今回はあくまでお話のみ。しかも番外編みたいなものです。
本編を書くうえで一応書いておいたほうがいいかもしれないと思い書きました。
本編もちゃんと書いていますのでご心配なく。
始まりは小さなことだった。中学の時、クラスで仲の良い男子たちが聞いてきた
「お前ヴァンガードって知ってるか?」
その当時の僕は、すでにヴァンガードの魅力に魅了されていた。ただ、当時はファイト相手は姉しかいなかった。
知っていると言うと。
「なら一緒にやろうぜ!」
そうして、彼らと共にファイトに明け暮れる日々が始まった。
それは僕にとってかけがえのない日々だった。
しばらくして、僕は彼らの勧めもあってショップ大会に出ることになる。
ショップ大会には僕なんかより年上の人達がたくさんいて、怖かったのを今でも覚えている。初めてのファイトは緊張で震えていたりしたが、それでも勝利することができた。そのまま勝ち進んでーーーーーーーー僕は決勝戦に進んでいた。
だが僕はそこで敗れた。たった1回のプレイミスから来た敗北。周りはよくやった。すごかった。ここまでくれば充分だろなどと言っていたが、僕はとてつもなく悔しかった。
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その日の帰り道。僕は不思議な少女に出会った。
「ねぇ、キミ?ヴァンガードファイトにおいて、一番大切なモノってなんだと思う?」
彼女の質問に僕は、強さと答える。
「…………アハッ、いいよ……その答えサイッコー!」
彼女は楽しそうに言うと、僕に1枚のカードを渡す。
「そのカードはね……キミの願いを叶えてくれる魔法のカード」
聞いたときは、何を言ってるんだこの人と思った。
そのカードには何も書いてなく白紙そのものだったからだ。
彼女は話を続ける。
「キミが強さを望むなら、キミはチカラに目覚め、そのカードはキミ専用の最強のカードへと進化する……さぁ、目を閉じて思いを込めてみて?」
言われたように僕は目を閉じ、強さが欲しいと願う。すると、カードを黒い霧が覆い隠し、イラストとテキストが現れる。
それと同時に、身体の中を謎の感覚が広がっていくのを感じる。
「なるほどね……やっぱり個人差はあるか……」
ぶつぶつと呟く彼女。
カードを見てみると、僕の使っているクランとは違うということに気づく。
「ちょうどいいや……試しにファイトしてみよう」
ちょっと待ってと僕は彼女を止めて、このカードは僕の使っているクランとは違うということを伝えると。
「ふーん……じゃあ、そのカードに合わせたデッキも今作ってあげる」
彼女はそう言うと、カバンから大量のカードを取り出し、即座にデッキを作り上げる。
「このデッキにそのカードを入れれば完成する……さぁ、手にとって?」
差し出されたデッキを手にとりカードを入れると、彼女に引っ張られて公園に設置されたファイトテーブルまで連れていかれる。
「それじゃ、試そっか」
2人揃って開戦の合図を叫ぶ。
「アドヴェント・ザ・ヴァンガード!」
「スタンドアップヴァンガード!」
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結果から言うと僕の勝ちだったが、そのファイト中、不思議なことが起こった。
僕自身がプレイミスをすると、トリガーの引きが良くなったり。引きたいカードが良いタイミングで引けたりしていたのだ。
「へぇ…………そういうチカラか……」
彼女は興味深そうに言うと、自分のデッキを片付けて去っていこうとする。
僕はあのカードとデッキを返そうとするが。
「あぁそれ? あげるよ。別に私はいらないし」
それだけ言い残して彼女は去っていった。
その後、僕は家へと帰った。ちなみに、この日あったことは姉には話さなかった。
この日以降…………僕の日常は変化を遂げる。
あのカードを手にしてから僕には、不思議なチカラが宿っていた。そう………ミスをしたりすると運が良くなるというものだ。その特異なプレイスタイルのせいで二つ名を付けられたりもした。
そして気づけばショップ大会での優勝常連となり、ヴァンガード・インターミドルにも出場した。
ただその頃からだった。
今まで仲の良かった彼らとの距離が出来始めたのは。
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「なぁ、さっきのプレイング何なんだよ」
グループの中で、僕と最も仲の良かった少年が聞いてくる。
「お前………オレのこと馬鹿にしてるんだろ!オレがお前より弱いからって、舐めてるんだろ!!」
激怒しながら僕を問いつめる彼。周りにいた少年達を見ると、彼らも怒りに燃える目をしていた。
僕は違うと言い、なぜこのようなプレイスタイルなのか理由を話す。
その話を聞いた彼らは信じられないというような顔をした後、彼が口を開く。
「そっか…………そうだったんだな…………納得したよ」
次の瞬間だった。
ドゴッ!!!
突然、僕は頬を殴られる。
殴られた僕は倒れこみ、そんな僕を彼は見下ろす。冷たい瞳で。
「お前はさ、強いよ。そう、すっげー強い」
「オレ達なんかじゃ届かないくらいにだ」
「でも、さ。オレはお前のこと」
「最低な奴だと思うぜ」
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よくよく考えれば、彼らの行動は当たり前のかもしれない。
相手がわざとプレイミスしたうえ、それによって強くなるのだから。
真面目に、地道に強くなろうとしている彼らが憤怒して当たり前だ。
それも…………つい先日まで自分達と同じく地道に頑張っていた奴がそんなことになったのだから。
彼らとこの出来事以降、関わりもせず、会ってもいない。
彼らからすれば、僕は『最低のファイター』
僕からすれば彼らは『ヴァンガードから離れる原因』
お互いにもう、関わりたくなんてなかった。
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僕は公園のゴミ箱の前に立つ。その手には2つのデッキケース。
片方はあの日、あの人から貰ったデッキ。もう片方はーーーーーーーーーーー僕がヴァンガードを楽しんでいた頃のデッキ。
僕はこの2つを捨てることで、すべてを忘れようとしていた。
「…………」
投げ捨てようと腕を振り上げるが、そのまま止まってしまう。
原因はーーーーーーーーーーーヴァンガードをやっていて楽しかったという思い出が、フラッシュバックしてしまったからだ。
「あ、ああぁぁぁぁ………」
頬を涙が伝う。
悲しみからなのかはわからない。ただひたすらに、涙が流れ続けた。
しばらくしてから、僕はゆっくりとゴミ箱にデッキケースを入れる。
「…………ごめんね」
消えてしまいそうなほど小さな声で呟き、僕は家へと帰った。
彼がその場からいなくなってから、人影がゴミ箱の前に現れる。
人影はゴミ箱に手を入れて、何かを手に取る。それは先ほど彼が捨てたデッキケースだった。
人影はそれをカバンに入れると、その場を去っていった。
これは、1人の英雄になれなかった少年の物語の終わりであり、心の中が空虚になってしまった少年の物語の始まり。
そう、終わりで始まりなんだ。
正直結構ハチャメチャをやった感があります……
それでは皆さん、本編でまた会いましょー