界の悪魔

そろそろ締め切りたいんですけど、結局、ケアエ、イガオホ、ラプラス、カルマ、オメガアーク、ペテルギウス、パブロフが案として出てるってことで良い?

 

118:名無しの転生者

いいよー

 

119:名無しの転生者

なんかどれもパッとしないな

 

120:名探偵

オペラントの条件付けからオペラントでも良いぞ!?

 

121:名無しの転生者

悲報、スレ民、センスが無い…

 

122:名無しの転生者

>>121うるせー!

 

123:名無しの転生者

スレ民「(´・ω・`)」

 

スレ民「(´・ω・`)」

 

124:名無しの転生者

>>123こっち見んな

 

125:名無しの転生者

>>121たしかにワイらにはセンスはない。オリジナルにして故郷たる掲示板サイトのような芸術は作れない!!

 

だが!我々には力がある!他を圧倒するような力がな!地球への次元壁が壊された暁には地球は我々に屈服する運命にあるのだよ!

 

126:名無しの転生者

>>125現実逃避乙

 

127:名無しの転生者

>>125まーた黒歴史作って…

 

128:名無しの転生者

>>125ほな、他を圧倒する力片付けるでー

 

129:名無しの転生者

もう名無しで良いんじゃないかな…

 

130:名無しの転生者

カルマで良いやんか

 

131:名無しの転生者

基督中世なら発音しやすいラプラスのほうが方が良いに決まってんだろォ!?

 

132:名無しの転生者

はあ!?ばっか野郎!!これ以上無様を見せるな!名前なんてワイらが考えて良いものじゃなかったんや!

 

133:名探偵

コロシテ……誰かコロシテ…

 

134:チェンソー世界の悪魔

ちっ…起きた…

 

ちょっと締め切る。

 

135:名無しの転生者

イッチ?

 

136:名無しの転生者

あーあ、イッチも呆れちゃったじゃん

 

137:名無しの転生者

イッチ!くれぐれも早まるなよォ!?

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「んぅ…ん?」

 

 

 ベッドで寝ていた少女、ステラ・ラミドルは目をパチクリとさせながら目覚める。

 彼女は混乱した。彼女の記憶では、たしか召喚に成功した悪魔の名前を聞き出そうと悪魔を追いかけ回していたはずなのだ。

 

 だと言うのにいつの間にか眠ってしまっていた!なんでだ!

 

 斜陽の光が窓から少女の目を焼いた。どうやらそんなに時間は経っていないらしい。そこで少女はハッとした。

 

 

「悪魔! 悪魔どこ!?」

 

「………」

 

「あ! いた!!」

 

「目良すぎでしょ…」

 

 

 天蓋付きのベッドの天蓋の影に隠れていた因果の悪魔はその少女の観察力に驚く。

 時刻は夕方、日も紅く染まり、部屋は暗くなっていたのにも関わらず、たった数瞬で潜んでいた因果の悪魔を見つけ出したのは驚異に値するだろう。

 

 ステラはいそいそとベッドの上に立ち上がり、腕を組んで胸を張る。

 

 

「早く来なさい悪魔! 執事が起きる前に契約しましょう!!」

 

「え、嫌」

 

「なんで!!!」

 

 

 ステラは大声で癇癪のように地団駄を踏む。ベッドの手前には無惨にも気絶した執事がいた。

 

 

「メリットがない。別に人間とか好んで食べないし、縛られるのを許容するほど欲しいものも無いし…」

 

「無欲ね! 美徳だわ! あれ? 天使?」

 

「悪魔です…」

 

 

 因果の悪魔は困った。まだ10歳と若い人間を害するという気は起きないし、己がこれほどまでに人間免疫が無いのかと内心驚いていた。

 

 そして目の前の少女からの圧がすごい。目はキラキラというよりギラギラと情熱に輝いていた。

 

 

「ならどうしてまだ屋敷にいるの? 契約しないの?」

 

「外の情報がないうちに出るのはやっぱり怖い。ほら、敵を知り、ナントカカントカなら危うからずみたいな」

 

