錆びた流星はまた昇る   作:小千小掘

11 / 16
第9話

 頬を殴る音。

 苦悶の声が漏れた身体は、ゴミ溜めの中へと吸い込まれる。

 衰弱した肉体には耐え難い衝撃と、筆舌に尽くせない悪臭でむせ返る。

 じんと痛む箇所を拭う。出来立ての切り傷から、手の平に乾きかけの血が写った。

 

「……」

 

 恨むような眼で見上げる。

 腐れ切った街の中、澄み渡る青を背景に、二人の男がこちらを見下ろしていた。

 自分を下に見る男たちにだろうか。これまでの人生にだろうか。それとも、こんな理不尽を当たり前に拡大する世界にだろうか。

 激しい苛立ちが込み上げる。野生のごとく、強い敵意と警戒心のみ。全てをただ、無言で睨み続けた。

 凍えた惑星で、それでも、ひたむきに熱く――。

 その日、錆だらけだった青年の人生は変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第9話 センシングバルブ破壊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜は長い。

 永遠に明けることがないと疑ってしまうほど、一帯は深く寝静まっている。

 その眠りを妨げるように、熾烈な火花が一つ散っていた。

 

「また殺されに来るとはな――618!」

「その名は捨てたぜ――老いぼれジジィ!」

 

 非情な蛇と気丈な猿。二匹の咆哮がぶつかり合う。

 その事態に驚いたウォルターはヘリの機能状況を確認する。

 ハッチの非常用開放ボタンが押された痕跡……現着のタイミングを見るに、スッラが現れてすぐだ。

 

「……」

 

 青年のこと、喪った友のこと。そして立ち塞がった怨敵のこと。

 因縁の再会に、ウォルターは綯い交ぜになった感情を整理できずにいた。通信室にいる彼にできることは、その行く末を見届ける――いや、眺めることだけだ。

 

「今日は運が良い。微かな心残りすら叶うと言うのだからな」

「へぇ、奇遇だね。俺も全く同じこと思ってたよ!」

 

 壁越えからそのまま持って来た垂直ミサイルを放つ。スッラは打ち上がったばかりのそれをすぐさまパルスガンで壊す。

 レイヴンの時とは違う。危険を放置する余裕はないことの証明だった。

 しかしわずかでも気が逸れるもの。素早く踏み込んだゴードはパルスブレードを展開する。

 

「させん」

 

 その程度を許す年寄りではない。バズーカの照準が合う。

 

「そうかい」

 

 ハンドガンの銃身で払う。ブレードはガラ空きになった胴、ではなくその奥、プラズマミサイルを担ぐ右肩を狙った。

 苦しげな声が聞こえる。半身になって躱そうとしたところを予想より伸びてきたからだ。しかし、コアの側面に掠るだけで終わった。

 

「……前より鈍い。愛機以外にはとことん冷たい男だな」

「うるせぇ」

「あの時壊しておいて正解だった」

「二度は言わねぇぞ」

 

 デュアルミサイルは上昇で避けられた。プラズマミサイルのお返し。

 攻め手を警戒したゴードは大人しく後退する。そして屈んだ。

 

「ッ!」

 

 死角を回り込んできた特殊ミサイルが頭上を通過する。細いワイヤーを掴み引っ張る。エンタングルとの距離が詰まる。

 頭部が激突し、激しい摩擦を起こした。

 

「テメェは俺から全てを奪ったッ。相棒も兄弟も、俺にとって意味だったもの全て!」

「そうかっ、ならそのまま息絶えろ!」

「テメェを殺さねぇで死ねるかぁ!」

 

 押し切って蹴りをかますが、相手も同じ動きを取った。両者腹部がひしゃげ、後方に飛ばされる。

 視界が開けたスッラはそこでようやく気付いた。

 

「っ! 待て」

「どこ見てんだぁ!」

 

 意識を逸らした彼をゴードが抑え込む。

 事態を見守っていたウォルターが言った。

 

「急げ、621」

『できた』

 

 アクセス完了。

 ウォッチポイントβ、制御センターの扉が、レイヴンの目の前でゆっくりと開く。

 