「??? なるほど! なら私が色んなことを教えてあげるわ! 契約しましょ!!」

 

「え、嫌」

 

「なんで!!」

 

 

 何でだっけ?因果の悪魔は首をかしげる。

 なんで契約が嫌だったんだろう。過去に契約を悪用した身としてはやはり契約には気をつけないといけないからだろうか。

 

 でも、目の前の少女がそんなに頭が良いとは思えないんだよね。愚直に進むタイプの絡め手が苦手そうだし…うーん、けど現世の知識は欲しいな。

 でも別に脅して知識を吐かせることもできるんだよねぇ…。

 

 因果の悪魔はかなり失礼なことを考えていたが、よくよく考えれば彼には『因果観測』という、こと情報収集においては驚異の性能を備えた能力を持っていたことを思い出す。

 

 思い立ったが吉日、とまではいかないが、因果の悪魔は早速因果を覗き見ようとして瞳を輝かせて━━━

 

 

「…ぐっ!?」

 

 

 ━━━脱力した。

 

 力が抜けていく。そして天蓋から落ちてベッドの脇にいる執事の腹に直撃した。

 

 

「ぐぇ!!」

 

「…あれ? なんで?」

 

 

 力が、体力が無くなるのも無理はない。というのも悪魔というのは人や悪魔を食べることによって力をつける。悪魔が生きている限り、それは変わることのない事実である。

 

 しかし因果の悪魔はこれを行っていなかった。人をあまり食べていないのだ。

 地獄での食生活は基本的に絶食。因果という膨大な情報量を取り扱う能力であるのにも関わらず、地獄で食べたのは悪魔の血を少々と食糧庫の人間をひとつまみ。

 今まではどうにかなっていたのだが、やはり限界を迎えた。

 

 

「なんか、お腹空いてきた…」

 

「うおおおおお!? 悪魔ァァァァァァァ!!」

 

 

 ぐったりする因果の悪魔の下で執事が目覚める。執事はまるでゴキブリでも見たかのように絶叫する。

 

 そんな様子を見ていたステラがポンと手を打って言う。

 

 

「ああ、お腹が空いたのね! 執事を食べても良いわ!」

 

「え、やったー」

 

「ちょっ…待て待て待て待て!! バッカ!! ほんとバカ!!」

 

「おっと、言葉には気をつけることね! あなたの生殺与奪の権を握り締めてるのは私なのよ!」

 

「私は! 味方です!! なんでお嬢様が悪魔側なんですか!!」

 

「ガブリ」

 

「ぎゃァァァァァァァ!!」

 

 

 高らかに笑うステラ。アハハハ!だったりオホホホだったり色んな笑い方で笑っていた。楽しそうだ。

 

 因果の悪魔は執事の首筋に噛み付いた。甘噛みだ。しかし悪魔の身体能力は人間の比ではない。血が流れ始める。

 執事はもう失神しそうだった。さながらムカデが身体についたような様子だった。

 

 

「悪魔! 今一度聞くけれど名前ってなんて言うの?」

 

「え、この状況でそれ聞く…? 執事可哀想。なんか博愛主義に目覚めたよ」

 

「そんなことは良いから! な! ま! え!」

 

 

 ステラは正しく外道だった。ただこれは無知から来る悪辣である。根は善性なのだ。執着がすごく、一度(ひとたび)獲物をロックオンしたときに周りが見えなくなるといった悪癖はあるが、根は善性だということを伝えておく。

 

 因果の悪魔はドン引きだ。掲示板から聞く限り、この世界では人間と悪魔は相いれない存在である。そんな、人間からすれば猛獣以上の存在を仮にも世話を焼いてくれる執事にけしかけるとは……ひょっとして目の前の少女はやばいのでは?

 

 というか、もう名前とか無くても良いのでは?

 

 

「実を言うと、名前は無いんだ」

 

「……………名前が無いなんて可哀想! あなたの親は悪魔ね!!」

 

「多分親とかもいない」

 

「可哀想ね!」

 

 

 ステラは可哀想と言っておきながらものすごい笑顔で因果の悪魔を抱きしめる。因果の悪魔は借りてきた猫のように固まった。

 

 何故かこの少女と話していると身体が言うことを聞かなくなるのだ。そうだ、僕は怖いんだ。この少女が。

 

 ステラが怖いのか、それとも何か怖いものと似ているのかは分からないが、そんなのはどうだって良かった。

 

 ただただ怖いんだ。

 

 

 …なんでだ?

 

 

「じゃあ、可哀想だから! 可哀想だから、この私が友達になってあげるわ!!」

 

「……え、友達…?」

 

「特別なんだからね! 長い付き合いになる予定なんだから友達になるのは必然! つまり私たちはもう友達なのよ!」

 

「ともだち…か」

 

 

 因果の悪魔は放心する。友達なんて、久しぶりに聞いた気がする。

 中学以降の人生で友達と呼べる人間がいなかった彼にとって、それは新鮮な、斬新なものに思えた。

 

 ともだち、友だち、友達。因果の悪魔は少しだけ、言葉を噛み締めた。

 

 

「悪魔も知ってる…わよね流石に! 悪魔だって一匹じゃ生きていけないでしょう? 友達は『困った時はお互い様』が原則よ!」

 

「困ったときは、お互い様」

 

 

 因果の悪魔は思い起こす。地獄を。彼の側には常に一匹の悪魔がいた。蛸の悪魔。彼とはどんな関係だったのか。

 

 移動手段

 

 話し相手?

 

 契約者?

 

 それとも、友達だったのかな。

 

 なんだかんだ今世で一番長く触れ合ったのは蛸の悪魔だった。不快な思い出が特筆してあるわけではない。なんなら楽しい思い出もあっただろう。

 僕は蛸の悪魔に対してこれっぽっちの感情を抱けなかった。言語を喋り、情緒があり、理性を持った相手に『悪魔だから』と獣へ向けるような感情を向けていた。僕は何かが欠けてしまった。

 

 

 蛸の悪魔を見殺しにしたのは、正解だったのだろうか。

 

 

「いいね、友達。なろう。実は君で…()()()なんだ」

 

 

 彼女のような人を見ていけば、いつかは分かるだろうか。いけないな、前世の記憶が酷すぎて、全然人間らしさが分からないや。

 

 因果の悪魔はゆっくり笑う。その顔に謀り事はついていなかった。

 ステラは歓喜する。契約のことなんてすっぱり忘れているが、新しい友達にはワクワクしていた。

 

 

「やった! 悪魔の友達だわ! 私のことはステラで良いわよ! 私はあなたを…を……を…」

 

 

 ふと、彼女は顔を顰める。名前がない。そういえば、名を名乗る礼儀のために彼女は悪魔を追いかけたのであった。

 ステラは少しの間顔を顰めていたが、何事かを閃いたようにパッと明るい笑顔を浮かべる。

 

 

「なら私はあなたのことをダインと呼ぶわ! あなたの名前はダインロットよ! そう名乗ると良いわ!」

 

「おおう…ん? あ、ありがとう?」

 

「どういたしまして!」

 

 

 そう言ってピカーッと輝かんとばかりの笑みを浮かべるステラ。恒星のように明るい彼女の存在は因果の悪魔には眩しかった。

 

 因果の悪魔、ダインロットは流された。人間免疫が無い彼ではコミュ力の高いステラに流されないなんて無理な話だったのだ。

 だが悪い気持ちにはならなかった。前世の影響かも知れない。

 

 

「お嬢様…どうなっても知りませんよ私は……私はァ!!」

 

 

 その日の夜、寝室には貧血気味な執事の声だけが木霊していた。

 

 

 





 『チェンソーマン』っぽい名前にしようとも考えましたが、不自然なのでこれで…いきます…

 現代編は次の間幕が出る時に出ると思います。

 ええ、きっと…はい…鋭意製作中ですとも
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