「クソ……ハンドラー・ウォルター、ウォッチポイントはやめておけ!」

「貴様に指図される謂れはない」

「ならその猟犬はやめておけッ。それは、お前を殺すぞ!」

 

 蛇の舌に構ってやる暇はない。ウォルターは聞く耳持たず通信を続ける。

 

「そこを降りた先、中央にあるデバイスを壊すんだ」

『了解』

 

 失態を悟ったスッラは歯ぎしりせずにいられない。

 そこへ容赦なく、猿が猛攻を仕掛ける。

 

「これで、テメェの()()だ」

「……お前にその賢さは、やはり似合わんッ」

 

 舌打ちが聞こえる。一つ、下衆に笑った。

 

「お前こそ似合わねぇ装備(モン)背負いやがって――ウォッチポイントへ何の用だ?」

「答える道理はない」

「ハッ、だからその口割らせるんだよ」

 

 ハンドガンを構えると、先んじてバズーカを発射された。躱しながらミサイルで返す。後退したスッラを追い掛ける。

 途端、距離が急速に縮まった。リロード中のスッラは虚を突いて蹴りを仕掛けたのだ。

 しかしゴードは喰らわない。寸でで身を捻り、伸びた足を鷲掴む。

 自由のハンドガンで関節を狙い――わずかに照準をずらした。

 

「くぅ……!」

 

 目障りな搦め手だった特殊ミサイル。こちらに向けられていた砲口の中に鉛を打ち込み破壊した。

 

「テメェより若ぇんだ。だから気付ける」

「青二才がッ……!」

 

 銃剣の刺突を仰け反って回避すると、緩んだ手元からスッラは抜け出し、解放された左脚で回し蹴り。

 バズーカが向く。その前に全速で懐に潜り込んだ。

 

「つくづく、お前たちは私の邪魔をする!」

「身内殺られた猟犬が、大人しくするなんざ思ってねぇだろ……!」

 

 ブレードで斬ろうとすると、ゼロ距離でバズーカ。ゴードは弾頭、スッラは爆風を受ける。

 損傷が大きいのはゴードの方だ。しかし、

 

「……ぅらッ!」

 

 獲物が放れ仰け反った右腕で、肩を掴む。

 逆手で殴ろうとするが、これも素手で抑えられる。そのままブレードを展開するが、スッラは咄嗟の判断で身を捩る。

 ゴードに劣らない。紙一重の回避。

 

「殺した? 私が? 果たして本当にそうか?」

「……」

「お前が一番よくわかっているはずだ。一体誰のせいで、彼らが死んだのか」

 

 回避を助走に膝蹴りが飛ぶ。

 抉れた頭部がパルスガンで炙られ、原型から大きく歪んだ。

 

「お前は間に合わなかった。四人であれば――お前がいれば、結果は変えられたかもしれん。そうならなかったのは、他でもないお前の罪だ」

「テメェが、俺を墜としたんだろうがッ……」

「避けることはできたはずだ。それを目先のくだらんことに囚われたのは誰だったか?」

「ふっざけんな……俺の()は、くだらなくなんかねぇ!」

 

 プラズマミサイルの爆風が掠る。続いてバズーカ、一歩回避が遅れた。

 スタッガーの隙に詰められる。

 

「その情が判断を鈍らせた。自らの過ちから目を逸らしたな? だから私に八つ当たりか……青いなッ」

 

 銃剣で幾度も殴りつけられる。立て直そうとする姿勢を延々と崩され拘束される。

 

「流星から猿に成り変わったのも、弱さと愚かさを取り繕うためか? 楽だろうな、独り善がりに耽るなど。情けないことこの上ない」

 

 限界を迎えた左腕が突き飛ばされ、コアにヒビが入る。

 狙いはコックピットか。胸元にバズーカを突きつけられる。

 

「名を変えれば、罪悪を紛らわせるとでも思ったか。青二才――」

 

 刹那、ゴードの脳裏に、記憶が溢れ返る。

 在りし日々の、彼にとってかけがえのなかったもの、全て。

 感覚は忘れない。だから、胸の底で宿っているものは、絶対に揺れ動かない。

 たとえまだ、外皮が脆く薄かったとしても。

 苦しみを飲み込むように、言葉を絞り出した。

 

「生まれ変わって……また始めるための決意だ。老いぼれジジィ!」

 

 動かないはずの右手が、微かに痙攣する。ハンドガンが水面に沈んだ。

 枷を引き千切るように、それは重い音を立てながら、バズーカの砲口を掴んだ。

 

「……! 馬鹿な、スタッガーだぞ!?」

「ぅおらあああぁぁ!」

 

 膂力と気力で押し返す。動揺するスッラの手元からバズーカをぶん取り、発射。エンタングルの右腕が壊れ、イーブンになった。

 

「手前の立ち方なんざ、手前がよく知ってんだッ」

「戦いの勘は相変わらずか……ACSを切るとは」

 

 スタッガーとは、過剰に不安定になった姿勢を立て直すために強制的に動的システムが停止することで発生する。

 つまり、ACSを解除していれば理論上、行動の制限は緩くなる。しかし、機体にかかる負荷は尋常ではない。

 その判断を瞬時に行った、青年の勝負強さも。

 

「まずい……退避しろ、621!」

 

 突然、ウォルターが焦りの声を発した。

 次の瞬間、センター内部から巨大な爆発音が響く。

 降りしきる雨の中、地表が揺れた。

 

「兄弟……!」

「ふん……箱が開いたか」

 

 何事か呟くと、スッラは不意に踵を返す。

 

「なっ……」

「ここにいる理由はなくなった。引き際だ」

 

 呆気ない幕切れに、ゴードは苛立ちと猜疑を覚える。

 

「逃がすかッ……!」

「いいのか? お前の入れ込んでいる鴉は満身創痍。そしてあの爆発だ。次に何が起こるか、わからんことはないだろ」

 

 引き続き変化が起こった。上空から、敵性機体接近のアラート。

 見上げると、見たことのない巨大兵器の影。センターの表面へと向かっていく。

 

「あの時もそうだったな。青二才、二つは同時に叶わん。ここで私を追おうものなら、また大事なものを喪うぞ」

「テメェ!」

「621が交戦を開始した」

 

 激昂するゴードに水を掛けるように、ウォルターは冷静に告げる。

 

「さっきの爆発の影響か、通信状況が芳しくない。ここは、621の援護を優先すべきだ」

 

 言葉に詰まる。目の前に仇がいるというのに、殺したいほど憎いやつがいるというのに。おめおめとそれを逃さなければならないのか……!

 エンタングルが再び遠のいていく。しかし、今度はもう追わなかった。代わりに、操作盤を力任せに叩く。

 

「ぁああっ!」

 

 血が滲むような歯ぎしりと、どろどろに歪んだ眼。それをどうにかして収め、青年は仕事に戻る。

 

「……ハンドラー」

「補給シェルパを手配する。左腕は新しいものを付けろ」

「もう一つ頼む」

 

 負の激情が失せることはない。若さ故の性分とも言えるが、絶対的な長所もあった。

 

「何でもいい、EN武器を送ってくれ」

 

 彼は賢く、仕事のできる男なのだ。

 

 

 

 

 

 

 センター自体は頑丈にできているようで、爆音に反し、建物が大きく破損することはなかった。

 ただ、表面へ顔を出すと、ところどころ炎が滲み出ているのを確認できる。

 その中央で、二機の視線は交錯していた。

 レイヴン目掛けて大量のミサイルが振りかかる。その数、156。

 全弾とまではいかないが、上達した操縦技術で損傷は最小限に留めた。

 

「兄弟!」

『ゴード。さっきのACは?』

「逃げた。今はコイツをなんとかするぞ」

 

 ゴードが合流して二対一。敵の弾が分散するという点では有利に傾くが、どうやら大きさとは裏腹に機動力と旋回能力はあるようだ。翻弄することは難しい。

 ところで、と、ゴードはわずかに違和感を覚えた。621の返答に間があったような……。

 通信を切断していたのか?

 

『パルスアーマーを剥がさないと、ダメージを与えられない』

「……やっぱそうか。下がってろ、俺が剥がしてお前が削る」

 

 そう言ってゴードは取り替えた右腕を構える。

 その手に握っているのは、一見スッラが扱っていたものと似ている――速射型パルスガンだ。

 

『おお、すごい』

 

 高いPA干渉効率を持つパルス兵器は、バルテウスの鉄壁を壊すのに打ってつけだ。その効能に、621は感嘆の声をあげる。

 水平に展開されたリングから60発のミサイルが発射される。ゴードはこれをパルスブレードでいなしながら突撃し振るった。

 パルスアーマー消失。

 

「変われ!」

 

 息のあった連携で入れ替わる。両肩のミサイルを発射しながらゴードは後ろへ、ライフルを混ぜながらレイヴンが前へ。レイヴンはゴードと同じようにブレードで追撃する。

 姿勢を立て直したバルテウスは懸命に距離を取ろうとするが、それを二人が許すはずもない。

 迎撃のグレネードは回避した二人の間をすり抜ける。

 

『え?』

「……」

『ゴード下がって』

「あ? なんで」

『いいから』

 

 突拍子もない弟分からの指示に、困惑を隠せないままとりあえず従う。すると、

 

「……! アサルトアーマー、よく気づいたな」

 

 恐らく展開された高出力のパルス障壁を利用し、そのまま爆発に転換できたのだろう。

 しかし、何故621は事前に予知できたのか。勝負勘までゴードに似てきたのだろうか。

 敵の動きに変化が見られる。ミサイル発射の直後、懐から何かを展開した。

 

「うおっ! あちぃ」

 

 危なげなく避けるが、強い熱はコックピットまで温度を変える。

 ブレードに見立てた火炎放射器は射程が長く誘導も優れている。特にレイヴンは、その振り回しを避けるので手一杯だ。

 すれ違いざま、至近距離でショットガンを浴びせようしてくるが、一本二本の掠りで済んだ。

 今度は件の炎を地面に向けて打ち放った。足場が灼ける。

 業火に蒸されることはなかったが、灼熱と化した戦場ではパーツが徐々に爛れていく。こうなればもう、短期決戦が望ましい。

 

『一緒に削ろう』

「おう」

 

 バルテウスの本体から発射される両肩ミサイルに、今更臆することはない。機関銃の引き撃ちももろともせず、すぐに間合いが詰まった。

 パルスガンとバーストアサルトライフルで瞬く間にアーマーが剥がされていく。

 このままではまずいとリングのミサイルが全弾発射されるが、火薬の雨の中を、二人は器用に潜り抜けた。

 火炎放射器が起動する。この至近距離では回避が間に合わない。

 だが、

 

「やらせんな!」

『わかってる』

 

 先んじて、兄弟は秋霜を煌めかせる。

 炎より、光のほうが早い……!

 一太刀目、アーマー消失。バルテウスのACSがダウン。

 そして、もう一振り。

 

「……ッ!」

 

 同時に振り下ろされた二閃は、漏電する巨体を確実に穿つ。

 断末魔のような機械音の後、本体が連鎖的な爆発を起こし、やがて停止した。もう、抵抗の手段は残っていない。

 

「大型兵器の撃破を確認した。二人共、よくやった。仕事は終わりだ」

 

 どこからともなく現れた――恐らく封鎖機構の無人兵器には最初こそ驚いたが、あの老兵と比べれば大した脅威ではなかった。

 ゴードは崖の際から、眼下を覗く。

 

「……あーあ。これじゃ探すのは難しいか」

 

 左腕ごとロストしてしまったパルスブレード。大切なものだったのだが、現実は非常だ。

 

「ごめんな。()()……」

 

 謝罪の言葉を残して振り返る。今生きている、弟分の無事を確認したかった。

 しかし、それを邪魔する発光。遥か遠くから、強い風が頬を叩いた。

 風……これは、爆風だ。センシングバルブは破壊された。その余波だろうか。

 そこまで思考を巡らせて、やっとゴードは621を見る。

 少年は、その彼方を漫然と見つめていた。何を思っているのか、将又何も思っていないのかは判然としない。

 ただ、これまでの物思いや憂慮とは異なる雰囲気が、佇まいから漂う。

 静止した鴉に、初めて青年は、彼の歪さと不気味さを感じ取った。

 

「兄弟……?」

 

 何かが変わった。そう直感する。

 一人、ハッチの中でいつもの名前を呼んだ。

 いつしかワルツに紛れ込んだ、耳鳴りに違和感を覚えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第9話 センシングバルブ破壊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第9話 『巡りの地』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修正が必要だ」

 

 人間とは呼び難い、機械的な声が木霊する。

 それに返すのは、苦み走る顔をした老兵。

 

「ほう? フィクサーの振る舞いをしておいて、随分とやわな計画だな」

「責任の一端はあなたにあるのですよ。独立傭兵スッラ」

 

 浮かぶ青筋はない。冷めた女性の音は、心做しか怒気を含んでいるようだった。

 

「私の依頼を、あなたは遂行できなかった。おかげであの男は今後も我々の計画にとって大きな障害となるでしょう」

「それは仕方のないことだ、私とて人間、失敗も起こり得る。寧ろそれを想定していないのは、お前の演算が成っていない証拠だ」

 

 あくまで悪びれた様子もなく、スッラはコックピットで独り言を発している。

 

「何より、お前がろくに私の経歴を調べていないことが驚きだ」

「どういう意味でしょう?」

「修正が必要になった最大の要因は、あの青二才だ。違うか?」

 

 返事はない。図星と解釈する。

 

「お前はモンキー・ゴードが618であることを知らなかった。かつてアーキバスの超人と名を並べ、()()()1()()()()()()()()()――膨大な量とはいえ、自分で目を付けていたレイヴンの間近にいた傭兵を、一切データ照合しないとはいかがなものか?」

 

 ストライダー護衛とBAWS第2工廠調査、二つの依頼で、レイヴンは異なる所属不明機と遭遇した。いずれも、彼女の傀儡だ。

 それ以降、人知れずレイヴンの存在は『計画』における勧誘候補となっていたのだ。しかし、その傍らにいる青年の素性を見落としてしまった。

 

「あと一日、いや数分でも早ければ、鍵は私達が手に入れていただろう。余計な消耗も要らなかった。お前の調整ミスの皺寄せを、あまりこちらに押し付けないで欲しいものだな」

「……いいでしょう。あなたの言う通り、私にもこの事態を避ける手段があったことは認めます。ただし、お忘れなきよう。あなたは、」

「お前の一部。だろう。言わずともわかっている」

「物分かりが良くて助かります」

「だが、それ相応の対価は払ってもらうぞ。そのための契約なのだからな」

 

 事ある毎に自分の立場が上だと思っているように聞こえる発言が飛んでくるが、これは――少なくとも表面的には――対等な関係だ。でなければ、スッラはこんな気味の悪いことに首を突っ込んでいない。

 平静を取り戻したか、()()は事務的に言った。

 

「勿論です。――オールマインドは、全ての傭兵のためにあります」

 

 通信終了。

 老人は休息に入る。両手を頭の後ろにして仰向けになった。

 

「くだらん」

 

 そう一言。しかし、後に続くのは、

 

「……さぁ、これからどう動く? ハンドラー・ウォルター」

 

 悦楽の笑みを浮かべ、来るべき時に思い馳せるのだった。

 




スッラに強化パッチが入ったのかと思うレベルですが、新米傭兵だった自分は三十分以上かかってた記憶があります。

というのも、何が強いのかわからずずっと初期装備のまま進めていたんですよね(当然ジェネレータもFCSも)。おかげでバルテウス(当時ナーフ前)は半日かかり、仕方なくEN武器に持ち替えたら一発でクリアできた時の虚しさったらありませんでした。

最後に、オールマインドの正体についてですが、ここは各々の解釈が分かれる考察ポイントだと思います。今作での扱いは既に決まっていますが、こいつ原作からポンコツだったせいで何をしでかすか私もわからないんですよね。
だって、ほら、もう調査サボってたでしょ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。